前田建設ファンタジー営業部

PROJECT 09 前田建設ファンタジー営業部 「ロケットパンチ」編 PROJECT 09  前田建設ファンタジー営業部  「ロケットパンチ」編

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第3回:対決! ロケットパンチvs未知の敵

「超合金Z」・・・硬かったですねぇ。
鋼材「SS400」の1万倍とはね。
1万倍・・・ロマン溢れる数字や。きちんと検証した結果なのに、ちゃんとスーパーロボットらしい数字やったのが、マジンガーらしくてカッコええな。
100万馬力とかマッハ10などの猛烈に凄い、強さや速さの数字に純粋なロマンを感じられる時代でしたねぇ。
そのうち、スーパーロボットもエコな感じに変化していくんでしょうね。
より低燃費なホバーパイルダーとか、低騒音なジェットスクランダーとか?
今回も「リサイクル(再生)可能なロケットパンチ」の検討の方が、お子様方の環境教育的に良かったんちゃう?
でも我々、ちゃんと「リユース(そのまま再利用)を前提としたロケットパンチ」の検討により超合金1万倍を導き出したんですから、結果的に環境意識アゲアゲだったわけですよ。
・・・ロケットパンチのリデュース(削減)って、どういうことになるかな?
そりゃファンの人が納得いかんやろ、ロケットパンチの無いマジンガーなんて。
環境負荷が低い武器から優先的に使用するマジンガーなんじゃないですか!
そして、それが光子力研究所のサステナビリティレポートに載ると?
そういえばファンタジー営業部の映画でも環境がキーワードとして結構出てきますもんね。
・・・ということで環境や会社員のロマンもぎっしり詰まった映画ですので、まだ見てない方は今すぐ映画館へ!
しかし・・・ここまでトイレのシーンが多い映画も珍しいですね。
で、トイレでの会話が結構重要な場面転換のきっかけになっているからね。
・・・これも気になる方は今すぐ映画館へ。!
そろそろ本題に移りましょう。前回の爆弾発言「オリジナル機械獣」・・・じゃなかった「未知の敵」について詳しく聞かせて下さい。
JSOLタキさん
はい。実はその「未知の敵」ですが、我々JSOLメンバーとその家族の夢とロマンを背負っています。
・・・それじゃ攻撃できないやないかい!(笑)
ある意味、最高の防御方法ですけど。どういうことですか?
JSOLタキさん
我々、「SS400」の鋼板相手の検討では物足りなくなって、立体的な機械獣にてシミュレーションしたくなったんです。
そのお気持ちだけは、よくわかります。
JSOLタキさん
ところがアニメに登場する機械獣をモデル化して、このページに載せるのは諸般の事情で難しいと思いました。
その通りでしょう!(笑)。 お気遣いありがとうございます。
JSOLタキさん
そこで、メンバーの子供が描いた絵 を元にしたオリジナルの「未知の敵」を3Dモデル化してみました。これがその元絵になります。

画像

子供は天才やなぁ。両者のこの表情、少しは交渉の余地が残されている感じがええね。色使いもなかなか大人では考えられへんよ。
歯とかまつ毛とかどちらの怪獣もカワカッコイイですよ。気に入っちゃいました。
だから、怪獣じゃなくて「未知の敵」だろ(笑)。これ、具体的には、どなたが書いたんですか?
JSOL山口さん
えーと、土質編の解析と一連のCG化を担当した天野さんのお子さんです。怪獣好きらしいですよ。
自分が描いた絵が3Dになるなんて、僕もやってほしかったなあ。
これの立体化って、まさか紙相撲のように紙切り抜いて折り曲げるとか?
・・・そんなシミュレーション、許されるなら逆に見てみたいです。
・・・ロケットパンチが当たって、パターンと倒れるやっちゃな。
JSOLタキさん
(二人を無視して)それでは、2体とも立体化してみましたので、ぜひご覧ください。

画像

すみません・・・右のモデルは一つ目が正解じゃないですか・・・?
歯もかわいらしい感じじゃ無くなったし・・・。
左のカラーリングもオリジナルとちゃう思いますけど、これでええんでっか?で、これら原作者にOKもろうてますか?ここは著作権を大事にする「ファンタジー営業部」でっせ(笑)。
JSOL山口さん
まあまあ、その辺は色々都合がありまして・・・著作権は問題ないですから。
でも、職員のお子さん達の絵を3Dモデルにしてシミュレーションするなんて素敵ですよ。JSOLさんの社風の良さが伝わります。
ホンマはワシも、はじめから、そう思うてましたがな・・・(笑)
JSOLタキさん
それを聞いてホッとしました。制作者も喜んでいると思いますよ。さて解析では右側の「未知の敵」にロケットパンチと対決してもらおうと思います。
これ、壊されちゃうんよね?お子さん、ショック受けへん?
3Dモデルの出来が良すぎるからこそ、心配だな(笑)。
JSOL山口さん
すみませんこれらはあくまで「イメージ」で、検証用モデルは別にあるんです。制作者も力が入ってまして「イメージ」をこのようにカラフルに仕上げちゃったわけですが(笑)。こちらが実際の検証用3Dモデルとなります。

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・・・この「クーハイヤン」って名前の由来はなんですか?
JSOL山口さん
ええ・・・お子さんがそう言ったんだそうです(笑)。
ええね!親バカやね(笑)。その気持ち、わかるわ~。
ちょっとアジアンテイストないい響きの名前ですね。お子さん、早くもグローバル人材に育ちつつあるのでは?
でもこれ、どうやって3Dモデルにしたんですか?
JSOL山口さん
・・・実はパンチの検証よりも大変だったんじゃないかな(笑)。
ですよね。元は平面しかないんだから、想像で補いながらの作業になりますもん。
やっぱり残念なのが、元の絵の表情がユーモラスなのに、モデルだとシリアスなのがね。愛嬌は残して欲しかったな。
あえて世界観に合うよう、シリアスに振ってくれたんやないか!悟らんかい。
JSOL山口さん
これですが一度3Dに起こしたCADデータにメッシュを作成してモデルを作ってます。今回は形状が複雑なので、シェル要素で作っています。シェル要素とは、見た目上は厚みが無いガワだけで構成されていますが、計算上は厚みを持たせられるというものです。

画像

JSOLタキさん
今回の「未知の敵」も、ロケットパンチ検証の時と同様、厚さ30cmの「SS400」製に設定してあります。もう少し強くてもいい気もしましたが、前回検証との比較も考え、そのままで計算してみました。
このモデルの創り込み度合は、お子さんへの愛の現れやからね(笑)。だから余計に「よく出来てる」思うねんな。
でも、お子さんの描いた絵がすぐに動きだすシステムとか、展示会のイベントとかで良く見るようになりましたよね。こういう活動を突き詰めるとJSOLさんの「ブルーオーシャン」になるかもしれませんよ?
JSOLタキさん
考えてみます(笑)。
「ブルーオーシャン」ってお前解ってるんか?
映画にも出てくるキーワードだそうですから調べました!上地さん演じる別所のセリフだとか。
JSOL山口さん
それでは検証に入ります。ロケットパンチをぶつける位置は自由に設定可能でしたが、やはり急所ということで、首の辺りにぶつけることにしました。

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絶体絶命感がすごいですね(笑)。
熊を素手で倒す空手家の突きだな・・・。
やっぱ、お子さんの絵をモデル化したの、失敗じゃないですか?クーハイヤンを応援したくなります、これは。
ロケットパンチはマッハ2や。なんびとたりとも逃れられへん。この直後、華麗なステップワークでよける感じもまるでないし。
皆の気持ちはわかるけど、重要なのは解析結果だからね。それでは山口さんお願いします。
JSOL山口さん
では、発射してみます。
一瞬で粉砕ですね・・・ものの見事に「子供の夢」が撃ち抜かれている。
だから、その言い方、ヤメや(笑)
突き抜け具合からみて、中は空洞のモデルですか?
JSOLタキさん
そうです。そして設定している「マッハ2」という衝突速度が速すぎて、未知の敵が倒れる間もなく、あっという間に撃ち抜かれているんです。
JSOL山口さん
衝突が運動エネルギーに変わる前に貫通してしまうんですね。
まるでガラス細工で出来ているかのようですね。
JSOL山口さん
そこで、内部を鉄パイプなどで補強すれば3Dモデルが少しは変形したりするかと思いやってみましたが・・・。
JSOL山口さん
鉄パイプを入れても、ほぼ貫通でしたね。
アニメのように、パンチが当たって仰け反って倒れる、そんなシーンはまずありえないんですね。
JSOL山口さん
我々も、そういう動きを期待してたんですが。
「クーハイヤン」の背中の出っ張り=背ビレがあるからそれが補強材として機能し、その分モデルの剛性も上がり、仰け反りにくくなってるのかもしれないな。
JSOLタキさん
空洞ではなく、しっかり中身の詰まったモデルを作成してもいいんですが、メッシュの作成がなかなか大変なんです。
いえいえ、これだけやっていただけるだけで、感動モノですよ。
JSOL山口さん
内側に鋼材を少し入れてみましたけど、結果は同じということです。やはり「マッハ2」はすごいスピードですよ。
ロケットパンチが速すぎたってことなんですね。
・・・「マッハ2」という設定だけど、アニメの見え方としては「マッハ2」も出てない気もするな。
JSOLタキさん
確かに。。アニメのような「シュルシュル」と飛んでいる感じであれば、時速100kmくらいのイメージなんですよね。
時速100kmだと新幹線に追い抜かれちゃいますから、まずいですよ。
じゃあ時速200kmぐらいで検証してみたらどうなるんや?
JSOL山口さん
分かりました。では、時速200kmに変更するなどして検証してみます・・・。ちなみに、今は強制速度で「マッハ2」ですが、これは初速度が「マッハ2」とは違うんですよね。実際、鋼板の検証の際、、初速度「マッハ2」の場合には、打ち抜けずに跳ね返ったんですよ。
へえ〜。同じ「マッハ2」でも「強制速度」と「初速度」では違うんですね。
JSOL山口さん
「初速度」の場合、最初に持ってるエネルギーが変形エネルギーに費やされてしまうと、それ以上破壊するエネルギーがなくなってしまうからなんです。
なるほど。まさしく自動車のクラッシュボディの考え方そのものですね。
JSOLタキさん
そうです。うまく潰れた方が、エネルギーを吸収できるのです。
JSOL山口さん
では・・・これらがロケットパンチの時速が100km、200km、そしてマッハ1の初速度の場合になります。
左上から100km/h、その右が200km/h、そして下がマッハ1・・・この解析は相手が鉄板に戻ったんですな?
JSOL山口さん
そうです。
なるほど。初速度「マッハ1」の場合のみ、ぶつかると突き抜けることがわかりましたね。
「超合金Z」くらい硬くても、スピードがないと打ち抜けないということなんですね。
やはり「マッハ2」ぐらいのスピードの方が、圧倒的なパワーを感じられて良いんだよ。
アニメのロケットパンチの場合、ぶつかってからさらにブーストで力が加わって、相手にダメージを与える印象があります。なので、ぶつかった直後にエンジンを吹かし、「マッハ2」を維持するイメージかなと。
JSOLタキさん
ブーストしている間はエネルギーを加え続けてるので、今回の事例でも「初速度」じゃなく、実際に検証した「強制速度」に近いんじゃないかと思います。
ロボットアニメを作るクリエーターの皆さん!
当たった後にブースターを吹かせる表現をしないと、撃ち抜くことはできませんよ!
JSOL山口さん
「未知の敵」を無事に打ち抜く事ができましたので、最後に結論をまとめます。

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JSOLタキさん
装甲の厚さ30cmの鋼板の機械獣を簡単にやっつけるためには、ロケットパンチの強度は大体ポピュラーな鋼板「SS400」の1万倍というのが今回の結論になります。
そして速度も「マッハ2」で良いのではないかと・・・いかにもアニメらしい検証結果で素晴らしいです。
JSOL山口さん
こちらこそ、本業では得られない体験で、苦しくも楽しかったです(笑)。ぜひ、また我々『バーチャル実験2課数値解析班』にもお声がけください。ありがとうございました。
こちらこそ、本当にありがとうございました。
心配や・・・。
何がですか?
この難しい内容を見た上で、どのくらいの方が映画館へ足を運んでくださるか思うてな。
むしろ映画を見た後、余韻ついでにちょっと楽しむ感じじゃないですか?
繰り返しになりますが、映画を楽しむためにマジンガーや土木の知識は不要です。どうぞお気軽に劇場へ。
さらに映画のパンフレットには、私が執筆した「土木用語解説」までつけてありますから、どうぞ大船に乗った気持ちで劇場へ。それではスクリーンでお会いしましょう!
いや、あんた出てないでしょ・・・映画。
実は・・・人生初のコスプレをした上で出てるんだ。
・・・その辺もお楽しみに。この難解な連載にお付き合いいただきました皆様、そして映画をご覧いただいた皆様、本当にありがとうございました。映画はこういう知識、不要でしたでしょ?
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