ファンタジー営業部
GRAN TURISMO 4編
1超えるためのアイデア
◇ ◆ ◇ ファンタジー営業部、報告と討議 ◇ ◆ ◇
D職員 もてぎですけど、環境面ではゴミと下水に関して都市同等以上のレベル。すり鉢形状による騒音への配慮までありましたから、我々は上水、舗装、エネルギー等に注目するのが早道となりそうです。
C主任 で、例えば単純に風力発電を導入したとする。するとコース内に風車がドーンと立つわけで、佐松さんが大事にしている「グランバレー」伝統の景観を壊しちゃうんじゃないか?これ、どこまで提案して良いか悩むところです。
A部長 基本的には従来通り、極力意匠・景観を変えない中で提案していこう。ただし、今回は意匠や景観を大きく変更してでも環境面あるいは集客面で効果が大きい提案「前田推奨オプション」も用意してみたいのだがどうだろう?
B主任 「オプション」と呼べるほど、凄いアイデアになればええですけど、な。
D職員 正直、集客は自信なくなりました。現状でも凄く充実した施設がもてぎにはあるんですもの。
豊かな自然と学び遊ぶ施設「ハローウッズ(左)」他、楽しい施設が美しく配置されている。
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C主任 我々は初めてだし、まずはモータースポーツから考えないか?複合化から先に検討を始めるとオーバースペックというか、逆にサーキットとしてのグランバレーの先進性や魅力を希薄にしてしまいそうで。
B主任 ええね同感や。ケーキも、外見がなんぼお洒落かて、勝負はスポンジとクリームや・・・で、環境面はどないします?景観を乱さんとすれば舗装やろか?
   
A部長 舗装に関しては前田道路1)さんの協力が不可欠だから、早速、力を借りれるよう手配しておくよ。
D職員 舗装の工夫といいますと?
A部長 まずは透水性舗装2)の適用だろうな。雨水を地下に戻したいからね。ただ、一方でサーキットという特殊環境だから問題も多そうだ。
C主任 その辺はもてぎでも聞いてみたのですが、何せレース場ですから、やはり高いμ(摩擦係数)の確保がまずありきだそうです。
B主任 透水性舗装は多めに穴ぼこ空いてるわけですからな。タイヤと路面の接触面積が減って摩擦は下がりますわな。
C主任 他にも、レースではタイヤカスがたくさん出ると聞いた。なら透水性舗装の空隙があっという間にそれで目詰まりしないか、とかね。
A部長 その辺はやっぱり、前田道路さんと打ち合わせしないと結論が出ないだろう。舗装の平滑性も必要だろうし、掃除やメンテナンスも重要だからね・・・そうそう、それからE部長だけど、彼はおそらくエネルギーのアイデアを検討してるからそれを待とう。まあ「二つの湖」と聞いたら私も元ダム屋だし、ピンと来るよ。
B主任 大先輩2人とも、なんやらもったいぶってますなぁ。ホンマそんだけ凄いものやろか?
C主任 ゴミ処理についても焼却炉や処分場は既に素晴らしいものがあります。これを越えるアイデアとなると処理方法そのものより、分別方法とかリサイクルとか、その辺になりますか。
A部長 いや、それも私は目星をつけている技術があるんだ。これは同じ土木技術部でも建設環境Grに聞きに行ってみよう。
D職員 じゃあ早速、舗装とゴミ処理からヒアリング開始ですね?
A部長 いや、二つとももう少し段取りの時間をくれないか。だからその間にB主任とD職員でトンネルをサッサとやっつけてきてくれ。
B主任 いやいや部長。わかっとりますやろ?チャチャッとは行きまへんで、今回。
 

※1)前田道路株式会社 
前田建設と同マークを使用する弊社関連会社。故に往々にして「建設」と「道路」が間違えられたりする。ホームページをごらん頂くとマウスカーソルの横にぞうが飛ぶが、これは手乗りゾウ「ぞうくん」といい、クリスマス等、イベントシーズンにちょっと姿を変えたりするのは道路会社マニアの間で有名(?!)。

※2)透水性舗装
舗装材料に空隙を設けて、通常舗装なら表面を流れてしまう雨水を積極的に本来の地表面/地下に浸透させるべく舗装内を通過させることを目的とした舗装。ヒートアイランド対策として都市部の歩道などに採用されることが多い。なお高速道路などで雨天時にも表面に水膜ができにくい舗装を走られた方も多いと思うが、あれは途中で不透水層を設け側溝に流しているため、地表面に戻しているとは言いがたいもので排水性舗装とよび、区分している。なお両者共に副次的効果として舗装面の空隙により車などの走行音が吸収され、静かになる効果も持つ。

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◇ ◆ ◇ B主任、D職員で再び光が丘の土木技術部、設計技術Grへ移動 ◇ ◆ ◇
B主任 全体でトンネルは3箇所。スタート地点から順に第1、第2、第3トンネルとしましょか。
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B主任 断面は皆同じように見えますけど少し違います。高さはどれも5.5mですが、幅は第1・2トンネルが14mなのに対し、第3トンネルは16mと、なんぼか大きいんです。
   
L課長 第2トンネルは急なカーブだね。都市部の地下なら公道下を必ず通す3)ために急曲線もやるけど、普通はないよな。断面も四角か・・・Rはどのくらい?
B主任 図面から追うと第2トンネルで85R、第3トンネルで115Rってとこですわ。詳細はあとで確認します。
L課長 しかし第3トンネルは本職の我々から見ると、いよいよミステリーだね。どうしてこういう形になっちゃうんだろ。
ハンバーガーというか、ハーモニカというか
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※3)公道下を必ず通す
都市部における上下水道や地下鉄の整備時に、地下といえど民地下を通せば発生する用地費がバカにならないため、極力公地つまり道路下を通すのが基本となっている。そのため場合によっては半径20m(下水)程度の急曲線施工も行わなければならない。

B主任 両端部はトンネル。中央部はロックシェッド4)もどき。全部出すかあるいは全部隠すか、どちらかにして欲しかったわ。
L課長 もちろん単なる山沿いの道路としても成り立つよね。設計者がこうしたかったとしか思えん。
D職員 F1のモナコを筆頭に「片側開放」ってレースのイメージを演出できるからじゃないですか?
確かに、印象的です
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L課長 そうだね。この山は石灰質で表層ボロボロなんだから、ごついシェッドなんか不要だもの、きっと演出説で正解だろう。顧客のご要望とあらば何でも頑張りますよ・・・しっかし、これ、よく見るとコンクリ、もの凄く厚いねえ。
D職員 シェッドの天井部で厚さ2mです。柱が1m角で12.5mピッチ×14本入ってます。
B主任 まるで要塞だな。「我々はグランバレーの知られざる別の顔に気づいてしまったぁ」てか。
L課長 自重だけで厳しくなっちゃうなあ。
D職員 どういうことですか?
L課長 自分の重さですら支えきれないってことさ・・・軽量コンクリートという手もあるけど、うん、ボイド管使おう。
D職員 すみません。ボイド管って何ですか?
L課長 この厚さが全部コンクリートだと重くてしょうがないから中空にしたい。だから大きな管を予め埋めておきコンクリを打設すればいいのさ。この場合なら経験的に径800mm程度の管がいいと思う。
  厚くコンクリート全充填のスラブ ボイド管で空隙を作ったスラブ     
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※4)ロックシェッド
シェッドとは、道路や鉄道を土砂崩れや雪崩から守る覆いを指し、ロックシェッドとは特に防護柵やネットでも防げない大きな落石を対象としている覆いをいう。皆様も川/崖沿いの道などで通った経験がお有りでは。

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D職員 こういうのって良くやる方法なんですか?
L課長 うん、珍しいものではないね。コンクリート橋の床版なんかに使われるよ。マンションなんかでも例がある。うちで言うと西神道路柏木谷高架橋工事のフォロースラブで径500mmの施工例があるかな。
B主任 それより問題はこっちですわ。これ、どう見ます?
ちょっとだけ白い地山が見えています。(赤丸は弊社で追加)
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L課長 元の地山ラインだろうね。つまりシェッドもどきは明かり工事だったんだろな。
B主任 同感ですわ。両端部のみトンネル施工。中央部は一旦掘ってからシェッドを構築して埋めもどし。その証拠がこれ、というわけや。
D職員 この三角形二つが証拠?すみません、完全についていけないのですが。
L課長 そうだね、ごめんごめん。つまり図にすれば、こういうことさ。
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D職員 両端部はトンネルとして施工。中央部は一旦山を崩して構造物を作り埋め戻し。だから構造物の両端にはエクボのように三角の法面がチョコッとだけ残る・・・なるほどわかりました。ずいぶんと手間の掛かる方法ですね。
B主任 だから言うたやろ「全部出すか隠すか、どっちかにしてほしい」て。
L課長 トンネル坑口もオーバースペックだな。こういう坑口だけど、こういう面壁形式の坑口でこの地山ならコンクリの厚さは70cmもあれば十分だ。なのに実際は1mあるからね。
D職員 ここでもボイド管、使いますか?
L課長 使えるけど、この部分は「重くて自壊する」というものでないから、このままにしよう。
B主任 この両サイド2箇所のトンネル掘削はどうします?
L課長 地山強度が70〜80N/mm2だとすれば硬いし、煩雑な火薬管理手間はあるけれど発破だな。20N/mm2以下だと機械彫りで行けるんだけどなぁ。煩雑な火薬管理手間はあるけれど。
   
B主任 機械で掘れば、音は静かだし、地山を傷めないし、いらんところ 5)まで掘ってしまわんし、と良いことだらけやけど、固い山を無理に機械で掘れば、その対策で当然機械の値段が高くなる。であれば、今回のように短いトンネルなら、発破でやってしまうのが総合的に有利だっちゅうことよ。
D職員 大体、解ってましたよ。もうこれで担当物件も3件目ですからね!
L課長 ほーぅ。ではD君に質問。この地山は表層ボロボロですが、ドカーンと発破して良いのでしょうか?
D職員 ・・・うーん・・・最初だけは地道に掘るのでは?
B主任 地道か。気を使ってソロソロ掘ると疲れるし効率悪いで。
L課長 そうね、注入式のフォアポーリングで行こうか。トンネル掘削断面の天端を固めてしまうのさ。
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B主任 これなら良いね。断面は見えてる通り矩形で行きます?
L課長 それは無いなあ。やっぱり少しでも膨らませたいよ。
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D職員 そうか。仕上げさえ矩形になっていれば、発注者さんにはしかられませんものね。
B主任 掘削残土が異様に多くならん限りはな。第1、第2トンネルも同じやり方でいけますな?
L課長 そうだね、ただし長さが全く異なるからフォアポーリングの範囲、つまりボロボロの範囲は良く検討しないと効率的じゃないね。
 

※5)いらんところ
設計された通りにトンネルを掘ろうとしますが、地山によってはどうしても掘りすぎてしまったりすることがあります。発破は爆発させますから、当然掘りすぎてしまう確率も高いのです。

だんだんと大枠の姿が見えてきたGrand Valley Speedway。しかしE部長は湖に対して一体何を思いついたのか?
そしてツインリンクもてぎや富士スピードウェイを超える新たな機能を、前田建設は付加することが出来るのか?

次回ファンタジー営業部 GT4編 「Part 05 見た目は変えずに」
9月30日(金)公開予定

“The Construct of Your New Life”
 

 

   


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