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PROJECT04 世界初、民間国際ロボット救助隊を創ろう編 パート1:現実世界での初仕事
車輪型ロボット
C主任 C主任: 意外だけど、これが一番少数派だね。
D職員 D職員: というか、お言葉ですが今日は電通大のFUMAだけです。
B主任 B主任: これらレスキューロボットは各大学の威信をかけてロボカップレスキュー*9での競争力も大きな目標になるやろから、どうも車輪型は厳しいと判断するんやないか?
車輪型レスキューロボットFUMA 01車輪型レスキューロボットFUMA 02
忍者風の名前に似つかわしくないカラフルな塗装です
©IRS
車輪型レスキューロボットFUMA
広範囲の環境情報収集を迅速に行うことを目的に開発された車輪型レスキューロボットFUMA。1自由度のアームにより高い視点位置の確保並びにそのアームを巧みに操ることにより,車輪直径以上の段差も乗り越えが可能である走破性の高い車輪型ロボットである。搭載カメラ映像を元に無線/有線により遠隔操作される。その遠隔操作系は工夫が凝らされており,はじめてロボットを操作する人でも簡単にFUMAを操作可能である。環境情報収集するために,熱カメラ,レーザスキャナ,二酸化炭素センサなど様々なセンサがFUMAには搭載されている。

スペック:
大きさ 590×630×890mm
重量 35kg (バッテリ含む)
車輪直径 150mm
最大乗り越え段差 400mm
研究代表者:電気通信大学知能機械工学科 松野文俊
D職員 D職員: アームの先にたくさん付いてる機器がカメラとセンサ類でしょうね。
B主任 B主任: 右の写真のようにすれば、見通しの悪い交差点とか運転しやすそうですや。
C主任 C主任: そういうカメラ、自家用車でも装備始まってますよ。
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蛇型ロボット
D職員 D職員: 最後に蛇型をしっかり見ていきましょう。
B主任 B主任: 一見、差がわからないから、しっかり特徴を頭に入れていかんとな。
C主任 C主任: クローラで前進するのだけれど、曲げ伸ばしの動きも重要なんだなあ。
IRS「蒼龍」
「最もマスコミ登場回数が多いロボット」との噂もある蛇型
©IRS
IRS「蒼龍」
IRSの顔として紹介されることの多い、東工大広瀬研究室の「蒼龍」シリーズの一機種。ノーマル蒼龍に比べセンサ類が大幅に強化されており、長岡での運用実績を持つ。

スペック:
大きさ 1200×120×120mm
重量 12kg
研究代表者:東京工業大学 広瀬茂男
MOIRAⅡ
こちらは愛知万博でのデモ経験もある蛇型
©IRS
MOIRAⅡ
MOIRAⅡの大きな特徴は他の蛇型と異なりクローラないし車輪が上下で独立しているため、瓦礫中で挟まっても前後進できる点にある。ちなみにMOIRAとはギリシア神話の運命をつかさどる三人一組の女神(紡ぐ者クロト(Klotho)、支える者ラケシス(Lachesis)、糸を断つ者アトロポス(Atropos))の名前に由来する。

研究代表者:神戸大学 大須賀 公一
曲げ伸ばしでどういうことができるのか、MOIRAにやって頂きました。
ブロードバンド用はこちら
ナローバンド用はこちら
B主任 B主任: この動画を見てると、色が赤いし、MOIRAⅡが海老に思えてきた。
D職員 D職員: ぴちぴち動いてますね。
C主任 C主任: 電源と操作系は有線なんだな。
D職員 D職員: クローラ型や車輪型が瓦礫や不整地の上を走行することを前提に設計しているのに比べて、蛇型は狭いところに入っていく設計ですから、最終手段としてこのコードで引っ張っての回収は「あり」かも。
B主任 B主任: お、これは電源コード、ないで。
双頭ヘビ型レスキューロボットKOHGA
今度は忍者風の黒い外装です
©IRS
双頭ヘビ型レスキューロボットKOHGA
倒壊してしまった家屋などの内部を調査するために、狭いすきまに入っていくことを目的としたヘビ型のロボット。ロボットの先端と末端にCCDのカメラが装備されており、主にそのCCDカメラの映像を頼りに安全な場所にいるオペレータがロボットを遠隔で操縦することを想定している。ロボットの形状を「さそりモード」に変形することにより、ロボット後方のカメラでロボットの様子を俯瞰的な視点から客観的にみて操縦することが可能。これにより、遠隔操作性が向上する。

スペック:
大きさ 180×135×2050mm
重量 18kg (バッテリ含む)
研究代表者:電気通信大学知能機械工学科 松野文俊
D職員 D職員: 「さそりモード」。もうこれだけで私、今日来た甲斐がありました。もう充分です。
B主任 B主任: 安上がりなやっちゃ。俺も「まったりモード」や「理想の夫モード」とか、ようなるで・・・。
C主任 C主任: それにしても遠隔操作というのは難しいんだね。結局機体全部を映すのがいいようですね。
D職員 D職員: この辺はロボカップレスキューでのノウハウが生きてるんでしょうね。
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実践に向けて
一通りの見学を終え、ラボの片隅で話し合う3人。そろそろロボットによっては帰り支度を始めたようだ。話は自然と建設現場でこれらロボットを使えないかという話題になった。
B主任 B主任: うちで、今すぐにでも働いてもらいたい機体がわんさかあったで。
C主任 C主任: そうだね。建築でも蛇型は配管検査などにぴったりだと感じたよ。
B主任 B主任: 土木的にも彼ら、パワーに制約があるからの、やはり検査系がメインになるやろな。ただ、心配もある。
D職員 D職員: 逆に建設機械にこれら制御技術を転用すればいいんじゃないですか。
B主任 B主任: それも解決策のひとつやけど、言いたいのはそこやない。まだまだロボット達がタフじゃないということや。少なくとも土木の現場ではな。
C主任 C主任: 電源コードかい?
B主任 B主任: それもそや。けど一番の問題は過酷な環境やな。土と水は手ごわいで。
D職員 D職員: でも、小柳先生の04号機デイジーなどの防水型もあるんだから、問題ないんじゃ・・・。
B主任 B主任: まだまだ青いのぉ。例えばカメラ自体が防水ケースに守られてても、前のガラスが曇って機能しなかったりするんや。あとはな細かな砂が擦動部分に入り込んでな、大変なんや。
D職員 D職員: ど、どこでそんな経験を。
B主任 B主任: 昔シールドマシンの各種自動化に関係していたことがあるんや。そこでセンサーや機器にずいぶん悩まされたんでな。
C主任 C主任: それもそうだけど、喫緊の課題としてはパワーソースじゃないか。電池では作業時間に制約が出そうだ。
D職員 D職員: スペック表を見ると、ほとんどがニッケル水素電池が多いようです。
C主任 C主任: いや、この資料によると最近ではリチウムポリマー電池がいいようだ。
このあたり、千葉工業大学の小柳先生に聞いてみました。先生のロボットで言えば、03号機までが水素ニッケル電池、04号機以降がリチウムポリマー電池になっているとのこと。単純にほぼ同じ性能の両者を比較するとこうなります。

上:水素ニッケル電池 下:リチウムポリマー電池
上:水素ニッケル電池
下:リチウムポリマー電池
ご覧の通り、リチウムポリマー電池は「小型」というメリットの他、出力電流が大きいため例えばモータ起動時に大電流をそちらに取られても制御ユニットがダウンする心配がないというメリットがあります。特に小柳先生のロボットは、制御ユニットにOSを搭載しているため、一度ユニットダウンすると再起動に時間がかかり、ロボカップ競技中などではそれが致命傷になるので、なおさら大きな利点となるそうです。なお残量のある使用途中での充電も可能(メモリー効果なし)だそうです。

なお有線式のロボットについては「むしろそちらが現実的な選択ではないか」とのお答えでした。遠隔操作のインターフェースは人間の視野を広くカバーするパノラマビューに向かうだろうし、するとカメラも5〜6台必要になる。「現状でも容量が不足する無線式では当然それらに対応できず、有線を選択する事になるのだろう。」であれば電源も有線で供給した方が有利かもしれない。

C主任 C主任: 今回は「国際救助隊」なのだから、南極、北極も守備範囲になるし、赤道直下*10でも行動できなくてはいけない。
B主任 B主任: 人もロボットもタフさが要求されるで。この辺は大学の皆さんに頑張ってもらわな。
C主任 C主任: 今後開発のシナリオが幾つかあって、「バリバリⅡ」「くるくる3」など人間との協働を前提に比較的早い段階から実践で活躍させるものと、人間が行けない困難な場所での自律活動を目指す長期開発のシナリオとに分かれるんじゃないか。
D職員 D職員: 謎の大金持ちがいるんですから、同時進行で開発できますよ。
B主任 B主任: やはり実践や。実践あるのみ。これで鍛えな。
C主任 C主任: でしょうね。どんどん災害時に出動するのはもちろん、平常時にも活用しておけば開発のテンポは相当速くなるでしょうから。
D職員 D職員: ということで、我々国際救助隊のロボットは日頃、ANAさんやウチで働くことで決まりですね。
C主任 C主任: オペレータもロボット自身もドンドン向上できるからね。
B主任 B主任: しかしANAさんはこの案、どない思いますやろか。
ロボットのオペレータについても小柳先生に聞いてみました。これまでのロボカップなどの経験からオペレータの適正について尋ねてみたところ「平常心を保てる人」という言葉が返ってきました。
「ロボットの性能をわきまえ、無理をしないこと、かっこいいことしようと思わない人」という意味での平常心と「実際の現場では悲惨な光景が突然カメラに展開される」わけでそういう点でも平常心が大切とお考えのようでした。

小柳先生、また色々教えてください!
小柳先生、また色々教えてください!
©IRS
「レスキューロボットは、被災者を発見したら、そこを動いてはいけないと思うんだ。せっかく見つけてもらったのに、被災者が不安になるからね。探索しかできないロボットとはいえ、水や食料なんかも積んでおけばいいし、何より重要なのはマイクとスピーカーだよ。肉親の励ましの声が届き、話せることがやっぱり大事なんだよ。だからロボットは大量にもっていかなきゃいけないよ。」

ご多忙の所、素人の我々にもわかりやすく、そして粘り強くご指導いただいた千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター(fuRo)の副所長である小柳先生。上のコメントはじめ、色々な意味で本当に良い勉強をさせていただきました。どうも有難うございました。

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平常時のロボット達
自律飛行船ロボットは既に、測量や写真撮影用に前田建設へスカウトされたようだが、これ以外のロボットについても平常時には参加各企業で働くことでロボット自体の問題点とオペレータの技量を改善し、隊の維持コスト低減と出動時の最高パフォーマンスを両立させることがベストである。そこで、これらロボットの「就職可能性」について全日空さんに聞いてみた。お答えいただいたのは下のお二人、
ANAオペレーション統括本部
ANAオペレーション統括本部
OCC推進室 品質サポート部 主席部員 梶木 晴史 氏(右)
ANAオペレーション統括本部
オペレーション戦略部 アシスタントマネージャー 白澤 健志 氏(左)
©ANA
まず蛇型ロボットは飛行機や空港施設の配管検査に従事して欲しいですね。例えば翼の中にある燃料タンクは人が狭いところを進みながら行う困難な検査になるのですが、そこをロボットでできればずいぶん楽になります。ただ、その場合、火花などは一切出せませんので、完全防爆仕様*11であることが必須となります。この仕様であれは前田さんで働いてもらうにも有利ですよね。
センサという点では、今、一つ困っているのが携帯電話の電波でして、おそらく皆様のお考え以上に飛行機は影響を受けてしまう*12んです。そこでご搭乗前のお客様がボーディングブリッジ歩行中に携帯の電波が出てるか否かを知らせてくれるロボットがいてくれると有り難いんですけどね。
お客様へのサービス向上の点では、足の不自由な方が階段でご搭乗いただかなければいけない場合、現在はPBL(パッセンジャー・ボーディング・リフト)を使用していますが、これに変わる移動用ロボットを、クローラ型、車輪型には期待しますね。お客様の搭乗券情報を読み取り、荷物を持ちながらご搭乗ゲートまで案内してくれるロボットも重宝しそうです。そういう点では、警備ロボットも絶対欲しいですね。空港ビル内もそうなのですが、飛行機を見張っているメンバーが今いるのですが、彼らの補助や代わりになってほしいです。
最後に、ちょっと大きな話なのですが、飛行機を引っ張り大活躍しているタグ車(トーイングトラクタ)やその他空港内車両も自律ロボットにしてもらえるとコスト的に助かります。飛行機が着陸したらすぐタグ車で引っ張るようにすればジェットエンジンをすぐ切れますから環境的にも効果が大きいです。空港に雷が近づくと作業者の安全確保のため離着陸を中止せざるを得なくなるのですが、これも回避できるというメリットがあります。
さて、こういうリクエストを受けたIRS側の回答や如何に!お答えいただいたのはIRSのリーダー、東北大学の田所先生である。
平時にロボットが失業していたのでは、コストやメンテナンスの問題ももちろんのこと、改良のための研究開発のスピードも鈍ってしまいます。そのため、平常時に役立つことは、レスキューロボットといえども重要です。
蛇型ロボットによる配管内の検査の件、現在でもある程度可能と思われます。実は、配管内検査のロボットは1990年代から研究開発が行われていて、パイプの中を検査するロボットは実際に販売されていて実績もあります。防爆は災害地でも重要な仕様の一つで、充満したガスにモータで生じる火花などが引火しないことが重要です。そのために、二酸化炭素を使ってボディ内部の内圧を高め、ガスが内部に入らないような技術があります。レスキューもできる燃料タンク検査ロボットというのは、実現性は高いと思います。

携帯電話の電波を探知するのも技術的には可能ですね。瓦礫の中の要救助者の探索でも、携帯電話の電波を頼りに人の場所(携帯の場所)を探すロボットの研究が進められています。ボーディングブリッジを歩く人の携帯電話に電話をかけ、電源を切ってくれるようにお願いする、といったことも、電話会社さんの協力さえ得られれば、技術的には可能ではないでしょうか。同じ技術を使って、災害時 に避難経路を電話やメールで教えるということも可能になりますね。これはむしろロボットと言うよりは、携帯電話の技術でしょうけど。

案内ロボットは、自律走行する車いすのイメージでしょうか。人が押して行かなくても、荷物も載せて階段や段差も問わず、自律的に経路を判断しながら、お客さんの要望に従って自由に走行できる車両ですね。その実現のためには人を安全によけるとか、乗っている人の動きにあわせて段差でバランスをとるといった安全性の研究がこれから重要になってきますね。災害時にはけがをした人を運ぶために使えそうですね。

警備ロボットは、ビルの中などでは実際に使われるようになってきています。セキュリティカメラでは補足しきれない場所をロボットが移動しながら見張ったり、異常事態に警告を発したりする機能があります。人間では危険なところ、たとえば滑走路の横などで警備することも可能です。空港内でどんな警備が必要なのか、具体的な仕様を限定することができれば、実配備は可能だと思います。

空港内車両を自律ロボットにすることも技術的には可能ですね。ただし、車両の値段や信頼性の問題が大きいので、コストが安くなるかは疑問です。雷が落ちるとロボットは正常な動作が期待できませんから、残念ながら人間と同じように避難する必要があるかと思います。
国際救助隊におけるロボットの方向性が見えてきた。次回は今回も少しお世話になったがANAさんに輸送担当としてどのようなことができるかを具体的にご検討いただきます。
次回ファンタジー営業部 国際民間ロボット救助隊編「Part03 ひまわりの、あたたかくも強い意思」8月31日(木)公開予定。どうぞお楽しみに。
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バックナンバー
ファンタジー営業部とは?
PROJECT 04 CONTENTS
パート1:
現実世界での初仕事
パート2:
戦うロボット達 page01
戦うロボット達 page02
パート3:
ひまわりの、あたたかくも強い意志 page01
ひまわりの、あたたかくも強い意志 page02
パート4:
人と機械が手を結ぶということ page01
人と機械が手を結ぶということ page02
パート5:
ある日の救助隊基地
パート6:
これがロボット救助隊の姿だ(前編) page01
これがロボット救助隊の姿だ(前編) page02
ロボカップレスキュー*9
フィールドと呼ばれる試合の舞台は瓦礫を想定した凹凸の多い場所であるため、クローラ型に有利なものとなっていることを指している
赤道直下*10
ではないが、これらロボットのうち幾つかは米国国土安全保障省(DHS:Department of Homeland Security)の招待で渡米した際、ネバダ州で高温実験を行っている。気温40℃以上。小柳先生のロボットではまず熱センサーが壊れ、次に通信ユニットが熱暴走したとのこと。ただし、冷却ファンを持っていた制御系ユニットは問題が無かったそうだが、15分程度で動かなくなったらしい。ま、それより「ロボット熱くて持てなくなるんだよ!」だそうだ。
防爆仕様*11
動作させても爆発・火災を起こさない設備や機器の仕様のこと。可燃性ガスや引火性液体といった可燃物を外に出さない方法および消失させる方法と、それらの中においても着火源にならない(例えば電気回路部分から火花を出さない、など)設備や機器として制作する方法があり、この場合は燃料タンクの中の話なので、後者の事を指している。
影響を受けてしまう*12
今の飛行機は操作系が物理的(レバーの力がケーブルに伝わり動作部を動かす)でなく電気的(レバーの移動を電気信号に変え、その信号により動作部が動く)な結合になっており、電波によってこの結合が影響を受けるのである。私、具体的な例を聞きましたが、今後、本当に気をつけようと思いました。
 
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