2016年06月08日オープンイノベーション推進型の新技術研究所を創設~先進・独創的研究環境における価値創出により持続的成長を実現する~

<概要>

 前田建設工業株式会社(本社:東京都千代田区、社長:前田操治)は、オープンイノベーションを推進する「オープンラボ機能」に重点を置き、先進的・独創的な研究環境を整備した新技術研究所「仮称 Maeda Innovation Center(略称MIC)」を新たな技術研究・開発拠点として創設します。場所は茨城県取手市の寺原駅前の社有地で、年内に本体着工、2018年にオープンする予定です。

 

 今後の国内建設市場を望見すると、近い将来、建設市場は新設から維持更新へと変化していくと考えられ、エネルギー問題や少子高齢化への対応技術や、担い手不足に対応した生産性向上も社会から求められています。また当社が進めている脱請負や社会基盤マネジメント分野では、多様な複合施設、さらには都市機能の高度なマネジメント技術などが必要となります。持続的に社会に貢献する企業であるためには、このような課題に対し新たな技術イノベーションによる価値創出を継続していくことが必要です。新技術研究所「(仮)MIC」は、これらの将来に訪れる中長期的な経営環境の変化を見据えた革新的技術開発の基盤であり、当社が成長・飛躍するための重要な経営ツールとして位置づけています。

 

 「(仮)MIC」のメインコンセプトは「ハブ・スペース for オープンイノベーション」とし、様々な「協創の中核の場」を担うことを狙いとしています。情報や通信技術、AI技術をはじめとする様々な技術が高度化している現在、一社のみでの革新的な技術開発は非常に困難です。「(仮)MIC」には、最新の基盤実験施設の導入に加え、異分野の企業・技術者との連携を進め、技術と知の融合を促す「協創のための開かれた空間:オープンラボ」としての様々な機能を整備し、ベンチャー企業をはじめとする国内外の多様な「開発パートナーの実験場」として開放することで、連携・協業による開発を加速させる環境を整えます。

 

 「(仮)MIC」は、研究執務を行う「オフィス棟」、小~大規模までの各種実験を行う「ラボラトリー棟」、他企業等とのオープンな交流を主として担う「エクスチェンジ棟」で構成され、総延床面積は約13,000m2です。

ラボラトリー棟は、機能別分棟型ではなく2棟が連結した大空間建築とし、屋外実験エリアと連続した動線構造を有しています。そこには、ものづくりを基盤とする建設会社らしく実施工にこだわった最新の基盤的実験施設を機能的に配置すると共に、将来の社会的課題であるロボット化や自動化技術のための高度にICT化された大空間や、社会インフラマネジメント専用の実大実験施設、大規模地下地盤自動作成装置など、独創的な研究施設を導入します。また、各実験室間は透明なガラスによる仕切りとするなど、専門の異なる技術者間の交流を自然と促す様々な仕掛けを取り入れます。

 

 オフィス棟やエクスチェンジンジ棟では、協創を促進するためのオフィス環境を創造します。オープンイノベーションを実現するうえで大きな制約条件となる、内外の企業や大学、建設現場などとの距離的障壁を無くす仕掛けとして、執務空間には先進のICT機器を導入すると共に、実験装置・計器全てにIoTを導入して自動的にデータを収集・管理・共有します。またインターネット上のビックデータや様々な計器のデータなど構造の異なるデータをそのまま分析・可視化するためのプラットフォームを独自開発のソフトウェアであるCDS※3をベースに構築し、企業間等の情報ボーダーを感じさせないICT共有空間を創設します。更に、エクスチェンジンジ棟を中心に様々な交流を促すコミュニケーションスペースを設けると共に、研究所内にはプロジェクトごとに高度な情報セキュリティを有するITシステムを導入することで、オープンとクローズを併存させた研究環境をパートナーに提供します。

 

 なお、エクスチェンジンジ棟は先進的な木造構造として設計~施工BIMを全面的に取り入れ、オフィス棟は当社のエネルギー技術の粋を集めてZEBを実現するなど、「(仮)MIC」自体が技術の展示場としての役割を担い、かつウエラブル外皮を採用するなど建屋自体が実験装置としての機能を有しています。

 

 また、既に運用しているベンチャー企業への投資スキーム「Maeda SII※1」、今期設立予定の「(仮)ナレッジセンター※2」と、この「(仮)MIC」という「資金・知・場」のイノベーション創出の仕掛けを有機的に組み合せることで、国内外のベンチャー企業や異業種、大学等とのボーダレスな連携・協業を促し、様々な埋もれた技術をスピーディに市場に投入する「ハブ&エンジン」としての当社の役割・機能を飛躍的に高め、新中計に掲げる「CSV経営」の目的である「社会が抱える課題を解決と自社の成長」を強力に推進していきます。

 

 なお、新技研「(仮)MIC」は、前田グループの職員の技術者としての研修機能、および災害時のBCPオフィスとしての機能を付与する予定です。

 

図1:前田建設の「オープンイノベーション推進スキーム」コンセプト図

図1:前田建設の「オープンイノベーション推進スキーム」コンセプト図

 

<新技術研究所 施設概要>

場 所

茨城県取手市(関東鉄道寺原駅より徒歩0分)

※新技術研究所と寺原駅前を一体的に整備することで、地域の振興にも寄与する計画です。

総延床面積 約13,000m2
主要施設 オフィス棟、ラボラトリー棟(総合実験棟、構造実験棟)、多目的屋外実験エリア、エクスチェンジ棟

 

図2:新技術研究所外観(左2棟:ラボラトリー棟、中:オフィス棟、右:エクスチェンジ棟)

図2:新技術研究所外観(左2棟:ラボラトリー棟、中:オフィス棟、右:エクスチェンジ棟)

 

※1<MAEDA-SII>

社会・地球環境に関する課題解決ベンチャーへの投資スキームが「MAEDA SII」です。ICTやIoT、ロボット分野をはじめ、革新的な技術や知識を持ちながら、市場からの資本調達が困難な彼らを資金面から支援し、事業を経済活動に昇華させる取り組みです。単なる経済支援だけでなく当社も共に技術開発を行うなど、より強力に社会的課題の解決に取り組むことでオープンイノベーションを実現し、当社も持続的な発展を目指してまいります。

 

※2<(仮称)ナレッジセンター>

大学や研究機関の先生方との協働により、技術開発戦略や技術マッチング、知財マネジメント等のコンサルティングなどを行う組織。当社にとらわれず、技術による社会課題の解決を目的とする予定であり、一般財団法人等での設立も視野に入れています。

 

※3<CDS>

CDSは、データとデータ構造を一元的に表現するデータモデリングが特徴のアプリケーション開発用ソフトウェアです。複雑な構造データや構造が動的に変化するデータの処理を伴うアプリケーションの開発生産性と保守性の向上を実現します。

 

<問い合わせ先>

〒102-8151 東京都千代田区富士見二丁目10番2号

前田建設工業株式会社 総合企画部 広報グループ

電話:03-5276-5132

 

オープンイノベーション推進型の新技術研究所を創設

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