2018年04月11日山岳トンネル「覆工施工継ぎ目の浮き・剥落防止システム」を開発~圧力センサーで、型枠セット時・コンクリート打設時の過度な押し当てを管理~

<概要>

 前田建設工業株式会社(本社:東京都千代田区、社長:前田操治)は、覆工施工継ぎ目の不具合防止に関する新たな技術を開発し、施工中の宮崎218号 平底トンネル新設工事(宮崎県西臼杵郡日之影町)に適用しました。小型圧力計(以降圧力センサー)を用いた定量管理により、型枠セット時の過度な押し当てに起因するひび割れを防止するとともに、コンクリート打設中の型枠に作用する偏圧防止も可能としました。

 

<詳細>

 山岳トンネルにおける覆工コンクリートの品質に関する課題の一つとして、施工継ぎ目部に発生する不具合があり、竣工後に数年経過してから発生する浮き・剥離・剥落は、供用開始後の安全確保の観点からも重要な課題となっています。

 前田建設工業は、施工中のトンネルだけでなく竣工した工事も対象に施工継ぎ目に特化した不具合の調査を行い、発生要因の分析と防止対策の検討・実験を進めてきました。

 今回、開発した型枠オーバーラップによるひび割れ防止技術では、小型圧力計と硬質ゴムを組み合わせた、隙間・圧力検出センサーをオーバーラップに数か所取り付け、型枠セット時には、これまで当社が施工してきた多数の実績を基に設定した所定の隙間量でセントルの油圧ジャッキを自動停止させ、型枠セット時の過度な押し当てによるひび割れを防止します。また、コンクリート打設中に型枠に作用する偏圧に対しても、押し当て圧力が許容圧力以下になるよう、コンクリートの左右の打ち上がり高さを管理することを可能にするものです(特許出願中)。

 このように、型枠セット時の過度な押し当てやコンクリート打設中の偏圧のような、施工継目部のひび割れ誘発要因を、各種センサーの組合せにより確実かつ定量的に管理できるようにしたことで、覆工コンクリートの品質向上のみならず、従来の熟練工に頼った管理から脱することも可能となり、昨今の技能者不足の解消にも寄与することが期待できます。

 

 前田建設工業は、施工継ぎ目に発生する不具合に関する様々な防止対策技術を立案し品質向上を進めており、全国の山岳トンネルの工事に展開してまいります。

 

宮崎218号 平底トンネル新設工事:国土交通省九州地方整備局発注。一般国道218号高千穂日之影道路の一環として施工。施工延長1665m。掘削工法NATM。工期2016年2月2日~2019年3月29日。

 

 

以上

 

<問い合わせ先>

前田建設工業株式会社 総合企画部 広報グループ

電話:03-5276-5132

 

山岳トンネル「覆工施工継ぎ目の浮き・剥落防止システム」を開発

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