2018年09月25日鉄骨並みの強度を誇る木質材料を世界で初めて建築物へ実用化~都市型木造への可能性を広げるAFRW建築本格始動へ~

<概要>

 前田建設工業株式会社(本社:東京都千代田区、社長:前田 操治)は、木質集成材と炭素繊維等の高機能繊維の複合素材であるAFRW(Advanced Fiber Reinforced Wood・2015年 帝人株式会社開発)※1を建築物の構造材として実用化する世界初のプロジェクトを帝人株式会社(本社:大阪市北区、社長:鈴木 純)と共同で実施し、その第1号物件(事業主:帝人株式会社、場所:東京都日野市の帝人東京研究センター内)の設計を完了、本年10月に着工します。

 

<詳細>

 近年、木のぬくもりがつくり出す快適性、木を使うことによる林業や地域社会の活性化、また木を使い森林を健全化することによる地球温暖化防止への効果など様々な社会課題解決のカギとなる木への注目が集まり、前田建設工業も多くの大規模木造建築物に取り組んでまいりました。そしてさらに木材の利用推進を加速させるために木を活かした新素材の開発・普及が期待されています。そのような社会機運の中、前田建設工業は帝人株式会社が2015年に開発した炭素繊維などの高機能繊維で補強した集成材であるAFRWの実用化に向けたプロジェクトを共同で実施し、第三者機関による材料評定、国土交通省大臣による認定を経て、このたび建築物への実用化第1号物件として10月に着工、今期末の竣工を目指します。

 様々な特徴を持つAFRW建築ですが、最大の特徴は木の良さを保持しながら鉄骨並みの強さを持つことです。今回の第1号物件では「今までの枠を超えた強い木」を体験していただけるよう、これまでの木造では困難であった5mものオーバーハング※2の建築物を提案・設計しており、木のぬくもりや心地よさはそのままに、その強度を活かして非常に開放性に富んだ自由度の高い空間を創り出します。

 また、本プロジェクトは国土交通省が主導する先導的な技術を導入したリーディングプロジェクトへの支援である「平成29年度サステナブル建築物等先導事業木造先導型木造実験棟」に採択されており、帝人株式会社と共同で実使用状況下での居住性の検証や耐久性の実証実験を行うことで実践的な知見を蓄積し、2020年ごろには木造建築の可能性を広げるための一般実用化を、さらに今後市場の拡大が見込まれる都市型木造建築にもその活用範囲を広げていくことを目指します。

 木材利用の関心が高まる中、前田建設工業はCSV-SS※3の理念に基づき、独自の木造技術を通じて多面的に社会と関わり、新しい価値を創り出したいと考えています。今後は木造普及のためのWEBサイト「木で建ててみよう 前田建設×木」(https://kidetatetemiyou.com )で本プロジェクトの取り組みも紹介してまいりますのでこちらもぜひご覧ください。

 

5mものオーバーハングを強調した外観

 

先端にも柱がない自由度の高い空間

 

※1  AFRW:炭素繊維等の高機能繊維を集成材と組み合わせた新しい建築材料。木の特徴を活かしながら一般集成材の2倍以上の剛性を持つ材料で今後様々な用途への活用が期待される。

 

 

※2  オーバーハング:下階よりも上階が張り出し、スペースが広がるように設計された建築構造
※3  CSV-SS(Creating Satisfactory Value Shared by Stakeholders):前田版CSV(Creating Shared Value)。一般的なCSVの概念に加え、建設業の事業基盤に関わる「担い手不足」「労働力減少や高齢化」といった社会課題を含めて、事業のプロセスを改善しながら解決するのが特徴

 

<問い合わせ先>

前田建設工業株式会社 総合企画部 広報グループ

電話:03-5276-5132

 

鉄骨並みの強度を誇る木質材料を世界で初めて建築物へ実用化

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