2018年12月03日次世代技術の研究・開発を担う実験施設を備えベンチャー企業に「場・知・資金」を提供するワンストッププラットフォーム「ICIラボ」の開設~出資などの支援対象となるイノベーションテーマの公募「ICIイノベーションアワード」を開始~

<概要>

 前田建設工業株式会社(本社:東京都千代田区、社長:前田操治)は平成31年1月に創業100年を迎えます。このたび、次の100年へ向けた成長の礎となる先進技術の研究・開発を担い、オープンイノベーションの思想のもと、多様なパートナーとの協創により革新的技術や新ビジネスの実現を目指す場「ICI総合センター ICIラボ」※1(新技術研究所、茨城県取手市)を12月3日にオープンしました。最先端かつ独創的な研究・実験設備に加え、ベンチャー企業などが目指す新事業を社会実装させ、ともに成長するトータルシステム「場・知・資金」を備えた、イノベーション創出のためのワンストッププラットフォームの誕生です。

 12月10日からは、「ICIイノベーションアワード(ICI innovation awards)」を開始します。これは、出資も含めた様々な支援の対象となる多様なイノベーションテーマを公募するもので、2月15日に開催するICIラボの開所式典において優秀者(支援先)を発表いたします。

 

※1  「ICI」とは、Incubation(孵化)×Cultivation(育成)×Innovation(革新)の頭文字からなり、様々な社会的課題に対し市場経済下での解決を請け負うことをビジネスとするために必要な「価値創造」と「人材育成・深耕」のための新拠点とする理念を表現しています。

 

<詳細>

 前田建設工業は、創立100周年の主要施策として「ICI総合センター」を新設します。「ICI総合センター」は、オープンイノベーションにより社会課題の解決を図る「ICIラボ」、そして新たな価値創造に寄与する人材育成と交流の拠点となる「ICI人材開発センター」の二つの主要施設で構成されます。このたび、「ICIラボ」が竣工、12月3日より運用をスタートしました。

 今後のインフラマーケットは、ハード面では新設から維持更新へと変化していくと共に、CPS社会※2への進展を背景に、医療やロジスティクス、エネルギー、情報インフラなどを含めた広義の社会インフラを統合的に扱い、Society5.0に対応した新次元の社会を目指すマーケットへと移行していきます。ここではICT、AI、IoT、ロボット技術など主にベンチャーが取り組む先進技術やサービスを活用し、革新的な技術開発と事業創造を行うことが必須の課題となります。

 「ICIラボ」は、革新的な事業を目指すベンチャーとの連携を進めるとともに、ベンチャー自身が成長するための「協創のための開かれたプラットフォーム」としての様々な機能「場・知・資金」を有しています。「場」としては、幅広い最新の基盤実験施設を導入し、これらを「国内外の多様な開発パートナーの実験場」として開放するとともに、先進的オフィスを職員と同様に自由に利用できます。更に、当社の現場や「愛知アクセラレートフィールド」※3などと連携し、実施工・実構造物での実証の場を提供します。「知」としては、技術、知財、起業、経営、文化などあらゆる分野にわたる数百の外部専門家をティーチィングパートナーとして迎えます。協創者は、彼らの支援を受けることが出来るとともに、当社のAI・IoTセンターの専門家により、先端のAIシステムの実装支援が受けられます。また、複数の当社職員がインキュベーションマネージャーの資格を取得しており、ベンチャーの起業・事業拡大の支援を行います。「資金」では、市場からの資本調達が困難なスタートアップ企業の経済支援スキーム「MAEDA SII」(5頁を参照)を積極的に運用していきます。

 前田建設工業は、今後の中長期的な経営環境の変化を見据え、「ICIラボ」を当社と協創パートナーがともに成長・飛躍し、多様な社会課題を解決していくための重要なCSV経営プラットフォームと位置付けています。

※2  CPS(CYBER-PHYSICAL SYSTEM)、実世界にある多様なデータをセンサーネットワークなどで収集し、サイバー空間で大規模データ処理技術等を駆使して分析/知識化を行い、そこで創出した情報/価値によって、産業の活性化や社会問題の解決を図っていくもの。

 

※3 

「愛知アクセラレートフィールド」とは、当社が出資者の代表企業となっている愛知道路コンセッション(株)が、愛知県有料道路運営事業において、新技術を実証する仕組みです。ベンチャー企業や大学などの先進技術保有者に、愛知道路コンセッション(株)が運営する有料道路のインフラ施設を技術実証フィールドとして無償で提供しています。

詳細は愛知アクセラレートフィールドのホームページをご確認ください。(https://www.acceleratefield.com/ )

 

「ICIラボ」全景

 

 「ICIラボ」の施設は、ベンチャーをはじめとする社外のパートナーとともに、オープンな交流や白熱した議論を通して活気に満ちた知的創造空間を実現させる「エクスチェンジ棟」、研究者らが個の時間と向き合いながら思索に没頭し、同時に心身ともにリフレッシュできる環境を整えた「ネスト棟」、小~大規模までの各種実験を行う「ガレージ1」、「ガレージ2」の4つの棟からなります。

 「エクスチェンジンジ棟」と「ネスト棟」は、協創を促進するためのオフィス環境を整えています。オープンイノベーションを実現するうえで大きな制約条件となる、内外の企業や大学、建設現場などとの距離的障壁を無くす仕掛けとして、執務空間には先進のICT機器を導入し、情報ボーダーを感じさせない共有空間としています。

同時に、「ICIラボ」内にはプロジェクトごとに高度な情報セキュリティを有するITシステムを導入することで、オープンとクローズを併存させた研究環境をパートナーに提供します。

 また、両棟には様々な交流を促すコミュニケーションスペースを設けるとともに、「ネスト棟」は、純木造という執務環境を活かして、個の思索に没頭できるソロワークエリア、ランニングマシンやボルダリングウォールでリフレッシュするエクササイズエリア、カフェエリアなどを備えています。

 なお、「ネスト棟」は先進的な木造構造として設計~施工BIMを取り入れ、「エクスチェンジ棟」は当社のエネルギー技術の粋を集めて、BELS認証制度(建築物省エネルギー性能表示制度)では「☆☆☆☆☆」、かつ『ZEB』という最高ランクの第三者認証を取得するなど、「ICIラボ」自体が技術の展示場としての役割を担っています。

 実験を担う「ガレージ1」「ガレージ2」は、機能別分棟型ではなく2棟が連結した大空間建築です。そこには、ものづくりを基盤とする建設会社として実施工にこだわった最新の基盤的実験施設を機能的に配置するとともに、ロボット化や自動化技術のための高度にICT化された大空間など、独創的な先進研究施設を導入しています(主要な実験設備名は4頁を参照)。また、全ての実験結果を即時に収集・分析し、どこからでもその結果を確認できる先進IoTシステムを導入しています。

 前田建設工業は、「ICIラボ」と平成31年中の完成予定の「ICI人材開発センター」からなる「ICI総合センター」という日本初の総合イノベーションプラットフォームを通し、様々なパートナーとともに社会課題の解決に取り組み、新事業の創出、新たな人材の成長を推進することで、次の100年に向けてさらなる成長を目指します。

 

【ICI総合センター ICIラボの施設概要】

住  所 〒302-0021 茨城県取手市寺田5270 ※関東鉄道寺原駅直結(徒歩0分)
代表電話 0297-85-6171
主要施設 エクスチェンジ棟、ネスト棟、ガレージ1、ガレージ2
全棟延床面積 12,135.36m2

 

●エクスチェンジ棟(免震RCS造・地上3階)

1階:

Community Area

ガラスの移動間仕切りによる、様々な商談や講演会等のイベントに対応できるフロア

2階:

Co-working Area and Workshop Area、Exchange Terrace

活発な議論を誘発し、社内外の研究者の交流を生み、ICIラボ内の多施設をつなぐフロア

3階:

Adviser Area and Private Area

ICT技術を活用し、全国・海外の現場・拠点やパートナーとネットワークを築くフロア

 

エネルギー性能評価

一次エネルギー消費量は、477MJ/m2年、一般的なオフィスビルに比べ、約77%の省エネを実現

環境性能評価

CASBEE(建築環境総合性能評価システム)

新築2016版Sランク取得

BELLS(建築物省エネルギー性能表示制度)

「☆☆☆☆☆」『ZEB』

生物多様性評価(こちらは、ICIラボの外構敷地全体に対する評価です)

JHEP(ハビタット評価認証制度)

「AAA」

 

エクスチェンジ棟のZEBに関する詳細はこちら(プレスリリース:2017/12/06)

新築&改修のダブルZEB実現へ~77%削減する国内トップレベルの省エネ性能~

http://www.maeda.co.jp/news/2017/12/06/4869.html

 

ネスト棟(木造・地上1階)

研究者が思索に没頭できるソロワークエリア、ランニングマシンやボルダリングウォールでリフレッシュするエクササイズエリア、カフェエリア、さらには異次元空間を再現したゲストエリアと、それぞれに全く趣の異なる4エリアに分かれています。

 

ガレージ1(総合実験棟)(S造・地下0階・地上2階)

多目的、総合的な実験を行う施設です。以下のような実験設備を備えています。
人工気象実験施設、音環境実験施設、風環境実験施設、電磁環境実験施設、大型可視化土槽、多目的実験エリア、コンクリート自動製造装置など

 

ガレージ2(構造実験棟)(S造・地下1階・地上2階)

主に構造実験を行う施設です。以下のような実験設備を備えています。
反力壁・反力床、疲労試験機、載荷加熱試験装置(超大型万能試験機)、振動台・動的アクチュエータ、遠心載荷実験装置など

 

ガレージ1、ガレージ2

 

【MAEDA SII:ベンチャー企業などを支援する仕組み】

 社会・地球環境に関する課題解決ベンチャーへの投資スキーム。ICTやIoT、ロボット分野をはじめ、革新的な技術や知識を持ちながら、市場からの資本調達が困難なスタートアップの方々を資金面から支援し、事業を経済活動に昇華させる取り組みです。単なる経済支援だけでなく当社もともに技術開発を行うなど、より強力に社会的課題の解決に取り組むことでオープンイノベーションを実現します。

 

【ICIラボの開所式典、出資などの支援対象となるイノベーションテーマの公募】

 平成31年2月15日(金)に「ICIラボ」の開所式典を行います。12月10日(月)からは、出資などの支援対象となるイノベーションテーマの公募「ICIイノベーションアワード」を開始、2月15日の開所式典において選考結果を発表いたします。

公募概要は、「ICI総合センター」のHP(https://www.ici-center.jp/ )に12月10日に専用サイトを開設します。

 

なお、このたびのICIラボオープンに伴い、東京都練馬区の技術研究所は運用終了となりました。

 

<問い合わせ先>

前田建設工業株式会社 総合企画部 広報グループ

電話:03-5276-5132

 

ネスト棟(木造、カフェエリア)※什器備品設置前

 

「ICIラボ」の開設

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