2018年12月14日CLT材のプレカットと精密彫刻が可能となる大規模木造用ロボット加工機を「ICIラボ」に設置~恐竜骨格標本の複製で性能を実証~

<概要>

 前田建設工業株式会社(本社:東京都千代田区、社長:前田操治)は、国立大学法人千葉大学(千葉県千葉市、学長:徳久剛史)と共同で、BIM(Building Information Modeling:建築3次元モデル)のデータから大規模木造建築に使用するCLT材※1などの構造材を自動加工できる多関節ロボット加工機を開発し、このたび開設した自社施設の「ICIラボ」(新技術研究所、茨城県取手市)に設置しました。

 

<詳細>

 前田建設工業は、大規模木造建築のリーディングカンパニーとしての技術を確立すべく、既報のとおり※2千葉大学大学院工学研究科の平沢研究室と、BIMデータを生産の現場へ連携できる木造新生産システムの共同研究を進めています。従来、大規模木造で使用する構造材の加工は大掛かりな専用機が必要とされ、特にCLT材を加工できる機種は限られていました。今回開発されICIラボに設置されたロボット加工機は、産業用多関節ロボット(ファナック製)2基と専用の搬送台で構成され、材料の縦置きによる同時両面加工の実現により、比較的小面積での設置が可能であり、CLT材をはじめとする新しい材料の加工に対応します。また、先端ツールを交換し3次元データを用いた彫塑的な(ミリング)加工をおこなうことも可能で、これにより伝統建築における意匠的な装飾を施した材料などの自動加工についても、BIM三次元データから一気通貫で加工が可能です。実際のCLTの加工および細密形状の加工をICIラボに設置した実加工機で検証し、精度・加工スピード等の性能を確認し、純国産の先進的木加工機が実用化しました。

 設置場所の面積は、従来機と比較して大幅に低減し、製造ラインや切削対象物に応じてロボットの配置計画を適宜行うことで自由度の高いライン設計が可能となります。大判CLTなどの従来機では加工が困難だった材料も、ロボットの台数を拡張することで加工速度を増すことができます。多関節型ロボットを用いた材料の全面同時加工は、精密加工や曲線加工が可能なため、細密な木質内装加工、複雑な型枠の制作、家具什器や芸術作品にも適用可能です。

 ICIラボ内のネスト棟(木造・地上1階、約800m2)では、本加工機でカットした材料を構造材として使用しました。さらに精密彫刻の性能実証を目的とした恐竜骨格標本の複製製作を福井県立恐竜博物館・福井県立大学恐竜学研究所監修の下で行っており、平成31年2月のICIラボ開所時に公開の予定です。

 

 前田建設工業はCSV-SS※3の理念に基づき、木造技術を進化させることで国内の林業再生と環境負荷低減に向けた取り組みを進めてまいります。

 

※1 

CLT(Cross Laminated Timber)

 ひき板(ラミナ)を並べた後、繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料。厚みのある大きな板が製作でき、建築の構造材として使用される。海外ではCLTを使った高層建築が建てられ、CLTの利用は国内外で急速な伸びを見せている。

 

※2 

2018年4月25日のプレスリリース

「BIMデータ連携で木造新生産システムを実現する大規模木造用ロボット加工機を開発」

(詳細はこちらへ)

http://www.maeda.co.jp/news/2018/04/25/4871.html

 

※3  CSV-SS(Creating Satisfactory Value Shared by Stakeholders)
 前田版CSV(Creating Shared Value)。一般的なCSVの概念に加え、建設業の事業基盤に関わる「担い手不足」「労働力減少や高齢化」といった社会課題も含めて、事業のプロセスを改善しながら解決するのが特徴。

 

 

 

<問い合わせ先>

前田建設工業株式会社 総合企画部 広報グループ

電話:03-5276-5132

 

CLT材のプレカットと精密彫刻が可能となる大規模木造用ロボット加工機を「ICIラボ」に設置

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