2021年11月25日業界初、半天球カメラ画像をAI認識する重機接触防止システムの導入

<概 要>
 前田建設工業株式会社(本社:東京都千代田区、社長:前田  操治、以下「前田建設工業」)は、株式会社レグラス(本社:東京都新宿区、社長:古澤 弘毅、以下「レグラス」)の開発した半天球全方位AIカメラ「OmniEye®(オムニアイ)」を業界で初めて試行導入しました。

 

<詳 細>
 国内の建設現場における事故発生件数は年々減少傾向にあるものの、重機事故に関しては横ばいの状況が続いています。なかでもバックホウ等と作業員の接触事故は重機事故の半数を占めており、重点的に対策を行う必要があります。事故原因としては重機作業には死角が多く、オペレーターが全周を確認しづらいことや、視覚範囲内であっても、合図・確認の不徹底、誤操作などがあげられます。

 

 そこで、前田建設工業は画像処理技術を強みとするレグラスの開発した「OmniEye®(オムニアイ)」を試行導入しました。本カメラシステムは魚眼レンズを使用した半天球カメラで、単眼測距技術(特許6940907)を用いることで、周囲360°、半径5m範囲の人物を画像認識(AI)で検知します。(写真1)半天球カメラは重機に接近した作業員を検知して光や音で発報し、重機を自動停止させることで死角に対して周辺安全対策を実現し、事故を未然に防ぐことができます。

 

 重機接触防止技術は「赤外線」や「磁界」を活用した技術など、様々な検知方法があります。このような技術は、作業員が人を検知するためのICタグを持つ必要があり、ICタグを忘れた場合は検知することができないという問題がありました。しかし、今回導入したシステムは対象重機に小型の半天球カメラを設置し電源を供給するだけで、画像解析により人を検知できるため、ICタグなどに頼ることなく安全性の向上が見込めます。さらに、独自開発のISP、レンズ歪み補正、画像鮮明化などの画像技術を用いた前処理を実施し、独自のAIで人物検知と測距を行って、ネットワークを繋がずにエッジで完結するシステムです。その他、培ってきたカメラ制御技術を搭載しており、夜間、霧、雨、逆光などの環境でも使用することができます。

 

 今回試行した現場では、バックホウの後方に1台の半天球カメラを設置し、画像認識精度確認や死角の確認を実施しました。実際に体の一部が見えない状態やしゃがんだ状態でも人として認識し、認識精度が高いことが確認されました。しかし、バックホウ後方1台のみの設置では、前方は検知しないため、重機オペの視認に頼る必要がありました。今後は、半天球カメラを前方後方の2台設置することで死角をなくした周辺安全対策を実施し、安全性の向上を図ります。今期中には立坑掘削現場で5台以上のバックホウが輻輳し、中間杭などの支障物の多い立坑掘削作業にて、重機接触防止の切り札として本格導入予定です。

 

 前田建設工業は、労働災害防止に寄与するICT技術の導入を促進し、事故のない安全な現場を目指しています。中でも建設業における重大災害の一つである、重機接触災害防止に積極的に取り組んでおります。様々な重機接触防止システムの特性を把握することで現場ごとに適切なシステムの導入を引き続き進めてまいります。

 

写真1 半天球カメラのモニター画像

 

<問い合わせ先>
前田建設工業株式会社 経営革新本部 広報部
電話:03-5276-5132

 

業界初、半天球カメラ画像をAI認識する重機接触防止システムの導入

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