勝どき六丁目再開発#2

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地下工事 建物を支える基礎を築く

 東京都中央区勝どき六丁目に、住宅としては東京で最高層となる地上58階・地下2階、高さ193.5mの超高層マンション2棟とプール等の共用施設を有する低層棟1棟を建設する。
 着工は2005年1月。建物を支える基礎工事が始まった。
 勝どきは比較的地盤が良く、表層6~7mは軟弱な地盤ではあるが、それ以降は支持地盤として充分な地耐力を有する。高層棟は地下16mの支持地盤に約69m角、高さ4mの直接基礎により支持される。
 掘削した残土約22万m2は、土質によって指定された処分場に運搬しなければならない。残土の量は、大型ダンプトラックに換算すると、3万6000台分となり、交通渋滞を引き起こす恐れがある。「そこで、陸上運搬と朝潮運河を利用した海上運搬を計画した。海上運搬は運河に杭を打って積み込み用桟橋を架設し、ダンプトラックにより直接残土を船に投入し、効率のよい掘削工事が実現できました」と工務課長の萩原浩。
 直接基礎のマスコンクリートはセメントの種類や施工方法を検討した結果、平面四分割、上下二分割の8ブロックに分割し、ポンプ車6台で1日あたり2800k、合計4万m2の生コンを連日のように打設した。

勝どき6丁目再開発作業所
課長(工務担当)

萩原 浩

現場桟橋上での残土搬出

 建物の重量を支える1階の柱のうち12本に、打設時点で、国内最高強度の130N/mm2の超高強度コンクリートが採用された。
 超高強度コンクリートの採用にあたっては、本店技術研究所、関東支店技術部を中心に生コンメーカーとの共同で、試験練りや強度確認を実施し、打設要領・品質管理方法を確立し、公的機関による評価認定を取得した。
 また、地震対策としては制振構造が採用され、制振間柱が各棟に576本設置されている。制振間柱の性能については、技術研究所において、構造実験を行い、RC躯体への固定方法については実物大施工実験を経て、性能・品質を確認した。
 制振間柱は、H形鋼の一部にはめ込んだダンパー(低降伏点鋼)で地震エネルギーを吸収する仕組みである。ユニット化されているため、建物の随所に分散して設置することができ、地震後の補修やメンテナンス性にも優れている。
 このような構造により、地震に強く、耐久性の高い建物を実現している。

現場で設置された制振間柱
点線で囲まれた部分がダンパー
(低降伏点鋼)

 躯体工事には、PCaによる積層工法が採用された。PCaは、柱、梁、廊下、床の順で建て込み、コンクリートを打設する。外周部には、工場で外壁のタイルを打ち込み、「柱仕口一体型PCa」を採用し、施工性と建物の品質を高めている。
 北棟「ミッドタワー」担当工事長の横内世志友は「PCaは一定の規格で工場生産されるので、現場での作業を極力抑えています。施工サイクル初期段階では試行錯誤の連続でしたが、作業員が習熟したことにより、基準階を1フロア4日で施工できるようになりました」と語った。
 構造体の施工のあとを追うように、内装や住宅設備が進んでいる。
 設備担当課長の長谷川繁は「配線や配管は工場で加工し、現場での作業を極力少なくするなど、超高層ならではの数多くの工夫をしています」と語った。
 各住戸の生ゴミはディスポーザーにより破砕・排出され、地下2階ピットに配置されたディスポーザー排水処理槽で分解・浄化される。この処理槽には、前田建設がコンクリート打設のために開発した「M-Yミキサ」が採用されている。
 汚水は1600tの汚水槽に一度貯蓄し、公共下水道の処理能力に対応している。
 オール電化となっているため給湯設備にエコキュート、IHクッキングヒーター、電気式浴室換気乾燥機を設けている。
 キッチンやユニットバスや洗面化粧台等は、最新鋭の高規格の製品をラインナップしている。

ガラスカーテンウォール
建物の四隅すべてがガラスカーテンウォール。外観のデザインをシャープな印象に仕上げ、内部からはワイドな景色を楽しめる。

地下1階の配管設備

勝どき6丁目再開発作業所
工事長(北棟担当)

横内世志友

 

勝どき6丁目再開発作業所
課長(設備担当)

長谷川 繁

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