豊実発電所改修工事#1

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水力発電は、純国産のクリーンエネルギー。東北電力(株)における
初の水力発電所大規模改修で、後世に残る発電所を造り上げたい

 豊実発電所改修工事について、発注者である東北電力株式会社豊実・鹿瀬発電所工事所 副所長の油井義郎氏は「当社管内には210数カ所の水力発電所があります。その中で、只見川・阿賀野川の本川には11のダムと、それに付随する16の発電所があり、最大出力約86万kW(揚水発電所46万kwを含めると132万kw)という、当社最大の水力電源地帯を形成しています。
  豊実発電所(出力5万6400kW、最大使用水量270m3/s、昭和4年運転開始)は、只見川・阿賀野川水系で最も古い発電所の一つです。十数年前の余寿命診断により、水車・発電機本体、発電所基礎、建物のコンクリート部に抜本的な補修が必要であるとの結果を受け、改修工事計画を検討し、最大使用水量はそのままに、従来の立軸フランシス水車6台を立軸バルブ水車2台に変更し、これに併せ水槽、発電所、放水路、放水口を改修することを決定しました。
  水力発電は、風力発電や太陽光発電と同様、運転の過程で二酸化炭素を排出しない貴重な純国産エネルギーですから、今後、水力発電の価値も見直されるであろう、と私は考えています」
  さらに、本改修工事の発注の経緯について「前田建設さんは、私が10年ほど前に担当した新鷹の巣発電所(平成13年1月運転開始)や、当社が初めて立軸バルブ水車を採用した第二上野尻発電所(平成14年運転開始)をはじめ、当社の只見川・阿賀野川水系の水力発電所を数多く建設した実績があります。
  特に、新鷹の巣発電所の建設工事で採用した『半川締切工法』を、本改修工事にも採したので、以前の経験を十分に活かし、今後も安全第一で、的確に施工していただきたいと思います」と語った。
  この現場での前田JVの仕事ぶりについて、東北電力株式会社豊実・鹿瀬発電所工事所 土木課の永井志功氏は「河川内の工事は当初計画より大幅に遅れ、12月からの施工となりました。本改修工事の難所の一つである『放水口仮締切』の施工では、仮設計画を変更し、真冬にもかかわらず昼夜作業を決行して、工程の遅れを取り戻したこと。固い岩盤によるマシーントラブルの頻発や冬場の出水に直面したとき、課題解決に全力で粘り強く取り組み、無事故・無災害で工事を終えたこと。このようなことから、前田建設さんの技術力と底力を肌で感じました。
  本改修工事は、当社初の水力発電所の大規模な改修工事です。既設設備との取り合いなど、非常に難しい条件がありますので、前田建設さんの実力を遺憾なく発揮し、技術的な課題解決策、万全な安全対策およびコスト低減策など、積極的な提案に期待しています。後世に長く残る豊実発電所を一緒に造り上げていきたいと思います」と前田JVへの期待を語った。

2号放水路立坑を望む

東北電力株式会社
豊実・鹿瀬発電所工事所 副所長

油井 義郎氏

東北電力株式会社
豊実・鹿瀬発電所工事所 土木課

永井 志功氏

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