北陸新幹線 足羽川橋りょう他#1

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難しい条件が幾重にも重なる現場で周辺住民が安心して見守ることができる工事を。

細心の注意が必要な現場

 2022年度末の開業を目指し、現在、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が主体となって、北陸新幹線の金沢─敦賀延伸工事が各所で進められています。
 前田建設JVさんが担当しているのは、福井駅から敦賀に向かって約1.4㎞、途中にある足羽川を挟んだ区間です。駅の周辺なのでJR北陸本線との併走区間となります。ひとつ間違いが起きると、第三者への影響が非常に大きくなるため、安全管理には特別な注意が必要な工区です。
 また、住宅街に近いところも通るので、当然ながら付近住民のケアが必要な上、営業線と住宅の間は工事のための作業ヤードの確保が難しい場所でもあります。
 それに加えて、足羽川に架ける橋りょう工事があります。河川内の工事というのは自然が相手となるため、さまざまな不確定要素を抱えることになります。例えば、降雨による急な増水などに備えた対策も必要です。
 地元の皆さんにとってはなじみのある河川での工事でもあるため、当然ながら環境に配慮した施工も必要となります。
 そのため、『工事かわら版』などを通して進捗状況を公開し、ご理解いただくようにしています。
 2004年の福井豪雨では足羽川が決壊し、大変な被害が発生しました。それ故、足羽川の河川工事は、付近住民の方々が安心して見ていただけるものでなければなりません。

創意工夫で工期を縮める

 足羽川橋りょう工事は、まさに最盛期にさしかかっています。
 一昨年の大雪で、足羽川橋りょう工事には大幅な遅れが生じてしまい、ただでさえ厳しい条件下の工事であるにもかかわらず、さらに遅れを取り戻す必要が生じました。
 そこで、従来は許可が出ていなかった出水期にも工事を進める策を前田建設JVさんからご提案いただき、実行することになりました。それが現在、足羽川にかかっているスーパー桟橋です。コストもかけた大がかりな工事が必要になりましたが、河川の水量の増える出水期にも工事を継続するため、この桟橋工事の決断をしました。

近隣住民から届く大きな期待

 前田建設JVさんには、作業ヤードの狭い状況の中、本当に厳しい環境での工事をやっていただいているという認識です。民家も近いので、工事前には騒音や粉塵などの問題が出てくるのではないかという心配があったのですが、この工区では地元からの苦情などはほとんどなく、丁寧に作業を進めていただいています。
 工事が進んで行くにつれて、地元からの期待の高まりも感じるようになりました。メディアの取材や報道も増え、最近では連日見学会が実施されています。
 北陸新幹線の金沢─敦賀間の開業に向け、安全に軌道設備にバトンタッチできるように、繋いでいきたいと考えています。

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構 大阪支社 福井鉄道建設所長 山根 秀則氏

独立行政法人
鉄道建設・運輸施設整備支援機構
大阪支社
福井鉄道建設所長

山根 秀則氏

現場図解

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福井駅前高架橋工事始点側(1BL工区)を望む

福井駅前高架橋工事始点側(1BL工区)を望む

敦賀方面工事終点側(6〜10BL工区)を望む

敦賀方面工事終点側(6〜10BL工区)を望む

施行地区平面図

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北陸新幹線福井駅完成イメージ

北陸新幹線福井駅完成イメージ

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