VIVOVA VOL.119 2023 SUMMER
10/16

今回の工事は、単なる新築工事ではなく、三方で既存校舎との接続工事を行いつつ進めます。体育館やプールを擁する学校建築ということで、騒音や振動に強いSRC造を採用しています。建物の形状も複雑で、作業所メンバーだけでなく社内の部門を超えた職員の知見を活かした計画のもと、工事が進められています。2021年の夏休み期間中から準備工事を行い、8月末から解体工事が始まりました。既存の旧東館にはアスベストが多用されていたため、生徒さんや周辺環境に影響がないよう、アスベスト除去工事は最大限に配慮して作業を進めました。住宅が近接する作業環境ということで、近隣環境にできるだけ配慮して工事を行っています。周辺への影響を考慮すると、大型車両の通行を極力抑えて工事を進めることが有効であると考えて、工事方法を決定しています。本来は、地下の基礎躯体を取り除いた状況から周辺地盤の高さまで埋め戻し、杭工事を進める方法が効率的です。しかし、工事車両の出入りを最小化するため、今回は埋め戻しをせず、周辺地盤から3・5m下がった状態で杭打ちや山留め作業を進めることにしました。 車両を減らす工夫はほかにもあります。設計段階では、現場で鉄筋カゴを建て込んでコンクリートを打設する現場造成杭の仕様を想定していました。これも車両の往来を減らすため、既成杭を埋設する方法に設計変更をしています。 現場の状況に合わせた設計変更は随時行いました。今回は、4階体育館の床が3階よりも外にはね出す構造となっているため、限られた建設エリアの中で楊重用のエレベーターを設置することが困難な状況でした。そこで計画を見直し、設計建物配置図段階では鉄筋コンクリート造であった大階段を鉄骨造に変更してもらいました。こうすることで、届いて設置した瞬間から現場の階段として利用できます。足場を使って昇降するよりも安全性が高まり、資材の運搬も容易になります。 ヤードや道路が狭いことは、鉄骨の搬入や組み立てにも影響します。居ながら施工で進める複雑な形状のSRC造建物車両の出入りを極力抑える計画で近隣へも配慮BIMを駆使したパズルのような鉄骨の組立作業鉄骨建方施工状況(2022/12/21)施工BIMヤードや道路が狭く、鉄骨は分割された状態で搬入され、組み上げることになる。隣接棟との兼ね合いなど、BIMでシミュレートしてから工程を決めた。既既製既製既製既製既製既製既製既製既製既製既製既既製既製既製既製既既製既製既製製製既製既製杭製杭製杭製杭製杭製製杭製杭製杭製杭製製製杭製杭製杭杭杭杭杭杭杭施工施工状施工状施工状状施工状状状状状状施工状状工状状状状状況(2況(2況(況(2況(況((2況(2況(2況(2況(2(222況(22況(況(況(2況況況況(況況(2(況(2況(2況(2況2況(況(22況況況(2(況(2況(2222況況022022022022022022022222202220220220222///5/5//5//5//5///555//5/5//5////24)24244)4)24)24)4)4)4)4)4)4)4)))24)4)4)4)4)44)24)4)4)4)4)224)4)24))24))24)2)444)))))アスベスト除去状況(2021/9/3)構台施工状況(2022/7/22)作業用構台設置地下躯体工事のあと、1階部分に作業用構台を設置して、奥から鉄骨を組み上げる建て逃げ方式で作業を行っ行った。   ※既存棟躯体解体状況(2021/12/1)※ SRC造 : 鉄骨鉄筋コンクリート造本郷桜蔭学園作業所課長 岩佐拓未主に工務を担当しています。工務をメインで担当するのは初めてで、今では珍しいSRC造の建築、プールや体育館といった特殊な用途があるので、新しい経験が多い現場になっています。今回は先生方と直接打合わせするので、建築の内容を理解しやすく説明するなどの工夫もしています。解体・アスベスト除去既存棟の解体では、基礎撤去など、大きな騒音と振動が発生するため、近隣とのコミュニケーションを密に取りながら作業を実施した。上屋の撤去は約1カ月だったが、アスベストの除去は慎重に行い、作業にはほぼ3カ月を要した。既存棟地下解体状況(2021/12/6)o9

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る