VIVOVA VOL.119 2023 SUMMER
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山肌が、若葉や山桜で彩りはじめる早春に、奥秩父の水路式発電所の改修工事現場に伺いました。水路式発電とは、川の上流に小さな堤をつくり、水を取り入れて、長い導水路で適度な落差が得られるところまで水を導き、その落差で水車を回して発電する方法です。運用開始から約百年を超え、老朽化した水路式発電所の導水路トンネルや水圧鉄管、水車発電機基礎、発電所建屋などを改修する工事とのこと。「百年も前から発電を続けてきたレガシーのような発電所ですが、まだ活かせる設備は残しながら改修するため、地道な作業が続く現場です」と現場を案内していただいた宝利所長。百年前の先人の技術も相当に高かったようですね!現場に入ると、まず目につくのは急斜面に張り付くようなモノレール。現場上部の導水路トンネル出口から下部の発電所建屋までの急斜面にある水圧鉄管部分は、標高差約で垂直に落ちる感じ!だから資機材やコンクリートを現場上部に運ぶこのモノレールはかかせません。上部の導水路トンネルは約2500mも先の二瀬ダムまで縦横2mほどのトンネル。みえない先はとてつもなく長い。先人はよく掘りましたね。しかもちゃんと繋がるなんてすごい技術です。途中、素堀り区間と巻立て区間があり、改修工事のひとつはこの素堀り区間のアーチ部と側壁をモルタル吹付け作業とインバートコンクリート(敷コンクリート)を打設。巻立て区間は、インバートコンクリートを打設します。そのために、この長くて狭い導水路トンネル内では働き者の小型のキャリアダンプが活躍しています。三台一組で長い導水路を往復稼働中。ここにもがんばり屋さんがいました。他にも、あのモノレールが活躍する急斜面では、水圧鉄管の改修工事もあり、古い鉄管の撤去工事では直下にある国道を深夜に通行止めにして作業したそうです。斜面下にある発電所建屋では、2基の発電機を入れ替えるためにコンクリート基礎を撤去したり、建屋の耐震補強工事などをしたり、上から下までいろいろな工事が進んでいます。さらに驚いたのが、この発電所で発電に使った水は、下流の発電所でも再利用されるとのこと!環境にやさしいこと計り知れないですね。さらなる次の百年を目指して地道に改修工工事事事はは続続続ききまますす。。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ザ現場検SHOw■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■工 事 名/宮平発電所土木・建築工事並びに関連除却工事発 注 者/東京発電株式会社工事場所/埼玉県秩父市大滝1796−2 宮平発電所内工  期/2021.6〜2025.2工事内容/導水路工事・水圧管路工事・水車発電機基礎工事・発電所建物工事宮平作業所東発宮平作業所 所長 宝利 宏 111170mで斜度は約45度とのこと。まる■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■  建建設設現現場場ににみみるる    ふふししぎぎなな真真実実、、意意外外なな種種明明かかしし・・・・イラスト&テキスト モリナガ・ヨウ1966年東京生まれ。イラストレーター、画文家。早稲田大学教育学部卒(地理歴史専修)、漫画研究会出身。主な著書に『モリナガ・ヨウの土木現場に行ってみた』『図解絵本東京スカイツリー』『築地市場 絵でみる魚市場の一日(第63回産経児童出版文化賞大賞受賞)』工事の全体像水路式発電の断面図■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

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