VIVOVA VOL.119 2023 SUMMER
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百周年記念事業の建て替え安全性を重視した設計活発な学園生活を支える校舎に桜蔭学園の校舎は、本館と西館、講堂、東館と特別教室棟の3つに分かれて構成されていて、間に公道を挟んだ敷地になっています。今回改築を依頼した旧東館は1975年の竣工で、1931年竣工の本館以外では最も古い校舎でした。当校の八十周年記念事業として建設された西館など、少しずつ校舎を新しくしていく中で、今回、百周年を迎えるに当たっての記念事業として、東館の建て替えを実施することになりました。西館の工事をはじめ、前田建設さんとは長いお付き合いがあり、当校の考えをよく分かっていただいているという安心感があります。また、建築以外でも校舎の一部を使いやすいように改善したいといった相談をするたびに、親身になって対応していただいてきました。そのような長年の信頼関係もあり、今回の東館の建設もお願いすることになりました。 旧東館には半地下のプールがあった関係で、1階へは道路に面した階段を上って校舎に入る構造になっていました。この状況を改善し、生徒や関係者が安全に出入りできるようにすることが、改築の目的のひとつにありました。また、五十年前はまだ珍しかった屋内プールや3階の体育館などの運動施設を時代に合った使いやすいものにしたいという要望や、サイエンス分野に興味を持つ生徒が多いこともあり、理科系の教室を充実させ、フロアを増やしたいという要望もありました。改築前、公道を挟む旧東館と     教室の移動など、安全性や利便性講堂は上空通路でつながっていましたが、西館との行き来は間の公道を渡ることになっていました。を考えると、東館と西館も上空通路でつなぎたいという要望は以前からありました。公道をまたぐ上空通路の設置には大変手間のかかる手続きが必要なのですが、前田建設さんの努力により実現することになりました。新校舎の建築委員会はわれわれ教師で構成しており、前田建設さんと直接相談させていただきました。いただいた設計アイデアから、生徒の安全性や使い勝手を考慮して、いろいろと要望を伝えたのですが、ひとつひとつ誠実にご対応いただいています。なお、今回このような大工事で、大きな音が出たり、工事車両の出入りがあったりします。しかし、所長さんをはじめ現場の皆さんが近隣の方々としっかりコミュニケーションを取ってくださったおかげで、工事は円滑に進んでいます。そういった細かな配慮にもたいへん感謝しています。 新校舎の誕生で、理科系の教室も増え、文化祭などで外部の方々に発表できるスペースも増えます。さらには、教室の外に相談コーナー機能をご提案いただき、設置することになりました。生徒と教師、保護者や近隣の方々とのコミュニケーションが活発になる校舎の誕生に、大いに期待しています。活発な学園生活を支える安全で快適な校舎がコミュニケーションを生み出す上空通路外観(完成予想図)上空通路外観(完成予想図)上空通路/西館側より(完成予想図)上空通路内部(完成予想図)2階内部廊下(完成予想図)一般教室(完成予想図)一般教室(完成予想図)物理室(完成予想図)物理室(完成予想図)2021年7月 東館解体前(魚眼レンズ使用)2021年7月 東館解体前(魚眼レンズ使用)学校法人桜蔭学園理事長 齊藤由紀子氏学校法人桜蔭学園教頭 小林裕子氏学校法人桜蔭学園教務主任 井上瑞穂氏o7

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