VIVOVA VOL.120 2023 AUTUMN
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循環型道路を結ぶトンネル近隣への配慮が行き届いた工事最新のICT導入での成果日田5号トンネル「中津日田道路」は、高規格道    クを形成するための要となるルー路として整備されているもので、中津港から日田市に至る延長約大分県北西部の中津市と日田市の行き来を円滑にするという重要な役目に加え、大分自動車道などを含む九州横断自動車道と東九州自動車道を連結し、福岡市や北九州市などとの循環型ネットワートとなります。日田5号トンネルは、この中津日田道路の日田市側に位置する長さ869mのトンネルとなります。現国道の212号では自然災害等による通行規制がたびたび発生しています。また大石峠付近では冬季に積雪や凍結などによる問題もあります。この日田5号トンネルを含む全長8.8㎞の日田山国道路が開通すると、移動時間の短縮などの利便性だけでなく、移動の安全性も確保できるようになります。日田5号トンネルは、日田市側から掘削しており、近隣には集落があります。そのため、騒音や粉じんへの対策など、周辺住民に対する環境面での配慮が重要な現場と考えています。その点において前田建設さんには、さまざまな配慮をしていただいています。まず、仮設備ヤード内の路面をすべて舗装して、土ぼこりなどを抑える対策を施してもらいました。その上で、トンネル入り口に二重の大型防音扉を設置、ダンプなどの工事車両のタイヤ洗浄の徹底、水の散布など、騒音・粉じんに対してしっかりと対策を取ってもらっています。トンネル内を常にクリーンに保っていただいているのも印象的です。トンネル内の粉じんなども少なく、トンネル工事の現場が整然と保たれています。それにひと役買っているのが、ベルトコンベアの導入です。掘削時に出たずりはトンネル内で破砕して、通常はダンプで運ぶところをベルトコンベア方式を採用していただき、ダンプの出入りを抑えることで、粉じんや騒音が大幅に軽減されています。 また、現場の皆さんは地域の行事などに積極的に参加していただいていたりと、地域の方々としっかりとコミュニケーションを取っていただいている点もたいへんありがたいです。 当初からご提案のあった最新のICTを駆使した工事も、この現場の大きな特徴です。特に、「鋼製支保工建込みロボット」を導入した切羽の工事では、立ち入る人員が大幅に減っている印象です。単に効率を上げるだけでなく、従来よりも安全な環境で工事が実施されている点には感心しました。 所長を始め、現場の皆さんが積極的に新しい技術に取り組み、実際に成果を挙げられていることは、心強く感じます。引き続き安全な現場を維持していただき、工事が完了することを期待しています。大分・福岡・北九州をつなぐ循環型ネットワークが生まれようとしています現場搬入直後の鋼製支保工建込みロボット現場搬入直後の鋼製支保工建込みロボット山国川2012年 一般国道212号被災状況2012年 一般国道212号被災状況凍結により冬季に事故が多発凍結により冬季に事故が多発大分県日田土木事務所 中津日田道路建設室室長宇佐野玄太氏o77o777777o7o77o7o777o7o7o7o77■■■■■■ 国土地理院 地理院タイル 全国最新写真(シームレス)を加工して作成 至大石峠掘削方向坑口仮設作業ヤード55㎞に及ぶ区間を結ぶ道路です。

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