今回は東京下町地区の鹿浜橋付近で、川幅のある荒川をまたいで約3㎞も掘り進む送水管新設用のシールド工事現場に伺いました。早速、現場に到着すると、そこには縦に円柱型の大きな構造物が。それを取り囲むようにたくさんの設備が所狭しと設置されています。現場の五十嵐所長から「まずはシールドマシンを発進させるための立坑を、ニューマチックケーソン工法で毎日約30㎝〜40㎝のスピードで地下約51mまで掘っています」とのこと。この工法は、あらかじめ地上で下部に作業室を設けた鉄筋コンクリート製の函(はこケーソン)を造ります。その作業室に地下水圧に見合う圧縮空気を送り込んで地下水を排除しながら掘削し、函はこの自重を利用して所定の位置に構造物を沈下させることで設置する工法とのこと。ムムム!わかるような?わからないような!簡単に言うと、右上の絵のように、例えばコップを伏せて水中に沈めると、中に水のない空間が出来ますが、空気が圧縮された分、水が浸入します。そこで、コップの中にその水圧に見合った圧縮空気を送り込むとコップ内の水は、コップの先端まで押し戻されます。この圧縮原理を利用して、地中深くでも構造物の下で掘削作業を行うことが出来るという仕組みのようです。とはいえ、圧縮空気中での作業室の掘削作業は人体にとっては厳しい環境。そこで浅い掘削段階以外は地上での遠隔操作によるケーソンショベルで掘削しています。まるでゲームのようで実際に地下で掘っている画面がモニターにリアルに映っています。その操作は迅速!かつ正確!です。掘削土砂はアースバケットに積まれてマテリアルロックという垂直の管から排出されます。このアースバケット君がとても働き者で土砂受け設備の真上で回転して上下反対になり土砂を排出する仕組みです。その他、大事な圧縮空気を管理する大型コンプレッサ装置や人の出入を可能にするマンロック装置。驚いたのは人命に関わる救出装置がとても充実していることです。作業の安心安全は第一優先ですから!また実は立坑作業ヤードを作る前に、工事場所の樹木の保護保全の要望があり、樹木移植先の協議で、約1年間、工事中止となっていたそうです。人体の仕組みのような設備で正確に工事が進むのはたくさんの人の知恵が詰まっているのですね。ザ現場検SHOw工 事 名/足立区鹿浜一丁目地内から北区王子五丁目地内間送水管 (1350mm)新設工事(シールド工事)工 事工 名/名足立区鹿浜一丁目地地内から北区王子発 注 者/東京都水道局工事場所/足立区鹿浜一丁目2番地内〜北区王子五丁目2番地内間工 期/2019.11〜2025.3 工事内容/本工事は、新設中の王子給水所と既設の北鹿浜増圧ポンプ所を つなぐ送水管築造工事鹿浜シールド作業所五十嵐善行 所長11 建建設設現現場場ににみみるる ふふししぎぎなな真真実実、、意意意意意外外なな種種明明かかしし・・・・イラスト&テキスト モリナガ・ヨウ1966年東京生まれ。イラストレーター、画文家。早稲田大学教育学部卒(地理歴史専修)、漫画研究会出身。主な著書に『モリナガ・ヨウの土木現場に行ってみた』『図解絵本東京スカイツリー』『築地市場 絵でみる魚市場の一日(第63回産経児童出版文化賞大賞受賞)』■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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