3つの目的を備えたダム豊かな自然への配慮経験に裏打ちされた施工と配慮現場工事エリア 約7㎞水害が多発する地域の治水と安定した流水そして、エネルギーを提供します内ケ谷ダムは、岐阜県で管理するダムとしては6つ目で、県が建設するものとしては最大のダムとなります。1978年に予備調査を開始し、アクセスルートなどの整備を経て本体工事に着工したのが2016年、竣工は2027年度を予定しています。 現場となる亀尾島川は岐阜と福井の県境に源流があり、郡上市大和町から八幡町を流下し那比川と一つになったあと長良川と合流する、流域面積120・4㎢、流路延長24・1㎞の一級河川です。この地域は非常に雨が多い場所で、年間の平均降水量が3000㎜にも及ぶような多雨地域になっています。そのため長良川流域では、以前から何度も大きな被害をうけてきました。中でも、2004年の台風第23号による豪雨では戦後最大の出水となり、甚大な被害が発生しました。このダムを建設する最も重要な目的は、まさにそういった被害を軽減し、流域の治水安全度を向上することです。第二の目的は亀尾島川自体の流水の調整です。ダム下流河川の流量が不足しているときはダムの貯※1留水を補給することで、沿川の既得取水の安定化や河川環境の維持・保全を図ります。そして第三の目的は、ダムからの維持放流水を活用した水力発電です。事業者は中部電力で、発電規模は、岐阜県が管理するダムによるものでは最大となります。岐阜県は「清流の国」と呼ばれるほど自然豊かな土地です。ダムを建設しているエリアも例外ではありません。そのため十分に調査を行い、自然環境に関する有識者の意見もいただきました。それを踏まえ、前田建設さんには、必要な環境保全措置を確実に実施しながら工事を進めていただいています。例えば、この周辺は希少猛禽類であるクマタカの生息地になっており、騒音対策や夜間の工事照明の遮光対策、工事排水に関しても液化炭酸ガスを利用した濁水処理設備の設置などの対策を講じていただいています。前田建設さんには、ト※2ランスファーカーの導入など、作業効率を上げるための技術提案もいただきました。その結果、堤体コンクリート打設などの作業は、われわれが想定していたより順調に進んでいると思います。 また、大規模工事のため、本体工事以外に多くの周辺工事が実施されます。それらに従事している地元業者さんとの工程調整も的確に対応していただいています。加えて、移動距離の長い現場に合わせて、作業員のためにトイレや休憩所を数カ所に設置してもらいました。関わっている人が働きやすい環境が構築できています。竣工まで時間はかかりますが、前田建設さんの豊富な経験と技術力に基づいた施工による、品質の高いダムの完成に期待しています。 国土地理院 地理院タイル 全国最新写真(シームレス)を加工して作成 ダムサイト仮排水トンネル県道白山内ヶ谷線残土処分場工事用道路骨材製造プラント骨材プラント濁水処理設備左岸アクセストンネルコンクリート製造プラントダムサイト濁水処理設備上流原石山亀尾島川下流過去の主な災害地域 ↑↓ 1324岐阜県長良川上流河川開発工事事務所工務課 課長遠藤 浩氏岐阜県長良川上流河川開発工事事務所工務課 工務係矢代 照彦氏※1 : 主な災害例①2004年の台風第23号による 長良川鉄道の災害状況②2004年の台風第23号による美濃市一般県道の災害状況③1999年の台風第16号による 郡上市国道156号の災害状況④1999年の台風第16号による 長良川鉄道と国道156号の 災害状況o7o7o7o7o77ooo77o7o7oo7o77o7o7o7777※2:P10参照
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