VIVOVA VOL.121 2023 WINTER
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当現場は広範囲にわたっており、狭あいな場所に大型重機を入れるため、仮設備が大がかりになっている点も特徴です。大型仮設備のひとつにインクラインがあります。これは発電所と山の上の水槽をつなぐ水圧管の取り替え工事のために設置しました。高低差は約50mで、斜度は約49度あります。水圧管路はコンクリートの支台で固定してあり、その撤去と改修、インクラインと構台の設置を当社が担当しています。水圧鉄管自体の撤去と設置は日立造船(株)が行います。入れ替わりながら施工するため、複雑な工程になります。設置したインクラインは国内でも有数の規模で、90トンまで運搬可能です。70トンのクローラクレーンとつり上げる資材を合わせた重さに耐える仕様です。なお、70年前の建造時は、下を流れる高原川の対岸から索道を使って資材を運搬しました。現在は直下に国道が通っている関係で設置ができないため、準備工が大規模となりますが、大型インクラインの設置を提案しました。水圧鉄管がつながる発電所では水車発電機各2台を取り替えます。当社では、建屋内で水車発電機を固定したコンクリートを切り出し撤去し、基礎を新設します。水槽と双六ダムは長さ約4・8㎞の導水路トンネルでつながっています。トンネル内の覆工コンクリートは、経年で劣化し、補強の必要がありました。 今回採用した処理のひとつに、FRPM板での補強があります。FRPM板は中間部にモルタルを充填した樹脂系の板で、表面が滑らかでコンクリートよりも粗度係数(粗さ)が低いのが特徴です。既存のコンクリートの内側に設置するためトンネルの断面は小さくなりますが、流れをよくして流量を保つという設計思想です。取水口のある双六ダムは、ゲートレス化を行っています。重機を入れるため、まず、大型の構台を設置。右岸側から作り始めて左岸側に延ばしていきます。双六ダムには周回道路がなく、道路は右岸側のみと水圧管路急斜面の上に重機を運搬する大型インクライン導水路トンネルを効率的に改修限られた空間を有効に使うため大型構台を設置導水路覆工補強工 FRPM板施工状況水圧管路撤去状況現場状況に応じた導水路改修工事現場双六ダムと水槽をつなぐ長さ約4.8㎞双六の導水路は、表面のコンクリートが劣の導化しているため補強を行う。特に状態化が悪い1.5㎞の区間には、鋼管支保工を施したあと、水の流れをよくするため、表面が滑らかなFRPM板を設置。厳冬期の現場作業冬季には雪が積もり、マイナス13℃くらいまで気温が下がるという悪条件の中、コンクリート施工も継続する必要がある。周囲をテント状に養生し、温風を送って硬化を促進する。水槽より下方水圧管路工事を望む(2023/9)初期水圧管路改修工事施工状況(2022/11/17)付替導水路設置工事 トンネル掘削工(既設導水路) インクライン設置急斜面上に設置された水圧管の工事の資材や重機を運搬するため、大型のインクラインを設置。最大荷重は90トンあり、大型クレーンも運搬可能。o9   水槽水槽作業構台予定部分分インクライン水槽見座作業所工事係小林和樹ダムの工事を担当しています。付帯工事を含めて複数の工区で作業が同時に進行し、すべての工程が最優先事項なので、調整が大変です。意思疎通はもちろん、周囲の工事内容を把握することも大切です。大型インフラ設備の改修工事は増えていますし、ノウハウを吸収して次につなげるいい機会だと、やりがいを感じています。大支台水圧管路見見見見見座座座座発発発電電電所所所所

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