思いをはせながら計画どおりの運開を(所長談)なるため、先に重機を移動するために仮設橋も建造しました。構台の上の限られたスペースで重機が稼働するため、各工区の連携が非常に重要です。工事は、半川締切方式で実施しています。現状は右岸側のゲートから水を流し、左岸側の堤体の工事を進めています。なお、右岸側は岩壁なので安定しているのですが、左岸の下流側は崖錐堆積物で崩れやすく、アンカーで固定しながら掘削しています。左岸の上流側には取水口と取水庭、沈砂池を新設。流れてきた水はそこを通り、約100mの連絡水路を経由して改修した導水路に流れ込む仕組みです。ゲートレス化に伴い、取水口の脇に排砂路を大型化して設けます。新規の堤体によってダムは約4mかさ上げされますが、その影響で、脇を走る市道金木戸線が水没してしまう位置にあります。そのため道路もかさ上げし、その一環として市道トンネルの付け替え工事も行っています。 発電所というインフラ施設であるため、運転開始までのスケジュールが厳密に決まっています。また、河川内工事は出水期は避け、なおがいすいかつ漁協との取り決めで11月から3月までと制限があります。そのため、冬季も工事を継続する必要があります。しかし、冬季にはマイナス13℃くらいまで冷え込み、積雪も1・5m程度ある地域のため、コンクリート構造物の構築は、寒中コンクリートとしての十分な対策が必要です。なお、高原川や双六渓谷を流れる金木戸川は美しい清流で地元の方々にも愛されています。河川内での工事ということで、漁協とのやりとりのほか、濁水の対策や周囲への情報発信も徹底しています。当現場は70年前の建造物の改修ですが、現在とは異なるコンクリートの骨材や大型重機がない時代の工法など、当時の施工風景に思いをはせると興味が尽きません。改修工事は新規工事とは違った難しさがあります。施工の進捗に伴って、現場の状況に合わせた適切な判断が必要になります。発注元の富山共同自家発電さんには、都度、判断していただき、技術指導をいただいています。計画どおりの発電再開と妥協のない構造物を造り、多くの方に喜んでいただけるよう努めます。マイナス13℃の厳しい冬季の施工TheDocumentof Maeda'sSite見座発電所 設備改修工事の内土木工事(含む関連除却)上流仮設橋上流仮設橋下流クレーン構台下流クレーン構台濁水処理設備のメール通報装置見座作業所統括作業所長 古川雅宣市道付替トンネル起点側坑口右右岸岸仮仮設設構構台台市道付替トンネル双六ダムをゲートレス化するに当たり、4mほどかさ上げする。その結果ダムの右岸を走っている市道金木戸線のトンネルも水没してしまうため、トンネルの付け替えを実施。なお、旧トンネルは道幅が狭く大型重機は入らない。ダム自体も狭あいな渓谷にあって施工場所の確保が難しいことから、大がかりな構台を設置した。ダダムムココンンククリリーートト壊壊しし工工清流の水質管理双六渓谷の美しい清流を守るためにも、水質の管理は徹底している。濁水プラントにはメール通報装置が備わっており、基準値を超える濁度が検知された場合、関係者に自動的にメールが届く。左岸側アンカー工状況(2023/9)双六ダム下流状況(2023/7/25)上部水圧管路改修工事撤去状況(2023/7/11)左岸見座作業所工事課長相場清志課長として現場の切り回しと、トンネルの工区を担当しています。ヤードが限られているため、各工区の調整に苦労する現場です。構台の上の状況などを把握し、無駄なく回せるように気を配っています。工期が厳しい現場ですが、一方で、効率だけを考えるのではなく、常に安全第一に立ち返ることが大切だと感じています。見座作業所工事主任松原卓也水圧管路全般を担当しています。大型インクラインの設置から始まり、水圧管路を固定しているブロックの解体と、初めて関わる工事が続いています。急斜面での作業に加え、近くに国道も通っています。そこで数十年前のコンクリートを扱うので、運搬などは慎重に行いました。切り出してみると予想外の状況だったりと、臨機応変な対応も必要です。1O 70年前の先人の仕事に
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