VIVOVA VOL.122 2024 SPRING
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今回は、厄除けの神様として有名な川崎大師駅近くの、トンネル工事現場に伺いました。とはいっても、いつものような工事現場とは違い、道路脇などでよく見かけるマンホールの中が現場です。そのマンホールをこわごわ降りて地下に進入!そこはやはり別世界でした。地下に降り立つと、掘り終えたばかりの直径約3mもあるシールドマシンが鎮座!仕事終わりのマシン間近の前に立つのは初めてです。さっそく佐藤副所長と竹本職員に案内していただきました。「この工事は、六郷ポンプ場と大師河原ポンプ場を繋げる約830mのシールドトンネル工事で、川崎市南部地域で採用されている合流式下水路を改善する下水道管きょを新設して、雨天時などに処理しきれない下水を解消し、海や川への水質改善を目的とした工事です」。そして仕事を終えて涼しい顔をしているシールドマシンには、実は都市部の工事に合わせた工夫があるとのことです。「都市部の地下を掘り進むには、途中いろいろな地中障害物があります。ここでは旧橋台などがありました。そこで、今回は、シールドマシンを微速前進させながら、ローラービットで障害物に切り込みを入れた後、切削ビットで直接切削する地中障害物切削除去対応のミリングシールド工法を採用しました」。この切削ビットがいわゆるカンナのように、少しずつ障害物を削り取っていくのだそうです。やはり、都市部は地下にもさまざまな埋設物があるのですね。それを削り取って進むシールドマシンがあるとは知りませんでした。なるほど、涼しい顔をして鎮座していたマシンはこんなスゴ技を持っていたのですね!また今回の工事付近で行っているほかの工事では、一部に使用中の下水管に新設予定の下水管がぶつかる箇所があり、それを回避するために断水せずに迂回施工する「不断水工法」でうまく工夫をして工事をしているのだそうです。普段は、あまり気にしていない都会の地下は、想像以上に複雑に入り組んでいるのですね。地中の障害物をうまく削ったり、人々の生活に影響がないように工事を進めたりと、いろいろな工夫がたくさんありました。地下の現場から再び地上へ戻ってみるとなんだかふしぎな気分です。大げさですが自分がこびとになって、少し地球の中をを見見ててききたたよよううなな感感じで、地球のちょっとした手術を垣間見た気がするのは気のせいかもしれません(笑)。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ザ現場検SHOw工事名/六郷遮集幹線その3工事発注 者/川崎市上下水道局工事場所/神奈川県川崎市川崎区港町、鈴木町地内ほか工  期/2022.1〜2023.12工事内容/川崎市の合流改善及び雨水一次貯留を目的とする     六郷ポンプ場から大師河原ポンプ場間の下水管路の新設築造。川崎六郷シールド3作業所 佐藤 憲一 副所長(右)竹本 由衣(左)1111■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■建建設設現現場場ににみみるる  ふふしししし意意意意ぎぎぎぎぎぎ外外外外外外外なななななななななななな真真種種種種種種実実明明明明明明明、、かかかかかかしししししし・・・・・・・・・・・・    イラスト&テキスト モリナガ・ヨウ1966年東京生まれ。イラストレーター、画文家。早稲田大学教育学部卒(地理歴史専修)、漫画研究会出身。主な著書に『モリナガ・ヨウの土木現場に行ってみた』『図解絵本東京スカイツリー』『築地市場 絵でみる魚市場の一日(第63回産経児童出版文化賞大賞受賞)』■■■■■■■■■■■■■■■■■■

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