ファンタジー営業部
GRAN TURISMO 4編
1今回ばかりは…
ファンタジー営業部、A部長、B主任、C主任、D職員打ち合わせ中
C主任 とにかく、まずはコースを走りましょう。得られる情報は限られるかもしれませんが…。
D職員 「Photoモード」も利用して、やれるとこまでやってみましょう。
A部長 では運転は私が。
B主任 おおっ!熱血鉄道ファンがステアリング握るで。
A部長 昭和50年前後、最後のSLをカメラに納めたくて、現場の合間に必死で山道を走り回ったものだ(深く目を閉じ)そう…こいつを相棒にな。
C主任 あ、懐かしいなあ。子供の頃うちもコレ乗ってましたよ〜。
D職員 GT4はふるーい国産車まで収録されてて良かったですね。
——コース走行中につき、しばらくお待ちください——
A部長 困ったな。
B主任 わからんで。特にまわりがサッパリな!
D職員 湖らしきものは見えますがね。全体がつかめないし、場所特定の手がかりも少ないや。
C主任 だけど、これまでコースに注目してゆっくり走ることなどなかったから、細部にわたる並々ならぬコダワリも今回はじめてわかりましたね。コース脇の消火器なんて感動ものでした。
ちゃんとコース脇には消火器が
(C)2004 Sony Computer Entertainment Inc.
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A部長 しかし「Photoモード」は私らの世代にもしっくり来るねぇ。車同様、マミヤやヤシカを選択させてくれないかな。
B主任 そのうち運転にも目覚めて「C62でニュルを8分切る!」とか言い出すんやない?
C主任 (全く無視して)…うーん。コースの起伏や法面防護の種類、湖や土の色から何か推測できませんか?
   
B主任 ま、できるわな。トンネル形状やコンクリの巻厚7)なんかも手がかりになるやろ。

トンネル坑口はこんな形
(C)2004 Sony Computer Entertainment Inc.
 
※7)巻厚
トンネルを構成している壁や天井部コンクリートの厚さを指す。トンネル工事では掘削後の内部仕上げを「巻く」と呼び、例えばそれが2回に分かれて実施される場合は「1次巻き」「2次巻き」とそれぞれ称する。
    ↑up
A部長 遠くの山々だって何か教えてくれるかもしれない。けどねえ、このままだと前回999編以上に、こちらの推測が多くなる恐れがあるな。
D職員 今度ばかりは、こちらの世界で取材するのも必要ではないでしょうか。
B主任 …行ってみたいんやろ。ポリフォニー・デジタルさんに。
C主任 建築雑誌か何かのオフィス特集で見たけど凄かったよ。確かシャワールームやトレーニングジムもあるし、海外のお客さん向けに和風の会議室まであったように覚えてる。
A部長 よし。であれば色々勉強させてもらう意味でも、まずはこっちの世界で動いてみるか。
2ポリフォニー・デジタルへ
 珍しく、こっち(現実)の世界から行動を起こしたファンタジー営業部員。豊洲駅で下り、しばらく歩いて着いた先は倉庫といった方がしっくり来る外観。しかし中には遊び心あふれる見たことないオフィス空間が広がり、その秘密基地的ギャップにすっかり魅せられた部員たち。
 その後のスタッフの方とのインタビューも、それに負けず劣らずの興味深い内容であった。ここからはしばし『グランツーリスモ4』のクールで奥深い世界をご堪能下さい。
   

インタビュー 株式会社ポリフォニー・デジタル デザイナー 佐松 裕史(さまつ ひろし) 氏

GT4オープニングのスタッフクレジットでもLandscape担当として紹介されているデザイナー。
古くからのGTファンはもはや郷愁すら感じるであろう有名人気オリジナルコース「Grand Valley Speedway」担当。

初めてGrand Valley Speedwayが世に出て既に8年。
今回、基本は活かしつつ更なるグラフィック進化と一部コース改修により、新旧ファンともに満足できるコースとして我々に提供してくれた。
今回のインタビューにより「ファンへのサービス」と「リアルさの追及」を高次元で両立させたいという姿勢を知り、異業種の技術者である我々も身が引き締まる思いであった。

是非一度、あなたもお気に入りのクルマで「Grand Valley Speedway」をゆっくりと、様々なディテールを楽しみながらドライブされては如何か。本インタビューをお読みいただければ、あなたもきっとそんな気になると、確信している。


1 オリジナルコースの制作過程を教えてください。個人?チーム?設計手法?期間など

  グランバレーのようなコースの場合、プロデューサーの山内・プランナー・コースデザイナーの3者にてコース形状をデザインします。

※考慮する内容
低速コーナー・高速コーナー・複合コーナー・ストレートの要素がバランス良く揃った、走って楽しいコースであること。
景観の変化に富んでいて、美しいコースであること。
コース図自体が美しいこと。

次に、路面〜ガードレールのみのモデルを制作し、走行を重ね、レイアウト・アップダウン・バンク角の調整をします。

次に、レイアウトに合わせて、大きな地形を埋めていきます。また、グラベルの広さの調整、タイヤバリヤの設置も同時に行います。

景観すべての完成まで、レイアウトやアップダウン、バンク角の調整を随時行います。
景観と、走るイメージは絡み合っています。景観が次第に出来上がっていくことで、奥が見えにくいコーナーが走りやすくなったり、またその逆で見えにくくなったりもします。
あらゆるセッティングや駆動形式、パワーのクルマで楽しく走るために最後まで調整します。
全車種のセッティングが決まるのがマスターアップ直前になるので、その時期まで調整する場合もあります。

モデリングするデザイナーは原則1コース1名で制作期間は半年〜1年程度です。

実際の地形を引用するコース(GT4だとエルキャピタンやグランドキャニオン)の場合は、実際の地形がベースとなり、そこに施工するイメージで制作します。路面のアップダウンは元の地形を引用します。
今後の新規オリジナルコースに関しては、こちらの手法が主流になると思います。


2 まずないと思うのですが、実はサーキット施工前の状態を想定されていますか(笑)?

  グランバレーの場合は、想定していません。

3 岩質の崖や近距離に2つの湖など特徴的な景観を持っていますが具体的な設置場所を想定されていましたか?それは外国?国内?さらに具体的地名や、ベースとなっているコース(道路)が存在しますか?

  存在しません。

4 FIA国際モータースポーツ競技規則や安全基準などとの整合は?

  満たしていません。主な理由は逆走コースがあることからです。特に逆走コースは、実際に走行するのは危険なはずです。
演出上、景観の説得力を出すために、縁石のサイズ、ガードレールの切れ目や消火器、コーナーポスト等、細かなディティールは引用しています。

5 アーチ橋の選択理由、および色そして当社社内でも解釈が分かれているのですが、歩道らしきものまで整備されている理由などをお教え下さい

  アーチ橋・色についてはGT1からの伝統として引用しています。伝統コースなので、イメージの引継ぎを最優先しました。
GT1制作当時は、構造の説得力について、それほど考慮していなかったと思います。
スケールに対する構造の説得力を出すため、似たスケールで、かつアーチ橋である大三島橋をモチーフにしました。

歩道については、コース全周にわたって側道(牽引車両が通る道)を付ける予定だったのですが、トンネル部分の側道の構造を作る時間、また建設に対する造詣が足りなかった為、途切れてしまいました。前田建設さんのほうで、構造設計して頂けたらうれしいです。


6 グランドスタンドおよびコントロールタワーの意匠はどのように決めたのですか?

  グランドスタンド+コントロールタワーは、実際に撮影取材した国内サーキット(鈴鹿・FISCO・もてぎ等)から、イメージをミックスしました。撮影素材が最も充実していた、鈴鹿サーキットに近い雰囲気になりました。

ピット棟付属のコントロールタワーは、GT Concept制作時にAutumn Ring用に制作しました。サンマリノ・イモラサーキットをモチーフに制作を始めましたが、コースに合わせて形状を変更していたら、原型からずいぶんイメージが離れました。


7 テントのようなものや、ヘアピンの周辺の小建築物などがありますがあれらは何ですか?

  テントのようなものはレースイベント時のホスピタリティ・ブースをイメージしています。
ヘアピンの周辺の小建築物は、VIP用の観戦施設のようなものを想像して作りました。

8 その他こだわりの部分や熱い想いがあればお聞かせ下さい

  グランバレーはGT1からの人気コースなので、当時のイメージを引き継ぎつつ、構造の説得力を持たせる事がテーマでした。トンネルの配列等、現実には無理のあるレイアウトですが、そこはゲームなのであえて残してみました。
GT1当時からのファンが、懐かしいと思える景観を今後も引き継いでいきたいです。
超リアル志向のゲームなのですが、少しばかりの遊びがあってもいいかと思います。

GT1当時、トンネルの配置設計は、ゲームの描画量の都合で決まっています。拓けた景観の表現は困難でした。


9 モータースポーツがより楽しくなるために、サーキットはこうなるべきだという意見はありますか?

  より身近に感じる存在になって欲しいですね。遊園地、アウトレットモール、温泉等、レースに興味が無い人も集まるアミューズメントになるといいのかな?
最初は興味無くても、生でレーシングカーが走るところを見る機会が増えれば、興味ある人も増えると思います。
ドライブしてきた車で、ナンバー付き車両の走行イベント(ジムカーナやゼロヨン)が気軽に出来ると楽しそう。
F1やスーパーGTのような大きいイベントだと、駐車場や道路、宿泊施設の混雑があって敷居が高く、なかなか足を運べません。キャパを増やす為に、イベント以外の日でも採算があうように、複合施設になるべきだと思います。

10 最後に、前田建設ファンタジー営業部への励まし、期待、大事にして欲しい事などありましたらお願い致します。

  リアル志向のゲームでありながら、サーキット施工の知識について、僕らはまだまだ足りない部分があったので、今回はまさに願っていた企画となりました。この企画を通じて、今後のサーキット制作に対して、大きな財産となりそうです。感謝しています。

   
このインタビューのほか、佐松氏からは構造物の詳細データまでご提供頂いたF営業部員達。
次回以降このご恩を胸にプロの建設技術者として、数少ない手がかりをヒントにGrand Valley Speedwayのより具体的な姿を探ります。

次回ファンタジー営業部 GT4編 「Part 03 現実と逆推測と」
7月29日(金)公開予定。

“The construct of your life”


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第3弾をより楽しむために
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