2015年02月27日大幅なコストダウンを可能とする自然由来ヒ素汚染土の大量連続処理浄化工法

<概要>

前田建設工業株式会社(社長:小原好一)は、シールド工法等で発生する大量の泥水から連続的に自然由来ヒ素を分離処理する浄化工法を開発しました。従来は、泥水中のヒ素を鉄粉により吸着させたあとに、磁性分離機だけで鉄粉を回収していましたが、本工法では、遠心分離と磁性分離の2段階処理とすることによって、鉄粉回収設備の小型化と大量連続処理を両立し、大幅なコストダウンを可能としました。

 近年、地下構造物が輻輳する大都市圏では、鉄道・共同溝・下水道・道路等を大深度地下に建設する工事が増え、その過程で遭遇する自然由来ヒ素汚染土の処分方法が大きな課題となっています。自然由来ヒ素汚染土は関東・中部地方等の大都市圏では広く分布することが知られており、シールド工事では汚染土の多額な処理費用が必要であると言われています。

 当社が開発した自然由来ヒ素浄化工法は、泥水シールドから発生する廃棄泥水にヒ素吸着力の優れた鉄粉を添加したあと、鉄粉回収システムに投入することで、廃棄泥水中に含まれる自然由来ヒ素を土壌環境基準以下まで分離除去し、建設汚泥の処分費を大幅に削減するものです。鉄粉は、従来品と比較してヒ素吸着能力に優れ、粒径が6倍大きいものを使用するため、遠心分離によって回収が可能です。最初に遠心分離による鉄粉回収をおこなって泥水を減容化することにより、次工程の磁性分離おいて、磁性分離だけで鉄粉を回収する方法と比べ装置が小さくなるので1/5程度のスペースで設置が可能となります。

 本工法を適用することで、発生する建設汚泥のヒ素溶出量は土壌環境基準以下となるため、汚泥の処分費用を5~8割削減することができます。

 既に当社は、パイロット試験を実施済みであり、現在、実大規模での実証試験を進めています。今後は、ヒ素だけでなくフッ素、鉛、セレン等の自然由来重金属にも適用拡大を併せて進める予定です。

 

<パイロット試験での確認事項>

鉄粉は、従来品に比較してヒ素吸着能力が優れ、粒径が6倍大きいため遠心分離による回収が容易
鉄粉の回収は遠心分離と磁性分離の2段階処理。遠心分離により省スペースが可能となる上に、鉄粉の回収率は磁性分離機のみで回収した場合と同等の98%以上を達成
2段階処理により鉄粉と粘土を精度よく分離し、繰返し利用する鉄粉のヒ素吸着能力低下を抑制
発生する脱水ケーキは通常の建設汚泥として処分あるいはリサイクルが可能

 

<問い合わせ先>

〒102-8151 東京都千代田区富士見2-10-2

飯田橋グラン・ブルーム12階

前田建設工業株式会社 総合企画部 広報グループ

電話:03-5276-5132

 

①使用する鉄粉の外観写真

 

②鉄粉分離パイロット試験状況

 

③廃棄泥水の処理ブロックフロー

 

【前田建設】自然由来ヒ素汚染土の浄化工法を開発

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