2018年08月22日圧送による現場打ちジオポリマーを国内で初めて施工~未利用資源の利活用。途切れていた環(サイクル)をつなぐ材料技術~

<概要>

 前田建設工業株式会社(本社:東京都千代田区、社長:前田操治)は、竹本油脂株式会社(本社:愛知県 蒲郡市、社長:竹本元泰)の協力により、茨城県取手市で建設中の当社新技術研究所、総合実験棟の機械架台の一部に現場打ちのジオポリマーを適用しました。ジオポリマーの施工に際して、同建設現場内にジオポリマー製造用プラントを設置し、製造ヤードから施工箇所までの区間を圧送して打込みを行いました。ジオポリマーのポンプ施工による打込みは前例がなく、国内では初めての事例となります(前田建設工業調べ)。

 

<詳細>

 ジオポリマー法による硬化体は、フライアッシュや高炉スラグ微粉末などの非晶質粉体とケイ酸アルカリ溶液を混合することで、ゼオライト類似の非晶質ポリマーを生じて硬化する現象を利用したものです。ジオポリマー硬化体は、石炭火力発電所から排出される石炭灰や製鉄所から排出される高炉スラグ微粉末などの産業副産物を大量に使用でき、かつセメントを一切使用しないため、一般的なコンクリートと比較して80%もの二酸化炭素排出量の削減が可能な、環境負荷の低減に対して優れた材料です。

 ジオポリマーは、養生条件をコントロールすることで、短時間で高い強度を得ることができ、かつ耐薬品性に優れる材料です。しかしながら、ジオポリマーは産業副産物を大量に用いるため、材料の品質変動への対応、製造段階でのフレッシュ性状(流動性・可使時間)のコントロールといった、技術と豊富な経験に基づくノウハウが求められます。また、施工段階では、高い粘性に対する施工性の改善や運搬(打込み)の効率化が大きな課題となっていました。

 こうした中、弊社独自の管理手法に基づくジオポリマーの配合設計(特許第6284388号)とジオポリマー専用の混和剤(特願出願中)を用いることで、フライアッシュ等の品質のばらつきに応じた配合の選定やフレッシュ性状のコントロールおよび施工性の改善といった課題を乗り越え、ポンプ施工による大幅な運搬(打込み)の効率化を実現しました。

 さらに一昨年度実施した実物大の施工実験においては、現場打ちジオポリマーの加温養生による高品質化・高耐久化についても確認しており、適用箇所に要求される品質に応じたジオポリマーの配合設計および製造・施工を可能としています。

 今後は、産業副産物(石炭灰、スラグ)の排出事業者へ新たな資源サイクルとしての技術提案や、イオン交換能を活かした機能性材料として、廃棄物関連事業(放射性廃棄物の埋設事業、放射性汚染土等の処分事業)を所管する自治体等へ積極的に提案活動を行い、お客様と共に新たな市場の開拓を目指します。

 前田建設工業は、開発技術により、これからも社会的課題の一つである地球環境負荷の低減に応えてまいります。

 

<問い合わせ先>

前田建設工業株式会社 総合企画部 広報グループ

電話:03-5276-5132

 

【参考資料】

 

 

圧送による現場打ちジオポリマーを国内で初めて施工

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