2018年12月11日「デッキスラブ利用天井放射空調パネル」と「タスク空調対応小型床吹出口」の開発~タスク&アンビエント空調に関する要素技術~

<概要>

 前田建設工業株式会社(本社:東京都千代田区、社長:前田操治)は、建物のZEB(Net Zero Energy Building)化を実現する手法「タスク&アンビエント空調」の要素技術を開発しました。

 タスクでは、東洋熱工業株式会社(本社:東京都中央区、社長:芝一治)、および協立エアテック株式会社(本社:福岡県粕屋郡篠栗町、社長:久野幸男)と、小型・高機能でタスク空調に特化したパーソナルタイプの床吹出口を、またアンビエントでは、株式会社ササクラ(本社:大阪市西淀川区、社長:笹倉敏彦)と、デッキプレートを利用したアタッチメント式の高効率な天井放射空調パネルを共同開発しました。

 第1号物件として、12月3日にオープンした当社施設「ICI総合センター ICIラボ」の「エクスチェンジ棟」に導入しています。

 

<詳細>

 前田建設工業の創業100周年の主要施策として新設した「ICI総合センター ICIラボ」。当社は、オープンイノベーション推進型の新技術研究所を具現化したこの施設を、「総合的イノベーションプラットフォーム」と位置付けています。(参考)ICI総合センター:https://www.ici-center.jp/

 「ICIラボ」を構成する4つの施設のうちのひとつ「エクスチェンジ棟」は、「ZEBと知的生産性向上を実現する次世代型のオフィス」をコンセプトに設計され、その3階には、この地域に豊富な井水の熱(地中熱)を利用した天井放射空調によるアンビエント空調と、床吹出空調のタスク空調の、タスク&アンビエント空調方式が採用され、ZEB実現に大きな効果が期待されています。

 

タスク空調対応小型床吹出口(特許出願中)

 タスク空調には、天井面や床面、パーティションなどに取り付けられた吹出口からの気流による方式があります。一般的な床吹出口は、風量が大きくパーソナルな吹出口としては適用が難しく、また小型の吹出口では、手動のシャッターレベルで風量制御には対応できない状況でした。

 このような中、前田建設工業、東洋熱工業と協立エアテックは、これからの更なる省エネ、また多様化するパーソナルニーズに対応するため、小型で風量制御(シャッター閉・強・弱)が可能な、「タスク空調対応小型床吹出口」を共同で開発しました。

 

 「タスク空調対応小型床吹出口」は、執務者1人に対して1台配置。各個人のニーズに合わせた運用が可能となります。

 ファンOFF・シャッター閉の状態で、執務者が、暑い(冷房時)と感じた場合に、フットスイッチを踏むと、シャッターが開となり、ファンが弱運転を始めます。まだ暑いと感じる場合には、もう一度フットスイッチを踏む事で、強運転となり気流による冷涼感を得ることができます。また、器具本体からの出力信号により、現在器具がどのような運転状態にあるのか把握する事もできるなど、当該サイズの吹出口には今までに無い、小型・高機能を実現しています。

 

 

【タスク空調対応小型床吹出口の主な特徴】

OAフロアのコンセント孔を利用。レイアウト変更による吹出位置の変更も可能です。
小型ながらファンと開閉シャッターを備えています。
吹出方向を360°自由に変更できます。
LEDを内蔵したフットスイッチにより、ON(強・弱)、OFFができます。
運転状態の信号出力に対応しました。

 

デッキスラブ利用天井放射空調パネル(意匠登録済み・特許出願中)

 放射空調は、アンビエント空調として導入が増加傾向にあります。天井パネルをスチールあるいはアルミ製として、冷温水配管を敷設、冷温水を循環させる方式や、天井内の空調された空気の熱を利用する空気式がありますが、冷温水循環方式が主流となっています。エクスチェンジ棟では、建設地域の特徴である豊富な井水を活用できるため、冷温水循環方式の天井放射空調方式の採用を決定。前田建設工業とササクラは、開放的な執務空間を実現しながら、高効率な「デッキスラブ利用天井放射空調パネル」を共同で開発しました。

 開発した「デッキスラブ利用天井放射空調パネル」は、デッキスラブを形成しているコンクリートへ直接に熱が伝わるのを抑えることができるとともに、放射面を直接に冷却・加熱できるため高効率となります。また、配管が密閉空間への設置とならないためメンテナンスも容易に行え、取り付け金具やヒートシンクなどは既存のパーツを利用しているため、コストを抑えることができます。

 

【デッキスラブ利用天井放射空調パネルの主な特徴】

冷温水配管がヒートシンクを介し、放射面に接するため効率的に熱を伝えます。
パネル側面のスリットからの自然対流も期待できます。
デッキプレートによるスラブに取り付けるアタッチメント式です。
デッキプレートからの吊り下げ金具を利用できます。
パネル毎に取り付け、配管の接続ができるため容易に施工できます。
デッキプレートの溝幅に合わせたサイズで、パネル面積の細分化が可能です。

 

 

<今後の展開>

 知的生産性向上が注目される昨今、執務室の高い快適性に対するニーズはより高まりつつあり、省エネルギーと快適性を両立するタスク&アンビエント空調の需要も増加が見込まれます。

 前田建設工業では、健康で快適な執務空間実現に向けて、高効率な放射空調と執務者のパーソナルニーズに応える床吹出空調の提案・導入を進めていきます。

 なお「天井放射空調パネル」と「タスク空調対応床吹出口」は、12/12(水)~14(金)に東京ビックサイトで開催される、ビル・施設の総合展示会「第3回スマートビルディングEXPO」に展示します。

 

<問い合わせ先>

前田建設工業株式会社 総合企画部 広報グループ

電話:03-5276-5132

 

詳細はこちらのPDFをご覧ください。

「デッキスラブ利用天井放射空調パネル」と「タスク空調対応小型床吹出口」の開発

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