2019年02月26日国内初、無人で鉄骨架構を自動組み立てシミュレーション通りに移動式クレーンを自動操作~ICIラボ屋外フィールドで実大試験施工により実証~

<概要>

 前田建設工業株式会社(本社:東京都千代田区、社長:前田操治)は、株式会社タダノ(香川県高松市、社長:多田野宏一)、国立大学法人千葉大学(千葉県千葉市、学長:徳久剛史)と共同で、このたび開設した自社施設の「ICI総合センター ICIラボ」(新技術研究所、茨城県取手市)の屋外フィールドにおいてパソコン上の4D施工シミュレーションに連動してクレーンを自動運転し、鉄骨架構の梁および床スラブを無人で設置する実証試験を実施しました。

 

<詳細>

 前田建設工業は、建設施工の飛躍的な生産性向上をめざしさまざまな自動化技術の開発を進めています。移動式クレーンで国内最大シェアを占める株式会社タダノ、および千葉大学大学院工学研究科の平沢研究室と、前田建設工業が独自に製作した4D施工シミュレーションを用いてパソコン内で構築した建設機械の動きを実際のクレーンに通信で指示することで自動操作する共同研究を進めています。

 試験体は、ICIラボの屋外フィールドに設置された1層、1×2スパンの実大鉄骨架構で、今回検証したのは梁と床スラブの自動敷込みです。クレーンの自動操作は、4D施工シミュレーションに従い、部材ヤード上にクレーンブームが旋回し、フック近傍に取り付けたカメラから部材に貼付した部材記号をAI画像認識により識別した上で、自動フックが吊り冶具を自動的に掴みます。フックの荷重計により重荷がかかっていることを確認後に巻き上げ、架構の所定の位置まで移動します。吊り荷の回転はジャイロ機構により遠隔操作で制御します。また、吊り荷の位置は、逐次、カメラにより測定されクレーンの動きを補正します。

 床スラブは、合成デッキスラブを用いた全断面コンクリートを打設したプレキャスト床板を工場で製作しています。合成デッキスラブを用いることで従来は上下2段必要だったスラブ配筋を上端の一段配筋とすることで、X,Y2方向のスラブ筋があっても床スラブを落とし込むだけでその後の鉄筋工事が不要となっています。床スラブどうしの隙間は、後で高流動モルタルを流し込むことで一体化させます。梁、床スラブには、クレーンが部材を落とし込むだけで所定の位置に正確に設置されるように独自のガイド機構が取り付けられています。

 今後、前田建設工業株式会社と株式会社タダノは、前田建設の自動施工とタダノのクレーン自動操縦に関してそれぞれの保有する技術を基に共同開発を推進し、将来の建設自動施工の普及に貢献していく方針です。

 

4D施工シミュレーション

 

実証試験全景

 

鉄骨梁の自動設置

 

<問い合わせ先>

前田建設工業株式会社 総合企画部 広報グループ

電話:03-5276-5132

 

国内初、無人で鉄骨架構を自動組み立てシミュレーション通りに移動式クレーンを自動操作

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