2023年11月15日大深度圧力下におけるシールドマシンのチャンバ内泥土の性状確認を可能とする「泥土の回収試験装置」を工事現場で実証

 前田建設工業株式会社(本社:東京都千代田区、社長:前田操治、以下「前田建設」)は地中空間開発株式会社(本社:大阪府大阪市北区、社長:平山真治)の協力で開発を進めている『シールドマシンのチャンバ内泥土の回収試験装置(特許出願中、以下「本装置」)』を本年2023年より、中央新幹線第一首都圏トンネル新設(梶ヶ谷工区)ほか工事(発注者 東海旅客鉄道株式会社)のシールドマシンに取付け運用を開始しました。本装置により地盤を保持するチャンバ内泥土の性状を大深度、高水圧下でも圧力解放なく正確に確認することで、適正なシールド掘進が可能となり、周辺地盤への影響を抑制します。

 

 
写真-1 装置の概要


写真-2 シールドマシンに取り付けた様子
 


図-1 チャンバ内泥土の回収試験装置の概要


写真-3 チャンバ内泥土の例
 

<開発の背景と実証状況>
 シールド工法は、鉄道や道路トンネルなどの都市部トンネル工事に頻繁に採用される工法で、地上部への配慮が重要な課題となっています。安全かつ安心な施工のためには、掘削した地盤が変形しないように確実に保持する必要があります。
 土圧式シールド工法では、チャンバ(掘削面と土砂を取り込む隔壁に挟まれた空間)内で掘削した土砂と流動化を促進する材料を混ぜ合わせて泥土化し、その土に圧力を加えることで一様に掘削面を押さえ、地盤の安定を図ります。そのため、チャンバ内泥土の性状把握が重要となります。
 前田建設では、チャンバ内泥土をサンプリングしチャンバ内と同様の条件で泥土の性状を把握することが可能な本装置を開発しました。2022年に同社のICI総合センター(茨城県取手市)にて実証試験を行い、本装置の性能を確認しました。
 本年2023年からは、本装置を中央新幹線第一首都圏トンネル新設(梶ヶ谷工区)ほか工事(発注者 東海旅客鉄道株式会社)のシールド機に取付け、60~90mの大深度で地盤を掘削しながら試行しています。本現場での試行運用を通じて、実際のシールドマシンのチャンバ内泥土を回収し、ベーンせん断試験及び密度計測が可能であることを確認しました。
 

<本装置の概要>
 本装置は、シールドマシンの隔壁に取り付け、チャンバ内泥土を試験に必要な量だけ取り出すことが可能です。回収した泥土を大気圧下に解放することなく、チャンバ内の圧力状態を保持したまま試験を行うことができる業界初の構造であり、チャンバ内泥土の性状をより正確に把握することが可能となります。
また、「ベーンせん断試験」と「RI密度計による密度計測」を性状評価の試験として実施することができます。


1.    ベーンせん断試験
装置内部に取り付けた羽根を回転させて泥土の硬さの指標の一つであるせん断抵抗値を計測します。
2.    RI密度計
γ線を用いて透過量から管内の泥土の密度を計測します。



写真-4 ベーンせん断試験器


写真-5 RI密度計


<今後の方針>
 今後は、更なるデータの蓄積を進めつつ、本装置を用いた泥土の性状評価手法の確立を目指し、工事現場での実装を通じて、周辺地域への安全・安心確保に寄与していきます。

 

<問い合わせ先>
前田建設工業株式会社
経営革新本部 広報部
E-Mail:maeda-release@jcity.maeda.co.jp
 

大深度圧力下におけるシールドマシンのチャンバ内泥土の性状確認を可能とする「泥土の回収試験装置」を工事現場で実証

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