レーヴ日進新築工事#2

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サイトPCaを見下ろす

施工が進む最上階

躯体工事 サイトPCaを設け、梁PCaと柱PCaを製造。1フロア6日サイクルで施工

 着工は2007年5月15日。建物の構造には「基礎免震」を採用。施工にはフルプレキャスト工法を採用し、現場打ちコンクリートはスラブ(床)のみ。現場の敷地内に柱PCaサイト、梁PCaサイトを設け、PCaの輸送にかかる時間とCo2を大幅に削減。クレーンを2台設置し、1フロアを6日で施工している。その結果、在来工法と比較して、10日程度の工期短縮を実現した。
 特に、梁サイトを現場に置いたことは、工期短縮に役立った。梁PCaは階によって鉄筋を変えなければならないので、柱PCaより製造に手間がかかる。しかし、オンタイムで資材供給が可能になり、作業の待ち時間や輸送時間等の削減が図れた。
 また、計画段階から協力会社とともにPCaの施工に取り組んだことにより、施工を軌道に乗せるまでの時間を短縮できたことも、大きな収穫である。
 その一方で、免震基礎に採用した高流動コンクリートの打設には苦労した。この地域の骨材からつくったコンクリートが、気泡を取り込みやすく抜きにくい性状だったからである。そこで、前田建設技術研究所の協力を得て、3回の実験を行い、この現場環境に最適な打設法を見極め、32基の免震基礎コンクリートの打設に成功した。サイトPCaのコンクリート打設も難しかったが、改善を重ねて標準化した。こうして、7月10日に屋上のスラブを打設し、上棟した。
 設備工事は、躯体のPCa工法に合わせて施工している。設備工事は通常、躯体工事の後を追うように進めるが、この現場では先行配管で工事の効率も向上させた。さらに、設備工事における機器の設置計画・調達・施工等を当社にて一括管理して行うことで作業の効率化を図っている。
 また、設備工事も駆体サイクル工程にあったサイクル工程を計画し、脚立を使った作業を極力削減して省力化した。さらに、住宅設備機器の梱包を簡易化してコストダウンを図り、ゴミを出さないよう工夫し、環境面にも配慮した。
 躯体工事、設備工事が完了した階から、内装工事を進めている。室内は、シンプルで温かみのある内装。低層階の聴覚障害者用の部屋には、来客を知らせるランプを設置している。

 

レーヴ日進作業所
工事課長 石坪裕章

 工事の計画、工程の作成、品質管理を担当しています。積層のベテランである副所長の指示を仰ぎながら、施工計画を作成しました。その結果、昨年11月に作成した計画どおり上棟できます。施工では、1フロア6日の施工サイクルに乗せるまでの試行錯誤が、とても楽しかったです。1フロア5日でできたこともありましたからね。
 建物の規模が大きくなればなるほど、PCaのメリットが大きくなります。この現場をスタートとして、梁PCaが本格化することを期待しています。また、「いいものをつくる」ために、お客様と技術論を語り合うことができ、大変勉強になりました。

レーヴ日進作業所

設備課長 篠田雄祐

 設備の統括を務めています。この現場では、当社の設備担当者3人で電気設備、衛生設備を担当し、コストダウンを図っています。
 当社中部支店では超高層PCaが初めてなので、他の支店の現場を見学し、現場で実際に施工しながら改善を重ね、品質の確保と効率アップに取り組みました。初めての取組なので不安はありましたが、試行錯誤を重ねながらここまで来ました。
 超高層ビルを建設できてとても勉強になり、自分が工夫した結果をすぐに見ることができるので、やりがいがあります。躯体工事が完了する日が、とても楽しみです。

現場掲示板

施工状況をチェック表で確認しながらスムーズに工事が進む

 

 躯体工事が終わり、PCaヤードを撤去した後、居住者全員のクルマを駐車する立体駐車場棟の建設が始まる。
 施工は「安全第一」と考え、日常的な安全確認と安全パトロールを実施。また、工事用水の排水、騒音、振動、クルマの油漏れなどに細心の注意を払い、周辺環境にも配慮している。
 現場にはウェブカメラや携帯機器を導入し、TPMsを駆使して、職員がどこからでもリアルタイムで現場の状況を把握できるよう工夫。現場監理の効率を高めている。
 また、現場には掲示板を設け、工事の進捗状況を提示して、見学者への説明に活用。さらに、協力会社が構成する職長会が、自発的に月刊『れえぶ通信』を発行し、技術などの情報を共有したり、作業員の紹介をするなどして、積極的に親睦を深め協力体制をとっている。
 2008年12月に完成すると、トヨタ自動車の独身寮「レーヴ日進」は、米野木のランドマークになるであろう。

※TPMsは、前田建設が特許を出願し
 たITを活用した新しい建設サービス
 です。

 

レーヴ日進作業所
主任 
北川直樹

 現場監理を担当し、工程表をもとにして、図面どおりに施工できているかどうかを確認しています。
 この現場の最大の特色はPCaです。フルPCaの建物は当支店では初めてなので、社内のPCa現場に行かせていただき勉強しましたが、スタートするときは緊張しました。初めてPCaを施工する協力会社もあるので、互いに知恵を出し合い工夫しながら施工し、作業時間を短縮できたときは達成感を味わいました。TPMsは、工事写真撮影として使うことが多いのですが、現場で物音がしたとき、現場の進捗状況が気になったときなど、パソコンや携帯電話を開けばすぐに見ることができるので、とても便利です。

レーヴ日進作業所

所長 宮城 典夫

 この現場の基本は「大きな声で元気よく挨拶しよう」。さらに「相互啓発・相互理解」を掲げ、「チームで仕事に取り組もう」「お互いの仕事をよく見て気付いたことは注意し合い、良い点を学ぼう」と呼びかけています。職長会を中心とした現場運営を維持し、職員の積極的な協力を得て、引き続き現場を盛り立てていきたい、と考えています。
 目標は、完成した建物をご覧いただいたとき、お客様に「前田に頼んでよかった」とご満足いただけること。そのために、「短納期・高品質・低コスト」と「安全・環境」を徹底的に追求し、トヨタ自動車様の規準を遵守して、建設に取り組んでいます。

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