特集2-1
新しいスキームで
エンターテインメント・スポーツの
市場に挑戦するアリーナ事業

特集2-1 新しいスキームで
エンターテインメント・スポーツの
市場に挑戦するアリーナ事業

17 パートナーシップで目標を達成しよう

貢献するSDGsとその理由

ステークホルダーとの連携をさらに広げることで、多様な社会の課題解決に貢献し、地域の新たな価値を創出します。

これまでの実績:コンセッション、再生可能エネルギー事業など

MAEDAは2011年から業界に先駆け「脱請負」に取り組み始め、再生可能エネルギー事業、コンセッションなどにおいて数々の実績を積み重ねてきました。社会課題の解決手法の一つとして整備された官民連携(コンセッション)においては、2016年7月の仙台国際空港運営開始を皮切りに、2016年10月には日本における有料道路コンセッションの第1号案件として愛知県内の8路線・全72.5kmの運営を始めるなど、日本のリーディングカンパニーとしての地位を確立しています。

再生可能エネルギー事業では発電所の建設、運営を行っています。秋田県の八峰風力発電所もその取り組みの一つです。

また、愛知道路内のパーキングエリアのショップおよびレストランに参画している株式会社アクアイグニスとともに合弁会社を設立しました。初弾となる三重県菰野町の菰野ヴィラプロジェクトでは、地域活性化、観光客誘致、および地域雇用を創出することで、社会課題の解決に貢献しています。

愛知道路コンセッション 仙台国際空港
八峰風力発電所 菰野ヴィラプロジェクト(アクアイグニス)

 近年、国内ではBリーグなどのスポーツリーグ人気の高まりやアフターコロナ時代を見据えたエンターテインメントの変化など、アリーナを取り巻く環境は新たな転換点を迎えようとしています。新しいかたちのエンターテインメントとしてスポーツビジネスが盛り上がりを見せつつある今、それを地域活性化の種にする動きが全国で広がっています。国の政策もそれを後押ししており、この市場拡大を見据え、MAEDAはアリーナを対象としたコンセッションの第一弾となる「愛知県新体育館整備・運営等事業(以下、本事業)」を獲得しました。

 本事業には、官民連携の新しい事業スキームが採用されており、これまでMAEDAが培ってきたエンジニアリング力と脱請負のノウハウを最大限に発揮することができます。さまざまなパートナーとともにグローバル水準の施設を整備・運営するとともに、多くの集客による地域の賑わい創出・発展に貢献することをめざします。

コンセッションの新たなスキーム

 本事業はBT(建設・移転)とコンセッション(公共施設等運営権付与)を組み合わせた国内初の「BT+コンセッション方式」というスキームが採用されています。

 これまでのコンセッション事業では既存の施設に対して運営権が設定されていたため、民間事業者の創意工夫が発揮できる範囲は限定的でした。しかし、本事業スキームでは、新たに施設を計画・整備する段階から民間事業者が参画します。整備と運営を一体事業とすることで、将来の運営・維持管理を見据えた施設計画を行うことが可能となり、質の高いサービス提供、事業者の収益性の確保、さらに運営権対価の最大化が図られ、本事業を通じ、公共・地域・民間のそれぞれにとってメリットの大きい「三方良し」を実現することができます。国内での注目度も高く、他自治体でも本事業スキームの採用が検討されています。

コンセッションの新たなスキーム

環境配慮型設計による気候変動への対策

 脱炭素社会へ向けたCO2排出量削減など、気候変動に対する課題解決は世界共通の取り組みであり、「愛知県SDGs未来都市計画」内の環境KPIにおいて、2030年度までの温室効果ガス(CO2)総排出量26%削減(2013年度比)が目標値として掲げられています。本事業では、自然エネルギーを活用した施設整備(太陽光発電・雨水利用など)、効率的なエネルギー運用(運用に合わせた水光熱利用の調整など)を行い、施設整備・運営の両面から温室効果ガス(CO2)の削減を実現します。

グローバル水準のエンターテインメント体験を提供する施設計画

 これまでのアリーナは公共施設として国や自治体が整備・運営してきましたが、立派な施設をつくっても運営が芳しくなく、地域への波及効果も限定的でした。アリーナのポテンシャルを活かしきれないという地域課題に対し、官民連携による本事業では、民間がグローバル水準の施設を整備・運営し、地域に新しい価値を創出することで、その課題解決を図ります。

 愛知県新体育館(以下、愛知アリーナ)は、スポーツを含めたさまざまなエンターテインメントの興行に対応し、最高の体験を提供する施設です。グローバル水準の空間(天井高さ30m、ハイブリットオーバル型※1の観客席配置等)と最先端のスマート技術(AR、5G等)を備え、国際スポーツ大会や一流アーティストのコンサート、大相撲名古屋場所などの開催を想定しています。下図に示す3つのコンセプトのもと、さまざまな企業とのパートナーシップを発揮して、国内外からの集客力を高めるとともに、愛知アリーナ単体ではなく県全域での地域活性化や経済発展への貢献をめざします。

グローバル水準のエンターテインメント体験を提供する施設計画

1. グローバル水準の施設とサービス

 愛知アリーナは、メインアリーナ、サブアリーナ、多目的ホールなどで構成され、延床面積約58,400㎡、建物高さ約41mという世界トップクラスの施設水準となります。

 アリーナ施設は、スポーツ観戦に適したオーバル型とコンサートなどの音楽興行に適した馬蹄型を融合したハイブリットオーバル型とし、観客席をアリーナ面へ近接することで良好な視界の確保を実現します。それによりアスリート・演者と観客の一体感や臨場感を最大限高めることが可能となります。

 施設運営は、最先端技術を有し国内外で活躍する企業とともに、民間のノウハウを最大限に活用します。世界トップクラスのアリーナ運営企業がグローバルなビジネスモデルを導入し、その幅広いネットワークにより、これまでできなかった国際的なイベントの興行誘致を可能とするなど、施設・運営ともに、施設利用者に最高のサービスを提供します。

※1:ハイブリットオーバル型
スポーツ重視の形状であり、一体感と臨場感のある観戦が可能な「オーバル型」と、音楽イベントに適した形状である「馬蹄型」を組み合わせた造語

ハイブリットオーバル型

2. 世界最先端のICT技術

 日本国内において既存のアリーナや体育館では導入することができなかった世界最先端のICT技術により、非日常体験を提供する‘世界初・日本初’のアリーナを実現します。5G技術の全面的な導入や低遅延オンライン視聴・8KVRライブ、マルチアングル観戦、360°自由視点観戦、ウェアラブルカメラ映像ライブ配信、観客参加型鑑賞(インタラクティブ演出・ギフティング)、AR技術等を導入することで新たな観戦・鑑賞体験を創出し、リアルを超えた感動・興奮・共感を提供します。

 また、感染症に対応したコンタクトレス技術などさまざまなICT技術を導入し、ニューノーマル時代における新たな興行スタイルを提供することが可能となります。チケット購入からアリーナ内での飲食・物販の注文・決済、帰宅時の交通案内に至るまでデジタル化を行い、より便利かつ円滑で安全な顧客体験を提供します。さらに、本事業で蓄積するデータは、イノベーションの起爆剤として活用し、アリーナだけでなく周辺地域の発展といった新たな価値創出にも役立てていきます。

3. 地域共生・地域発展

 愛知・名古屋のシンボルとなる愛知アリーナは名古屋市の中心に位置する名城公園に建設予定です。公園周辺の施設との連携を図り、スポーツ・文化・芸術の拠点に加えて、人々が集う地域コミュニティの中核施設となって、公園全体の利便性向上や活性化にも貢献すると考えています。また高い防災機能を備えた広域物資輸送拠点としての機能も備えています。本事業によりもたらされる価値は施設利用者へのサービスだけではありません。世界中から人々が集まることにより、賑わいや経済面で周辺地域へ波及効果をもたらし、地域全体の発展にも貢献できると考えています。

地域共生・地域発展

今後の目標・展望

 MAEDAがこれまでに取り組んできたコンセッション事業「空港」「道路」「展示場」に続き、新たに「アリーナ」が加わりました。愛知アリーナは2025年夏の開業をめざしています。グローバル水準のアリーナに世界中から人々が集まり、地域のブランドイメージが向上し、経済波及効果によって地域が活性化する、地域の新たな価値創造のモデルになると考えています。

 私たちは愛知アリーナを空港や道路と同じ「地域のインフラ」として捉えています。これまでと同様に公共・地域・民間が「三方良し」となるWin-Win-Winの考え方を導入しました。今後アリーナは、地域共生・発展に資する大きな伸びが期待される分野と認識しています。

愛知アリーナの「三方良し」各々のメリット

  • 公共: 整備費の一部を負担することが投資となり、地域ブランド(付加価値)の向上と税収UPによる収入拡大にもつながる
  • 地域: 地域全体の発展と集客による地域経済への波及効果が生まれる
  • 民間: 今まで官が整備・運営してきた地域インフラに対し、民側が負担して新たなマーケットビジネスに挑戦できる

 本事業を通して培われたグローバル水準の施設整備・運営のノウハウを活かし、今後国内で計画されている事業にも積極的に挑戦し、コンセッション事業による地域の新たな価値創出に尽力していきます。

担当者の声
経営革新本部 事業戦略担当 大浦 理津雄
経営革新本部 事業戦略担当
大浦 理津雄
愛知アリーナプロジェクト担当者にお話を伺いました。

── 入社後のキャリアを教えてください

 2007年に建築社員として入社し、関西支店の現場監督として11年間勤務しました。
2018年に脱請負事業を担当する部署に異動し、運営中である仙台国際空港の業務サポートや新規案件獲得に向けた業務を行ってきました。

── 現在、愛知アリーナでは何を担当していますか

 愛知アリーナでは現場管理の経験を活かし、施設計画に関係する業務を担当しています。
愛知アリーナでは多数の企業でSPC(特別目的会社)を構成していますが、建設会社に所属するSPC職員として施設計画の面で最先端のグローバルアリーナを実現できるよう取り組んでいます。愛知県や各種スポーツ協会・各SPC企業など関係者との調整業務も担当しています。

── 施工部門から脱請負部門に異動してきてどのように感じましたか?

 事業主の立場で業務を行った際に感じたことは、どの立場にあっても大変だなということです。現場にいる時は、事業主に対して早く決めてくれればいいのにと思っていましたが、事業主の立場になると何かを決めるためには関係することを調べ、理解し、方針を決めた上で関係者の了承を得る必要があります。また、施設設備に投資することで運営時の収入の増加につながる事案等は、事業計画を含めた検討が必要となり苦労しています。未知の業務を手探りで進めていくことは不安ではありますが、苦労した分達成感もあります。現場が竣工した時とはまた違う達成感です。

── 今後の意気込みを教えてください

 私の所属する部署にはさまざまな経歴を持つ社員が揃っていますが、その中で私の強みは施工経験だと考えています。愛知アリーナではこれから実施設計を経て建設工事が始まるので、強みを活かし、プロジェクトに関係するすべてのステークホルダーの利益に貢献できるよう頑張ります。