ダイバーシティ経営の推進

ダイバーシティ経営の推進

  • 5 ジェンダー平等を実現しよう
  • 10 人や国の不平等をなくそう

現代社会は社会構造の変化に加え、人々の価値観が多様化しています。そのような状況において、社員一人ひとりが働きやすい職場づくりは必須です。当社は「ものづくりの原点は“人づくり”」であると考え、その取り組みを推進しています。これは企業の柔軟性のみならず、多様な発想の創出、企業の強みにつながると考えています。

担当役員メッセージ

取締役専務執行役員 岐部 一誠
取締役専務執行役員
岐部 一誠

 2020年度は新型コロナウイルスの影響を受けて、ニューノーマル(新常態)に対応する多様な働き方を推進しました。テレワークの導入により、内勤は出社率5割(緊急事態宣言時は3割)を目標に取り組みを進め、建築・土木の作業所でも、新しい生活様式を反映して、徹底した日常の体調管理と感染防止対策を行っています。さらに、TeamsやZoomなどのWEB会議システムはリモートワークを可能にし、ICTを活用した働き方もより充実していくと期待しています。社会の変化に対応すると同時に社員が最大限能力を発揮でき、生産性と創造性を高めていくことをめざしています。

 また、継続して女性の活躍推進やワーク・ライフ・バランスの推進、健康経営、ダイバーシティ経営に取り組んでいます。2021年7月に署名した国連グローバル・コンパクトの10原則のうち「人権」の分野は、特に企業活動において欠かすことのできない人財に関する事項であり、建設業の抱える社会課題ともかかわりが深いため、リスクと認識しています。差別やハラスメントの撲滅は当然のこと、児童労働や強制労働といったバリューチェーンを包含した課題解決が求められており、当社もこの原則に賛同いたしました。SDGsの目標達成にも寄与できると考えています。

 すべての役員、社員が当事者意識を強く持ち、持続的で包括的な社会の構築に貢献していきます。

方針・考え方

当社の事業に対するこだわりを言い表した先達の言葉に次のようなものがあります。
『事業は人格の反映なり』(工事とは人格の反映に過ぎず、徳が溢れて具象するものに他ならない)
『事をなすは事を為すに非ず、徳を為すなり』(工事はそれをなそうとする人が積み上げた内外の信頼によって成し遂げられる)
この言葉は、「ものづくりの原点は“人づくり”」であるという、前田建設の「人材」に対する姿勢を表しています。
また、過去より職場のインフォーマルな人間教育によって、先輩から後輩へ、あるいは上司から部下へと技術や伝統が伝承された時代に経験的に培われた考え方として、以下の3つがあります。
1. 個性を尊重し人間性を尊重する
2. 部下は上司との信頼の絆の上で大きく育つ
3. 現場の学習は“頭”からではなく“身体”から入る
この本質は、時代が進んだ現在でも、当社の人づくりに対する基本的な姿勢として変わることはありません。

当社が考える理想的な人材像とは

また、当社ではダイバーシティの実現への第一歩として、「人材マネジメントポリシー」や「MAEDA企業行動憲章」第3章(人権の尊重)に則り、性別や年齢、国籍などに関わらず、社員一人ひとりがその個性や能力を発揮できる職場環境づくりに努めています。

マネジメント

当社の人づくりは、社員の成長が会社の成長へとつながるとする「人を育てる企業文化」と、そのために必要な社員と会社の相互信頼を継続的に強化することを明文化した「人材マネジメントポリシー」を土台としています。「育成制度」、「等級制度」、「評価制度」、「賃金制度」の4つの制度が互いに補完しあい、全体として人づくりを実現していくことを企図しています。特に育成制度においては、人材戦略部の統括管理のもと、各事業本部と連携し、「総合インフラサービス企業」を形成する人材を模索しながら、スペシャリストからゼネラリストまで、幅広い人材を育成する諸施策を策定、実行しています。

①育成制度 ②評価制度 ③適正な配置と異動(キャリア形成、ジョブローテーション)

実績

多様な人材の活躍

女性
管理職比率
1.2%
(内勤1.8%

 当社では、2019年度から新人事制度を導入した結果、女性管理職比率が減少しました。年功序列の要素が色濃かった旧制度では、管理監督職の業務実態と乖離した管理職比率となっていました。この点を是正し、11段階あった等級を3つに統合(役員、部門長、入社5年目以下を除く)し、役職に応じた役割と成果、行動に基づいた評価制度に変更しました。その結果、旧制度では管理職とされていた女性社員の多くが非管理職に位置付けられましたが、給与面において等級変更に伴う不利益が生じないよう移行しました。なお、課長職相当の女性社員は前年度から3名増加しました。

※2021年4月1日時点。委任執行役員、監査役、取締役を除く。当社職員就業規則に沿う数値で算出。

外国人
社員比率
5.7%

 現時点の当社における外国人社員比率は5.7%と非常に少ないものの、人数、ルーツとも徐々に広がりを見せています。国内採用の多くは日本国内の大学卒業者ですが、2021年度の新入社員112名のうち外国人社員は2名、うち1名は海外の大学に対し直接求人を行い、採用しました。今後もますます多様なルーツを持った社員が増えることが予想されますが、一人ひとりがさらに活躍できるよう、取り組みを進めていきます。なお、当社においては国籍によって業務内容や待遇に差異はありません。

※国内および現地採用の有期・無期雇用社員対象

外国人
技能実習生
 近年増加している外国人技能実習生について、現状当社での受け入れは行っておらず、協力会社での受け入れが進んでいます。当社はまだ直接的な関与はできていませんが、当社において技能実習生を含めた外国人労働者の労働災害が増加傾向にあることを踏まえ、土木・建築両事業本部では、その低減に向け多言語による安全教育などの取り組みを準備しています。各支店では、不法就労の未然防止や人種による賃金格差の是正指導に努めています。今後はさらなる人権配慮に注力していきます。
各種
研修制度
 研修カリキュラムや講義内容などは、随時見直しを行っています。新入社員の教育においては、入社から本配属までの約10カ月間で導入研修、職種別研修、導入フォローアップ研修を行い、均等な教育機会提供と業務知識の習得をめざします。詳細な社員研修の実績についてはWEBサイトをご覧ください。

主な研修制度

 2020年度、人材戦略部が管轄する社員研修の実績は下の通りです。研修カリキュラムや講義内容などは、随時見直しを行っています。新入社員の教育においては、入社から本配属までの約10カ月間で導入研修、職種別研修、導入フォローアップ研修を行い、均等な教育機会提供と業務知識の習得をめざします。

研修名称 人数 研修名称 人数
OJT関連 (対象者は入社1年次除く5年次以下の基幹職) 485 OJTトレーナー研修 122
集合研修 新入社員導入研修 115 マネジメントシステム基礎研修 112
新入社員職種別研修 115 内部システム監査員養成研修 33
新入社員フォロー研修 115 10年次研修 54
ビジネスマナー研修(一般職中途採用) - 50歳代キャリア開発研修 140
3年次職種別研修 121 評価者演習 61
5年次職種別研修 110
項目(単位) 2018年度 2019年度 2020年度
全社としての教育時間(時間) 1,225 1,265 1,283
一人当たり教育時間数(時間/年) 0.049091489 0.049348231 0.04960196

キャリア開発レビューの取り組み

当社では、社員の声を聞く「自己申告制度」を設けています。年1回実施し、個人の要望や提案を関連部門に届けるしくみです。役員、支店長、シニアを除く全社員が対象で、うち約88%の社員が制度を利用しています(2019年度)。得られた情報は人事部門、ならびに本支店のグループ長以上の役職者間で共有し、将来のキャリア開発の志向性や職場環境への満足度、異動希望などのデータとして活用し、働きやすい職場づくりに役立てています。社員一人ひとりが最大限の能力を発揮できる環境を整備するために、社員の多様な働き方や希望をきめ細かくサポートし、組織と個人の活性化に努めています。

離職総数と比率

当社の離職比率(対世代総数)は、20歳代が3.0%、30歳代が2.0%、40歳代が1.0%、50歳代が0.5%となっています。他の年代と比較して20歳代の離職率が若干高い傾向にあるため、昨年度より新入社員をはじめとする若手社員の研修、および日常生活も含めたフォローアップを充実させる取り組みを行っています。新入社員研修の期間を約1年間と大幅に延長し、すべての新入社員に対して均等、均質な教育機会を提供するとともに、教育長や研修インストラクター、OJTトレーナーによる個別フォローを心掛けています。また、20歳代、30歳代の若手社員に対する研修、さらに基幹職、一般職問わず自らの希望により受講できる研修の機会を増やしたり、キャリア開発の視点を含めたフォローを充実させたりするなど、離職率の低下に向けた取り組みを進めています。

2020年度 離職者数 48人

働きやすさ支援制度

当社では、個の多様性を尊重し、一人ひとりが能力を最大限に発揮できる「誰もが働きやすく、働きがいのある職場づくり」をめざしてダイバーシティを推進しています。

社員が出産・育児、介護と仕事を両立できるよう、当社は法定以上の支援制度を構築し、サポート体制を整えています(下図参照)。また、こうした各種制度を家族にもわかりやすく解説・周知することを目的とし、「MAEDAライフサポートブック」を発行しています。

また、次世代育成支援対策も継続的に推進しており、女性活躍推進法に基づく厚生労働省認定(通称:えるぼし)の「2段階」を2016年に取得しています。さらに、不妊治療費用の貸付やフレキシブル・ワーク、テレワーク、フレックスタイムなどさまざまな制度を充実させ、家庭と仕事の両立を支援しています。

●テレワークの全国導入

2020年4月の緊急事態宣言をきっかけに、それまで試験的に行っていたテレワークを全国に導入しました。緊急事態宣言解除後も、柔軟な働き方の方法として社長の指示のもと全国的にテレワークの推進を行っています。各部門における業務の棚卸しやペーパーレス化の推進に加え、社員一人ひとりが働き方と生産性の向上について考え、実践するチャンスととらえています。

●フリーアドレスの導入

テレワークの導入に伴い、全国的にフリーアドレスの導入を進めています。常に周囲のメンバーが変化することにより、お互いの業務に関心を持ったり自然な情報交換が行われたりすることも意図しています。
テレワークを推進するなかでオフィスに求められる役割を考え、オンラインではカバーできない社員同士の交流が生まれることを期待しています。

前田建設の働きやすさ支援制度一覧

育児休業・休暇取得状況

当社の育児休業・休暇の取得状況のうち男性の取得については、以前に比べ増加傾向にあるものの、進んでいるとはいえない状況です。

そこで当社では、ダイバーシティ推進チーム(社長直轄の部門横断チーム)が主体となり、男性の育児参画(イクボス推進)を含めた仕事と家庭の両立や、母性健康管理の必要性の理解促進を目的に、ダイバーシティセミナー(イクボスセミナー)を毎年定期的に開催してきました。2020年度は支店の責任者(イクボス)同士で取り組みや悩みの共有、好事例等の水平展開を目的としたイクボスミーティングの開催を計画していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、その多くを中止せざるを得ませんでした。

しかし、2022年度4月には育児休暇に関する法律も改正されることから、特に男性社員の育児休暇・育児休業取得の推進を目的に、新たな勉強会の実施等を計画しています。

少子高齢化や生産年齢人口の減少による担い手不足は、今後常態化すると言われています。男性の育児や介護への積極的な参画が、女性活躍推進の実現とともに、社員のワーク・ライフ・バランスの充実につながると考えています。今後、男女問わずすべての社員が働きやすい職場づくりを社員一人ひとりが意識し実行できるよう、さらなる取り組みを進めていきます。

イクボス:職場の部下などのワークライフバランス実現に向けて積極的に支援をする経営者や上司のこと

育児休業・休暇取得状況
育児休業取得者の声

私は第二子が2020年11月に誕生し、その後約2週間、育児休業を取得しました。

第一子が誕生したときは育児休業を取得しなかったのですが、今回は生まれたばかりの第二子のお世話と、一時的に大好きなお母さんから離れなければいけない第一子のケアをしたいと思っての取得でした。

育児休業中は今まで以上に子どもに向き合えた、充実した時間となりました。ずっと一緒にいることで子どもの新たな一面を知り、妻が普段している育児の大変さを身に染みて感じました。

育児休業終了後も、フレックスタイム制度を活用して朝の時間に子どもたちのお世話をしてから業務を開始するなど、充実した家庭生活を送っています。

第一子が小さかったときも、第二子が小さい今も、会社の上司、同僚、後輩はいつも私たち家族のことを気遣ってくれるだけでなく、育児についての相談も気軽に乗ってくれます。

もし自分の周りの方が育児休業を取得するときには、安心して休んでもらえるようサポートしていきたいです。

本店 経営革新本部 管理部総務グループ 髙橋 泰清(写真:お嬢様)
本店 経営革新本部
管理部総務グループ
髙橋 泰清(写真:お嬢様)

福利厚生

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労務・人権・人事:【KPI】労務① ダイバーシティ関連