トップメッセージ

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「請負・脱請負の好循環ビジネスモデル」で付加価値向上に取り組む

社会経済の動向や価値観の変化の中で、インフラの老朽化、担い手不足、環境負荷低減など、さまざまな社会課題が顕在化していますが、それとともに建設業に求められる役割も大きく変化しています。企業は常に社会から求められる存在であり続けなければなりません。

変化の激しい時代を迎え、それら変化への対応を怠れば、いくら歴史が長く企業規模が大きい企業でも一瞬でその優位性が失われる時代です。我々はインフラ企業として日頃より技術や安全対策の研鑽に努めると共に、世の中の時流や社会課題にしっかりと向き合い、迅速・果敢に変革に挑戦し、引き続き地域・社会に貢献し続ける企業を目指してまいります。

当社では2019年度から、「NEXT10」という経営計画に取り組んでいます。そこでは、目標実現のための戦略三本柱として、「1.生産性改革」「2.脱請負事業の全社的推進」「3.体質改善」を掲げてきました。2025年度からは「脱請負事業の全社的推進」を第一の項目に移行し、脱請負事業をさらに推進していくと共に、請負事業においても脱請負思考をもって、事業主目線、さらには社会的目線にたち、全社で付加価値創造に取り組んでまいります。そして、請負事業で培ってきたエンジニアリング力とインフラ運営事業で得た知見とノウハウを掛け合わせ、請負と脱請負を融合させた唯一無二のビジネスモデルに引き続き挑戦してまいります。

ビジョン・戦略の浸透による全社的な脱請負思考の加速

脱請負事業を全社的に推進していくためには、社員一人一人が脱請負思考を習慣化する必要があります。このために、できるだけ多くの社員と直接かつ継続的にコミュニケーションをとることが肝要と考えています。具体的には、全国にある支店を全て巡り、直接社員に経営方針を説明し対話する「社長キャラバン」を設けたり、全国の現場をめぐり社員と直接コミュニケーションをとる機会をなるべく多く設けています。これにより、動画配信やメールだけでは伝えられない思いや理念を伝え、請負事業だけでなく脱請負事業/思考を全社的に推進していく組織文化をつくりあげてきました。

このような地道な取り組みの成果が着実にあらわれてきています。インフラ運営事業(再エネ事業除く)のこれまでの獲得実績は、コンセッションが9事業、PFIが18事業、包括的民間委託が18事業です。これは、国内トップレベルの実績です。今期取組み中の新規案件数は30事業の見込みであり、インフラ運営のトップランナーとしての地位をさらに確固たるものにしていきます。

<当社グループが手掛ける
国内の主なインフラ運営事業>
<当社グループが手掛ける国内の主なインフラ運営事業>

脱請負事業の競争優位性

当社が運営するコンセッションは、道路、スタジアム・アリーナ、下水道、工業用水道、MICE、空港と多様な分野にわたります。各案件や地域などの個別事情によりインフラ運営を最適化する手法が異なります。最適解を探索し、最大公約数的に事業価値を最大化するノウハウやリスクマネジメントノウハウを蓄積することが当社の強みとなっています。

特に、DXを活用した効率的な維持管理手法の確立は、今後の事業展開の核となります。なぜならば、属人的な経験ではなくデータに基づいてインフラの更新投資や修繕を実施することが地方公共団体や利用者のコスト負担軽減、あるいは付加価値創造につながるためです。

DXを活用した差別化には多くのデータを蓄積することが不可欠です。この点、当社は多数の実証フィールドを有しており、三浦市下水道コンセッション、大阪市工業用水コンセッションおよび愛知県有料道路コンセッションでは劣化予測などにおいて既に成果が出始めています。

この動きをさらに加速させることを目的のひとつとし、インフロニアとアクセンチュアとの合弁会社「インフロニア ストラテジー&ソリューションズ株式会社」が設立されました。当社がこれまでに蓄積したノウハウとアクセンチュアが有する最先端のデジタル技術や世界中に広がるネットワークを活用し、インフラが直面する社会課題の解決に向けた取組みを加速させる狙いです。

また、インフロニアグループとして当社は案件の特性に応じて最適なパートナーシップを構築しています。当社は豊富な実績を有しておりますが、インフラ運営に必要な多岐にわたる業務は、当社単独で実施することはできません。トップレベルのパートナーシップを構築することが最適なインフラ運営につながります。先述のアクセンチュアとの取組みもこの一貫です。

請負事業のさらなる強化

土木事業の強みは、本支店・作業所における一体的なマネジメントによる迅速な課題解決力です。それが、本支店からの支援を踏まえた現場業務の生産性向上による逸失利益の最小化、つまり全社的な利益の最大化の追求・獲得を可能にしています。

また、従来の施工にとどまらず事業領域の拡大にも挑戦しています。その一例がバングラデシュの地下鉄建設におけるセグメント製造販売事業です。同国で唯一となるシールドセグメント工場を稼働し、高品質な供給体制を構築する計画です。

このほかにも、人体や生態系への悪影響が懸念されているPFAS(有機フッ素化合物)対策にも早期から取り組むとともに、優れた技術を持つ企業などとの戦略的な提携を強化しています。この一例として、メタウォーター株式会社と共同開発した吸着処理システム「De-POP’s ION🄬」の実用化が挙げられます。

建築事業では、データを活用した中長期の受注・完工シミュレーションとリソース管理により請負事業の基盤強化に取り組んでいます。再開発を中心とした大型案件を軸に、受注の安定化を図るとともに、受注規律の徹底により計画と実行の精度を高めています。

また、新たな成長マーケットへの取組みも強化しています。全国で計画が進むスタジアム・アリーナ、需要旺盛なデータセンターや冷凍冷蔵倉庫(食品・食肉加工工場を含む)などを重点分野と位置付け、専門チームを編成して取組みを強化しています。特にスタジアム・アリーナにおいては、脱請負事業との部門横断チームを組成し、IGアリーナのような大規模施設だけでなく、各地域に適した規模の多様なタイプのアリーナに対応するノウハウを蓄積しています。

請負×脱請負の組織力を向上させる人材マネジメント

当社の人材育成の鍵は、上司力の強化と脱請負思考の浸透にあると考えています。

企業が持続的な成長を実現していくには、個の力が欠かせません。将来の成長を見据えた若手の人材育成はもちろんのこと、上司力の強化も大変重要です。現役の上司はもちろんのこと、幹部候補生やミドルを対象に上司力研修を充実させてまいります。

請負で培ったエンジニアリング力が脱請負の領域における当社ならではの優位性であるとともに、請負事業においては脱請負事業の経験・ノウハウが請負事業における我々の強みとなるのです。

今まさに分業・専業から連携の時代です。部門の枠を超え、さらには、請負の枠を超え、事業主目線に立って社会課題や時流の先を捉えることのできる人材が求められています。
部門間・組織間の連携や人材交流を進めるとともに、実践を通した知識や経験、ノウハウの充実、人材育成に努めてまいります。

時代の先を読み、変革に果敢にチャレンジする強い個・強い組織・強い企業文化をもって、我々は、引き続き脱請負事業を加速させるとともに請負事業においても脱請負思考を浸透させ、全社的脱請負の推進を図ってまいります。

“健全な危機感”を持ち改革にチャレンジ

前中期経営計画を振り返ると、物価上昇や労務費の高騰が急激に進む中、当社は受注時における適正利益・適正工期・適正な施工体制の確保に向けた受注規律の徹底や、逸失利益の最小化により業界水準と比べて高い利益を確保できました。

新たに打ち出した「INFRONEER Medium-term Vision 2027 中期経営計画」で掲げる高い目標の達成に向けて、受注規律のさらなる高度化や、コスト競争や環境の煽りを受けないための、プロジェクト上流からの作り込み、グループ会社・協力会社を含めた、効率化に向けた技術開発や、DXの推進など、他社との差別化を意識しながら付加価値の向上に取り組んでまいります。

国内初のBT+コンセッション方式で開発が進められ、当社も設計施工の立場で携わってきたアジア最大規模のアリーナ「IGアリーナ」が、無事に工事完成を迎えました。いよいよ今年7月から30年間の運営が開始されますが、当社は引き続き運営者の立場でインフラ運営事業に参画してまいります。近年、スポーツ市場は年々増加し、市場規模の成長が見込まれる一方で、海外と国内のスポーツ産業化の浸透に大きな差が生じております。地域の活性化や、スポーツ産業全体の発展を踏まえ、課題やリスクを把握しながらも、当社ではそれらを好機ととらえ、入札の時点からより効率的で持続可能な運営や施設の未来価値を最大化できる、インフラと運営を一体とした新しいビジネスモデルを引き続き目指してまいります。

急速に変化するこの時代、将来的な市場縮小が起きた環境下でも継続して利益を上げ、社会に求められ続けるには、グループ、地域、さらには異業種との連携が不可欠であり、パートナーと一体となって、新たな取り組みに挑戦し続ける必要があります。当社はインフロニアグループの中核企業としての自負と責任感を持つとともに、全職員が健全な危機感を持ち、価値創造に向けスピード感のある改革にチャレンジしてまいります。

代表取締役社長 前田操治

前田 操治(まえだ そうじ)

1997年前田建設工業入社。2002年6月から取締役、常務執行役員等を歴任し、2016年同社代表取締役社長(現職)、2021年10月インフロニア・ホールディングス取締役会長、2025年6月執行役(現職)に就任。