トップメッセージ

トップメッセージ

NEXT10実現に向けた改革の加速とギアチェンジ

グループ体制2年目として

新型コロナウィルスが、世界中で流行してから3年余りが経過し、ようやく全面的に日常を取り戻しつつある一方で、ロシアによるウクライナ侵攻は未だ緊張状態が続いています。ウクライナ危機によるエネルギー需給の不安定性はグローバルサプライチェーンの寸断をもたらし、原油高や資材高が我々のビジネスや生活に大きな影響を与えています。
2022年11月には対話型AIであるChat GPTが公開され、世界に衝撃を与えました。
急速なデジタルテクノロジーの発展により、人間がやるべき仕事は何なのか、人間が生み出すべき「付加価値」とは何なのかが改めて問われる時代になってきていると言えます。
こうした時代の中で、新たなグループ体制であるインフロニアホールディングスを設立※1し、2年目となりました。グループ連携によって営業体制の強化などのシナジーが生まれ、当社単独で社会課題解決に向き合うよりグループ全体で連携し推進する事の強みを実感しています。実際に2023年3月に竣工した「(仮称)南房総市プライベートドライブコース新築工事」では、インフロニアグループ全体で連携した前例のないプロジェクトを遂行することが出来ました。

※1 前田建設、前田道路、前田製作所の持株会社として、2021年10月に設立

脱請負事業の全社的推進

当社はこれまで、コンセッション事業として、道路、空港、展示場、工業用水、アリーナ(※愛知アリーナを建設中)の事業運営に携わって参りましたが、2023年4月より三浦下水道コンセッションの運営を開始しています。一処理区の処理場・ポンプ場・管路の全ての維持管理から更新までを含む下水道コンセッションとしては国内初であり、デジタル技術を活用しながら効率的な運営を目指します。
また、全国規模でインフロニアグループ全体での営業協力体制が構築され始め、官民連携プロジェクトに関する自治体とのパイプラインは急増しています。
様々なインフラ分野に事業ポートフォリオを拡大しながら、インフラの全ライフサイクルを事業領域として一気通貫に手掛ける「総合インフラサービス企業」の実現に向けて、引き続きグループ間で連携して参ります。

社会の変化への対応

足元では、担い手不足の問題がいよいよ顕在化し始めました。
改めて、中長期経営計画NEXT10の目標達成に向け、持続的かつ安定的な質の高い供給力の確保に向けた具体策の実行が急務であると痛感しております。建設業は労働集約型の産業という特徴を持ち合わせており、人口減少に伴う担い手不足の深刻化に対しては、人的資本への投資という視点が欠かせません。人的資本への投資は、社会のサステナビリティと企業の持続的成長の両立を図るサステナビリティ経営においても大変重要な要素であると認識しております。
協力会社に対する支援としては、支払条件について従来の電子記録債権を廃止し、全額現金払としたほか、当社の協力会社会である前友会に対しては「教育支援金」制度や「技術開発支援金」制度を定め、作業員の育成支援・生産性向上に繋がるように共に取組んでいます。
また、2022年度よりインフロニアグループ全体で「ダイバーシティ・ネットワーク」を発足いたしました。多様な能力や経験を持った人材が活躍できる環境づくりにさらに力を入れて参ります。

「安全は会社の良心である」という理念に基づく安全確保の徹底

2022年度は大変残念ながら、重大災害が発生いたしました。また、当社としては絶対に起こしてはならない火災事故も複数発生しております。事故の背景には、技能労働者の高齢化や担い手不足、外国人労働者の増加、コロナ禍によるコミュニケーション不足など、様々な環境の変化によるところもあり、潜在的な安全のリスクが高まっているという強い危機感を持たなければなりません。
絶対に事故を起こさないという強い意思を持って安全意識を高めると共に、改めてKY活動(危険予知活動)を徹底し、不安全行動がないよう注意を払い、引き続き重大災害ゼロを目指して参ります。
重大災害やコンプライアンス違反により、会社の信頼は一気に失われかねません。インフロニアグループ全体でガバナンス強化を図り、引き続き内部通報制度なども有効に機能するように改善を続けて参ります。
常日頃からお互いコミュニケーションに努め、素早く躊躇なく「現場・現実」を共有し、迅速に組織の総力を持って、皆で「こと」にあたる風通しのよい「前田らしい会社」にしていくことを改めて努めて参りたいと思います。

業績について

業績につきましては、2022年度は建設業界全体が原油高や資材高騰の影響で厳しい状況にあった中で、増収増益を達成することができ、成長路線を堅持できています。
特に完成工事利益率においては、業界トップクラスのレベルを誇っています。引き続き、受注競争に巻き込まれない上流からの付加価値創造や受注時利益率管理の徹底により、高水準の利益率を目指します。また、将来の収益の柱の一つを目指している脱請負事業においても、昨年度、風力発電事業1件の売却を含め、着実に業績への貢献度を高めています。
今年度はNEXT10 2ndステージ(2022~2024年度)の2年目、いよいよNEXT10の折り返し地点の節目に立ちました。これまでの成果と課題を精査し、具体施策を着実に実行し、改革を加速させるタイミングに来ています。
それぞれの「個の力」を高めると共に、インフロニアグループ全体での連携による「組織の力」を最大限発揮し、NEXT10の実現に向けての「ギアチェンジ」の年となるよう、引き続き前進して参ります。

代表取締役社長 前田操治

前田 操治(まえだ そうじ)

1997年前田建設入社、2002年から取締役 常務執行役員、建築事業本部長 営業推進担当を歴任し、2016年同社代表取締役社長、2021年10月インフロニア・ホールディングス取締役会長に就任