ファンタジー営業部
GRAN TURISMO 4編
1意味と容量
◇ ◆ ◇ E部長、B主任ならびにD職員と飯田橋本店ダムGrへ ◇ ◆ ◇
E部長 以上のような条件だから水力発電が出来ると思うのだけれど、専門家としてはどうかな。
N部長 高低差のある湖が二つ。確かに揚水式発電所の条件ではあるんですがね・・・揚水式発電所ってどういうものかご存知ですか。
E部長 夜間の余剰電力を水の位置エネルギーに変換し蓄え、昼間に発電する施設だろ。
D職員 ?????
B主任 電気の使われ方は一日の中で変動がある。やっぱ昼間が多いわけや。で、一番電気が使われるところにあわせて発電所を作るとすると、夜は余ってしまうわけやな。電力会社としては火力発電所や原子力発電所はごつい高い投資や。あと、それらが車のアクセルみたいに出力調整ができんちゅう難しさもあって簡単に増やせんのや。で考えたのが揚水式発電所というわけや。
D職員 水の位置エネルギーで蓄えるというのは?
B主任 上と下のダムを水路でつないで、真ん中に水車を作る。で、夜は電気で水車を回して水を下から上のダムに移すのや。これが「電気を水の位置エネルギーで蓄える」ちゅうこっちゃ。昼は逆に水を流して電気に戻す、と。図にすればこういう感じや。
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揚水式発電所の概要です(数字は参考値で今回計画とは関係ありません)
(出典:http://www.tepco.co.jp/kanna-gawa/gaiyo2-j.html#top)

(C)東京電力株式会社
N部長 そうです。つまりは大きなバッテリー代わりです。だから純粋に揚水式発電所だけであれば、太陽電池や風力発電と異なり、外からの電気が必要なんです。より詳しく学びたい方はこちら
(出典:http://www.tepco.co.jp/kouza/yousui/yousui-j.html)
この湖には川などの流入は無いんですかね?
B主任 残念やけど、画面で見る限り、川の存在を確認することはできまへんな。ただ、近くに新宿並の高層ビル群はありますやろ、となれば数万人単位の昼間人口が見込め、生活排水は相当期待できまっせ。この処理水も上湖に流れ込むとなれば、かなりの数字やろから、貯水池式でも余裕で行けまっせ。
(出典:http://www.tepco.co.jp/custom/LapLearn/ency/wtrt0101-j.html)
E部長 ただし、人口も排水量の設定も、結局は我々の数字遊びになってしまうのはわかるだろう。
N部長 なるほど・・・じゃあ、とにかく二つの湖のプロフィールを明らかにしましょう。彼らの容量以上の発電は出来ないわけですから。どういうことができるか考えましょう。
D職員 我々は第1トンネル入口近傍の湖を「第1湖」、第2トンネルと第3トンネルの間、橋梁で跨いでいる湖を「第2湖」と呼んでいます。
このように呼ぶこととします。(白字、前田建設で追加)
(C)2004 Sony Computer Entertainment Inc.
D職員 測り方にも拠るのですがキリのいい数字で言いますと、第1湖が面積約60000m2、平均水深10mと読み取れます。一方第2湖は面積約110000m2で水深は読み取ることが出来ません。標高が高いのは第1湖で、水面高の差で33mになります。
水色が第1湖、白色が橋のある第2湖周囲の法面です。
こういうところまで、きっちり決まっていたのです。

(C)2004 Sony Computer Entertainment Inc.
N部長 覚悟はしていましたが、思ったより小さな発電所になりそうですね。上ダム・・・じゃない・・・上の湖で600000m3ですね。ちょっと概略計算してみましょうか。
E部長 発電所の規模?
N部長 そうです。まず発電所出力の概算計算式ですが・・・
発電出力P(kw)=重力加速度9.8×水量Q(m3/sec)×高低差H(m)×効率η となるんです。この場合、PとQの兼ね合いを知りたいので、式を変形し、例えば発電所出力を3000kwと仮定すると
Q=3000/9.8×25×0.72
となって、Q=17m3/秒か。なるほど・・・
D職員 ちょ、ちょっと待ってください。3000と9.8は解るとして、25mって何ですか?33mじゃないんですか?あと「ηが0.72」は何で決まったんですか?
N部長 すみません、説明が要りますね。あたり計算ですから、あくまで経験則で決めたんですが、まず25mは「有効落差」です。上の湖の取水口によって落差の数字は影響されますし、また発電と共に水位も低下していきますから、単純に33mの差、全てを利用できないのは感覚的にわかってもらえますよね。33mに対して「25m」というのは完全に経験から直感的に私が決めた数字「有効落差」です。同様にηの0.72も、利用するであろうタービンや発電機の効率が大体この数字で表せると経験的に解っているのです。
東京電力株式会社南相木ダム

取水口は、こういうところにあるもので
(C) 前田建設 All rights reserved
E部長 なるほど。じゃあ、次はその発電をどの程度続けられるかだな。毎秒17m3ということは時間61200m3か。上の湖が600000m3だから10時間くらいは大丈夫てとこか。
N部長 様々な余裕を鑑みればその半分、5時間程度にしたいところです。・・・うん3000kwという仮定はいい線でしたね。グランバレーの発電所出力はとりあえずこれとしましょう・・・しかしこの電気はどういった用途に使われるんですか。やはりサーキットのレース開催時のピークサポートですか?・・・よく考えてみると、レースカー10台分程度にしかならない、そんな出力ですよね、この数字だと。
B主任 そうでんな。サーキットという施設はずいぶんと利用者の波があるようですからピーク時の補助はありますな。その他に皆で話しとったのは、将来的にモータースポーツは燃料電池かリチウムバッテリーかわからんけど、まあ電気中心になるやろなと。そやったら「クリーンな水力発電の電気で走る、しかしエキサイティングなレースが開催できる唯一のサーキット」にしとけば、持続的開発の時代にも支持が得やすいかなと思うてな。
D職員 そしてこれに大型風力発電などと組み合わせられれば、なお説得力は上がるでしょう。もちろん理想は貯水池式で、流れ込む水力で大出力の発電をしたいのですが、流れ込む水量が解らない・・・だからちょうど湖も2つあるし、まずは揚水式として計画しましょう、となったのです。
N部長 なるほど。それだけの視点なら、是非ともグランバレーの高層ビル群が住居兼用で人口が大きく、生活排水も多いことを願っちゃいますね。風力発電も面白いかも。
 

     
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2見た目は変えずに
D職員 この発電所、グランバレーの景観を乱さない形で出来ますかね?そこポイントなのですが。
N部長 維持などを考えれば、どうしても上の湖の取水口、および下の湖の排水口は水面にちょこっとだけ顔を出したいところですが、まあ全て地下でまかなえると思います。
B主任 そもそも地下発電所って、どないな構造になりますのやろか。
N部長 発電機を置く発電所本体は大きな地下空間になりますね。土圧、水圧に対抗しやすい卵形断面が主流です。それと上部および下部のダム・・・今回は湖ですが・・・を結ぶ水路。特に斜めの部分は大きな内圧が掛かるので特に「水圧管路」と呼び内側に鉄管を巻きます。あ、他の部分はコンクリート仕上げですよ。発電所本体は機械の維持補修を考えて搬入坑が必須です。また工事の都合から、鉄管路、ケーブル坑、空気坑などなどが掘られます。発電所周辺を図で示してみましょう。
   
地下発電所の概要です(このほか、工事その他に伴い細かいトンネルが存在します)
(出典:http://www.tepco.co.jp/kanna-gawa/gaiyo3-j.html#top)

(C)東京電力株式会社
D職員 今回高低差は25m程度なわけですが、水圧管路の角度は緩やかにしてもかまわないのですか?
N部長 管路もやはり抵抗がありますし、維持補修や発電効率、そして掘削ズリの自然落下傾斜である、水平からの角度で57度が基本となっています。
B主任 様々な作業坑ですが、グランバレーの風景中に無粋な坑口を極力減らしたいので、なんとか数を減らしたいのですが。
N部長 搬入坑は最低限必要ですし、今後工事の段取りを考えていく過程で結構多くなってしまうんですよね。多くの穴を掘っていかないと、地下発電所は作れないんです。
D職員 発電所の平面図を見ると、上・下ダムと地下発電所は一直線に配置されていないのが非常に不思議です。素人考えでは、まっすぐが一番抵抗が少なく良いと思うのですが。
なるほど、導水路、水圧管路、発電所、放水路は微妙に曲がっています
(出典:http://www.tepco.co.jp/kanna-gawa/gaiyou-j.html#top)

(C)東京電力株式会社
E部長 そりゃそうしたいさ。しかしあれだけの地下大空間だよ。山の性質に左右されるのさ。大空間を掘っても大丈夫な場所。さらには岩のヒビの方向、つまり節理の入り方によっても発電所の方向が変わってくるよ。まずこれら要素が発電所の配置を決めてしまうことがほとんどさ。
N部長 そうですね、今回のように「何処でも山が安定かつ均一」というのは、まずありませんね。初めてのケースです。で、あればD職員が指摘したとおり、一直線に配置しましょうかね。
B主任 当然トンネル工事は短くしたいですからね。
N部長 取水口、排水口については、水面上に顔を出すこともあるでしょうから、サーキットに来られる利用者からの視点を意識しましょうか。二つの湖付近で観客席があるのは、第1湖近傍のヘアピン付近のVIP観客席だけですね。。
D職員 ただ第2湖も橋からの眺めは重視したいですよね。
N部長 とすれば、一つの考え方は排水口を橋の真下に持ってくる方法が考えられますが、これはちょっと橋脚工事が難しくなりますから、ドライバーや観客からの視線を考えるとこんな感じで如何でしょうか。
見え難い場所同士を結んで見ました(一部、線などを前田建設で追加)
(C)2004 Sony Computer Entertainment Inc.
B主任 あれ・・・そういえばちょっと待ってくださいよ。今回の山はチャートや石灰岩質で透水係数が大きいという分析でした。二つの湖そのものの止水工事はどうなりますか。
E部長 それについてはさ、やっぱりグラウトだろうと思うんだ。底に遮水シートを敷き詰めるという方法もあるけど、現実にはなかなか難しい部分が多くてねえ。
N部長 水がたまる部分の回りの土の中にカーテン状のセメントミルクの壁をぐるっと作ってしまうんです。当然、深い地層の何処かには不透水層があると言う前提になりますがね。
B主任 ほんじゃ今回の工事は当然・・・
N部長 ええ、サーキット本体工事のはるか前から人造湖と発電所工事に着手する必要があります。
E部長 さて、発電所その他の大きさについてはどうやって検討しようか。
N部長 弊社が担当した古い工事になりますが、有峰ダムの第3が確か今回の倍程度の発電量だったと思いますから、あれの半分を目安に考えてみましょうか。それは施工検討までに調べておきますね。

人造湖であることに始まり、ついに発電所工事までがオプションメニューに加わってしまった。果たしてGrand Valley Speedwayはどこまで深化してしまうのか?費用対効果など何処吹く風!発注者に気に入られるか否かを超え、もはや技術者の意地に突き動かされているファンタジー営業部員は、更なる「新時代の持続的サーキットに向け」驀進する。どうか暴走になりませんように。

次回ファンタジー営業部 GT4編 「Part 06 どうせやるなら未来のために」
10月31日(月)公開予定。

“The Construct of Your Sustainable Life”
 

 

   


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