ファンタジー営業部
GRAN TURISMO 4編
いよいよ今回もファンタジー営業部員を悩ませる「見積と工期」の時期となった。お堀沿いの飯田橋本店ではA部長が、毎年春の訪れとともに美しい花のトンネルを作る桜並木を下に見ながら腕組みをし、じっと何かを考え込んでいる。
◇ ◆ ◇ ファンタジー営業部、全体会議 ◇ ◆ ◇
1割り切りの範囲
A部長 : 実は相談があるんだがね。
C主任 : あれだけ考え事してる姿を見てましたから、なんか来ると思ってましたよ。
A部長 : 今回の見積もりは、知ってると思うが検討範囲が広い。
D職員 : ですねぇ。3つのトンネルと1つの橋。舗装とグランドスタンド施設。以上は最低でも考えなければいけません。
B主任 : ほんでオプション提案分もあって、揚水式発電所、鋼板遮水クローズド処分場、そして二重式の橋でんな。多いでっせ、今回は・・・
A部長 : そうだ。範囲が広いだけでも十分問題なのだが、それ以上に悩やましいのは「土工事」だ。今回の物件の場合、この土工事の「量」が大きく工事費に影響する。しかしそれがわからない。例えば君達が見学に行かせていただいた「ツインリンクもてぎ」だが、どのくらい土を動かしたかというと・・・一説には1300万立米と聞いている。
B主任 : ダム2、3個分ですなぁ。
A部長 : これまでの物件、マジンガーの格納庫や999の高架橋は我々、暗黙のうちに平らであると仮定し計画した。しかし、ここは周囲の景観から見ても違う。
C主任 : つまりコスト主要因である土量が推測値だから、コストの信憑性も低くなるという事ですね。
A部長 : その通りだ。これをどうしたものか考えていたんだ。
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D職員 : 大丈夫ですよ部長。999の時の橋脚高のエイヤッの決め方、お忘れになりましたか?
B主任 : らしゅうないやないですか。はっきりと「これは土工事別途の価格です」とお客様に示すしかありませんやろ。ほかに仕方ないですわな。
A部長 : しかし今回の土工事は雨水排水管、上・中・下水道管、照明設備や緑化工事も含まれるぞ。
C主任 : もし既存のサーキットとの比較論で不安がおありなら、それこそもてぎの数字を参考に使わせていただき、お客様にわかりやすくするのはいかがでしょうか。
A部長 : (急に顔を上げ)・・・君達。いつの間にか頼もしくなったなぁ。
D職員 : こういう世界の仕事に慣れたんですよ。いい意味での割り切りです。
B主任 : 悪い意味ではアバウト、ともいう。
C主任 : 見積にも顧客からは品質とスピードの両面が求められるわけで、今回はややスピード寄り、と解釈しましょう2)。申し訳ないのですが。
D職員 : ということで今回は広く薄くなってしまいます。どうもすみません。
B主任 : 誰にあやまっとるんや?
D職員 : いろいろと。さ、早速トンネルから片付けていきますよ!
◇ ◆ ◇ B主任、D職員で再び設計技術GrのL課長のところへ<トンネル> ◇ ◆ ◇
L課長 : 久しぶりだね〜。検討、大体終わったんだって?
B主任 : いよいよ面倒でしょうが、トンネル3箇所の見積もりをお願いしたいと思います。
L課長 : 忙しいんだけどな〜。うそうそ。まずは一般的なレクチャーから始めると、第1から第3トンネル全てサイズが大きいし、仕上げ段階で矩形を成立させるために天井はアーチ状に掘るから、普通の道路トンネル(掘削面積80m2程度)より広く、お金は割高になる。
B主任 : 140m2程度やろか。
*2)解釈しましょう
賢明な読者諸氏にはもうバレバレの通り、年度末と重なった今回のGT4編。従来のマジンガーや999編と異なり、他物件からの推測を主体に工期・工費をお出しすることとなりました。どうぞご容赦くださいませ。


↑up
L課長 : そんなだね。第3だけはもう少し大きくて174m2。こうなるとかなりの大断面トンネルといえる。それからこの問題だらけの第3トンネルは上の土の層を凄く薄く残さなければいけなかったの覚えてる3)かな?あれあの後ちょっと検討してみたんだけど、やっぱり発破では上が薄く残らず吹っ飛びそうだよ。ということで一度は否定した「機械掘削でチマチマ」も復活させたから、その分高くなった。
D職員 : 全てのコンクリートが「厚い」と嘆いていらっしゃいましたが。
L課長 : コンクリートが厚いから打設時に利用する移動型枠(セントル)もコンクリート重量が重くなるので頑丈なものを用意しなくてはいけないからね。
B主任 : 例のシェッド部分はどうなりました?
L課長 : ボイド分・・・覚えてるかな、穴あきのコンクリートにするための仕掛けだけど・・・を差し引いてもコンクリートは7600m3ほど必要そうだ。足場や型枠もそれだけ必要だからね。結果から見せれば、こうだ。

トンネル群 単位 数量 金額
第1トンネル m 200 538,400,000
第2トンネル m 200 538,400,000
第3トンネル(シェッド区間) m 200 326,400,000
第3トンネル(トンネル区間) m 130 453,440,000
面壁 基 6 42,000,000
    小計 1,898,640,000

B主任 : 来ましたなあ。19億円!
D職員 : あの〜面壁ってなんですか?
L課長 : 打ち合わせの時「コンクリート厚い」って指摘した、トンネル両端部さ。ここ。
ああ、これですか
(C)2004 Sony Computer Entertainment Inc.
B主任 : そうやった。ここも同様にコンクリートが厚いんやったなぁ。
L課長 : トンネル3箇所に両端2箇所で、計6基だね。
B主任 : 工期については?
L課長 : もし3箇所が同時に着工できるなら、第1、2トンネルは1年程度で貫通できるだろう。問題は第3で、これは若干手間がかかる。
D職員 : これもシェッドとトンネルが同時にできればいいわけですね。
L課長 : でも両者の取り合いが難しいしね、埋め戻しも考えて2年はほしいところだね。
D職員 : どうもお手数をかけました。
L課長 : もしわからないことあったら、明日から3日間、現場に出張行ってるから、急ぎの場合、携帯に連絡して頂戴。
◇ ◆ ◇ 大崎の前田道路、MA技術部長を再び訪問<舗装> ◇ ◆ ◇
C主任 : 以前からお願いしていた、見積もりをお願いする時期になりまして。
MA部長 : わかっていましたから用意出来てます。こちらです。
B主任 : うわ〜。こりゃまた本格的な・・・
発注は2010の10月までがよろしいようです!
(C) 前田道路 All rights reserved
(C) 前田道路 All rights reserved
MA部長 : ただしコース全長が4944mで平均コース幅がグランドスタンド付近も考慮し20mと仮定して算出した数字です。
B主任 : 11億7113万円ですか。
MA部長 : 路盤から考慮してます。工期は2ヶ月頂ければ十分です。
C主任 : 関係ないところですが見積書の文章に「誠心誠意」というフレーズがあるの、いいですね。
MA部長 : なに笑ってるんですか。いや、実際当社はそうですよ。
B主任 : うちも見積もりに「魂が入れてます」くらい入れなあかんね。
◇◆◇ B主任、C主任、日立造船橋梁事業部を再び訪問<橋梁> ◇◆◇
*3)
http://www.maeda.
co.jp/fantasy/
project03/
04.html
B主任 : またまた来てしまいました。ここの打ち合わせコーナー4)もすっかり慣れました。
P部長 : (ニコニコと)そうですか、いつものコーヒーですが・・・。さて、ご依頼の書類はこちらになりますね。
C主任 : 毎回有難うございます。
B主任 : こちらもまた興味深い数字が並びますなぁ。
P部長 : 下がGT4の既存の橋の検討、上がオプションとなる観覧席付き上路ローゼの検討になります。今回は鋼材の重量(鋼重)の推定値からのコスト算出ですが、お許しくださいませ。
B主任 : お許しも何も、検討してくださるだけで十分です。
P部長 : (いつものニコニコ顔で)既存の橋については、ポリフォニーさんからのご指定通り、大三島橋をスケール縮小し、橋長180mに変更して考えます。Y大橋という事例のB活荷重の80%と考えて、単位鋼重は0.410t/m2となります。それに幅員11.5mをかけて、本体鋼重は850tとなります。
B主任 : して、そのこころは?
P部長 : 17億円ですね。
B主任 : ・・・999の高架橋の約半分か
C主任 : 工期はどのように?
P部長 : 類似橋の実績から、橋の製作自体に約8ヶ月。現地で架設するのに約1年8ヶ月、合計約2年程度(4ヶ月ラップ)と考えます。
B主任 : で無理をお願いした「オプション二重橋」ですけれども・・・
P部長 : はいはいはい。こちらは本体、というか下の橋ですね、これが682tになります。
C主任 : あれ、さっきは850tでしたね。下の橋同士なら同じ重量でないとおかしくないですか。
B主任 : きみぃ、もう忘れたかねP部長の名講義を。中路アーチと上路・・・
C主任 : すみません、そうでした。今回は上路アーチでしたね・・・こんなに違うんですか!
P部長 : そうなんです。はいはい。で観覧席もこれ上路アーチですが短いんですよね。この部分だけでは橋長106mになりまして、311tです。つまり上下合わせて1000t、と言うわけです。
C主任 : ということはこれに単価を掛け算して
P部長 : はい。20億円となります。
B主任 : 上路と中路・・・本当に違いますねぇ。
P部長 : はい。そして工期は製作に1つ約7ヶ月。架設は約1年5ヶ月/橋ですが多少ラップが取れるかも知れません。結局のところ合計で約3年1ヶ月(製作から架設で4ヶ月のラップ)でしょう。
C主任 : 何から何まで本当に有難うございました。
P部長 : ちなみにこちらがですね、ローゼ橋の上路、中路、下路、それぞれの場合にどのような鋼重になるかをプロットした図です。
*4)ここの打ち合わせコーナー
大阪、肥後橋駅からちょっと歩いたところにあるビルの一階にある日立造船さんの打ち合わせコーナーは半円の部屋に大きなガラスで外が良く見える喫茶店のような雰囲気で、ポリフォニーデジタルさんの本社と共にF営業部員のお気に入りの場所である。
ローゼ橋のコスト比較図。詳しくは拡大5)でどうぞ
(C) 日立造船株式会社 All rights reserved
B主任 : ほう、ローゼ支間が100〜150mなら、おっしゃってた通り上路ローゼがお得でんな。
C主任 : 長いスパンになると中路ローゼが活きてくるんですね。
P部長 : そうですね、こういう観点からも鋼橋を眺め、興味を持っていただけると嬉しいですね。
◇◆◇ 再び建築エンジニアリング部のR部長のところへ向かったB主任とD職員 ◇◆◇
R部長 : きたね。グランドスタンドの見積もりと工期だろ。
B主任 : 前回のお願いから時間が経ってませんが、よろしゅうお願いします。
R部長 : 私だけだと心細いからね、スペシャリストT部長にも手伝ってもらったよ。
T部長 : Tです。よろしくお願いします。まずは既存のグランドスタンドからですね。ポリフォニーさんから頂いた図面より、数値拾ってみました。こんな感じで。
D職員 : うぁー、お手間取らせました。我々でやっておけば早かったですね、スミマセン。
ポリフォニーさん出力に赤書き込みの図
(C) 前田建設 All rights reserved
T部長 : 幅120mで、一部3階建てなんですね。構造形式は柱間の距離からすると鉄骨造のような気もしましたが、現在の外観を尊重して鉄筋コンクリート造として算出しています。
*5)
拡大でどうぞ
B主任 : 外側の寸法はスケールであたる6)として、内側はどうしはったんでっか?
T部長 : 類似物件等から想定して算出しています。床の厚さは250mmとして計算しました。最も頭を悩ませたのが柱や梁の大きさですね、R部長も問題視してましたし。画面からあたると850mm角ですね。しかし細い気がしましたので大まかに計算しなおして1000mm角と想定しました。但し、きちんと構造設計するともっと大きい断面になるような気がしています。
D職員 : わーそれどういう風にやったんですか。
*6)スケールであたる
物差し、スケールで計り決定すること。
R部長 : よし。混乱するかもしれないが時間ができたらこちら7)を勉強してごらん
B主任 : で最終的にはどんな風になりはったんでっか。
T部長 : 鉄筋コンクリート造で、コンクリート総量は4000m3程度、延床面積で6000m2程度。13億5500万円です。
B主任 : ふむ。これって下の、人が座るスタンドそのものは入ってませんな。
T部長 : はい。逆に基礎工事費は入っています。下に処分場が入るのはあくまでオプションの話と聞いていますので。
B主任 : で、お疲れでしょうが、新型のオプションのスタンドも、お願い致します。
T部長 : こちらは構造上鉄骨造でやります。3D-CADを使用していますので数量拾いはあっという間でした。
D職員 : 既存バージョンの推測を含めた数拾いの苦労を聞いたばかりだから、余計凄さがわかりますね。
T部長 : 設計担当のS主任は小さめの建物にしたみたいで、延床面積は既存のものより一割くらい少ないんです。
B主任 : そうでっか。後ろの方にも色々あるようですけど。それでも狭いでっか?
T部長 : あくまでスタンドの上に鎮座した部分だけの比較ね。既存建物は四角を基本にしており観覧席としては案外使えないスペースも多そうだから妥当なところかな。前田提案では、その他にもTOWER棟、SHOP棟、HALL&OFFICE棟がそれぞれあって、合計延床面積は18000m2弱になりますね。
D職員 : なるほど、それなら新型は非常にゆとりがあって使いやすいものになりそうです。
*7)
こちらです
R部長 : 非常にT部長が気を使って検討してくれた結果、全体の工事費は47億4800万円だ。
B主任 : おぉう。さすがに高いでんなあ。
T部長 : 実はこれ、下に処分場があるものとして基礎工事費を省略しています。だから比較するために条件を既存のスタンドと一緒(基礎工事費込)とすると56億2900万円になります。
B主任 : こんだけで999の高架橋を超えたか。
D職員 : 工期はそれぞれどうですか。
T部長 : 既存で10ヶ月、新型で7ヶ月です。基礎工事は別途で。延床面積が広いのに新型の方が早いのは、鉄骨造ということと棟が分かれているので同時施工が可能だからです。
D職員 : 本当にスミマセンが、あと建物の横というか下というか、大きなスタンドそのもの、これはどのように考えればいいですか。
T部長 : これは完全に当社の施工例、松本市野球場や仙台市野球場・・・後者は今、施工していますからお近くの方は見に行っていただきたいんですが・・・これらの例から推測しました。グランバレーのメインスタンドは30m×450mもあるんですね。13500m2。
B主任 : 収容人数はどうなりますかね。
R部長 : シートピッチにもよるけど、ゲームの画面では野球の内野席程度かなと考えれば、そうね23,000人ってところかな。
T部長 : で、お金については43億3000万円、工期24ヶ月です。ただしこれは地下に処分場が無い場合ですね。
B主任 : 馬鹿にならんなあ、スタンドも。
T部長 : さて問題は大きなスタンドがここだけじゃないんだグランバレーの場合。ここ他にもRC造のスタンドが1コーナー手前に一箇所、1コーナー外に一箇所、そして最終コーナー横に一箇所それぞれ存在する。
R部長 : この面積データをポリフォニーさんから正確にもらえばよかったんだけど、ちょっと今現在ではいただけていない。仮にそれぞれを40×150m2、40×200m2、45×500m2とするとその合計は36,500m2となって工事費が117億円。
C主任 : 3桁億円ですか。ファンタジー営業部始まって以来の大型プロジェクトですね。
T部長 : こんなんでいいですかね。何かわからない事があれば、また何時でも気軽に聞いて下さい。
B主任 : お忙しいところ、ありがとうございました。
◇ ◆ ◇ ファンタジー営業部、全員集合 ◇ ◆ ◇
A部長 : じゃあここまでの数字、まとめてみようか。
C主任 : こちら一覧表になります。


トンネル群 単位 数量 金額 工期
第1トンネル m 200 538,400,000  
第2トンネル m 200 538,400,000  
第3トンネル(シェッド区間) m 200 326,400,000  
第3トンネル(トンネル区間) m 130 453,440,000  
面壁 基 6 42,000,000  
    小計 1,898,640,000 24ヶ月
 
排水性舗装 単位 数量 金額 工期
排水性舗装 m2 98,880 1,171,134,300 2ヶ月
    小計 588,000,000  
 
橋梁 単位 数量 金額 工期
新設観覧席付き橋梁 m 180 1,700,000,000 37ヶ月
    小計 1,700,000,000  
 
新設グランドスタンド 単位 数量 金額 工期
新設構造物(基礎工事費含む) m2 6,000 1,355,000,000 10ヶ月
スタンド席 m2 13,500 4,330,000,000 24ヶ月
その他コース内スタンド席 m2 36,500 11,707,000,000 40ヶ月
    小計 13,062,000,000  

グランバレー・スピードウェイ(GT4既存同等)概略工事
合計 22,161,774,300
(土工事及び付随工事含まず)


B主任 : ここまでで222億円・・・
D職員 : さすがにデカイですね。
C主任 : これで土工事、雨水・下水関係、植栽工事ほかがもてぎなみ、としたら・・・
A部長 : 例えば1300万立米を考えれば、おそらく場内で切り盛りをバランスさせているから実質650万m3の掘削とちょっとの運搬と埋め戻しだ。確か地山強度は70〜80N/mm2と結構硬いんだよね、まあ、それだけで250億円というところか。
B主任 : しかし、それには下水処理施設、ゴミ焼却場、コース脇のテント費用などは入っていませんからな。
A部長 : 総額500億円クラスの大プロジェクトという意見が社内では多いけどな。
B主任 : 工期については、今回明言しとうないですなあ。どことどこが平行作業でできるか、条件によって全く異なりますやろ。
A部長 : どうしても、といわれれば橋梁での24ヶ月のうちに他の工事も全て終われれば最短という事になろうね。その他コース内のスタンド席も、平行作業化すればかなり分割できるだろうから。
◇ ◆ ◇ 一服入れて、前田提案のオプション検討へ ◇ ◆ ◇
D職員 : 次にオプションの部分です。まず揚水式発電所ですが、E部長たちのお話では、この5,000kwという出力は小型で通常お目にかからないサイズだから推測が多いとのことでしたが、発電所設備他製造費が37億5000万円。そして発電所の入れ物である地下空洞他が高さ15m、幅10m、長さ30mとして6億7500万円。合わせて44億2500万円となるそうです。工期は3年。
C主任 : これ、湖の止水は考えていないね。
D職員 : そうなんです。当初は地質的に湖はありえない。人造湖だ、という前提で始めたのですが、ダムグループの皆さん、ちょっと今、お忙しくて・・・。
B主任 : 二つの湖合わせて180,000平米。ただ防水工事だけ行うとしても7〜8億円程度や。
A部長 : しめて52億円程度というわけだね。
A部長 : さて処分場はどうだい。
C主任 : 鋼板遮水式のクローズド型処分場はこちらのグラフから考えます。
D職員 : 日立造船さんのコスト表に近いですかね。
鋼板遮水クローズド型処分場のコスト関係図。出展:鋼板遮水システム研究会
(C) 前田建設 All rights reserved
C主任 : 今回、グランドスタンド下に建設するのだから、その面積は30m×450m=13,500m2と考えられます。深さ11mとして処分場埋立容量は14.9万m3となる。それをこの表の鋼板遮水の実績から読み取ればいいわけですが・・・赤い菱形で表されている鋼板遮水システム処分場の建設工事単価が埋立容量5万m3までしか試算していないことです。
A部長 : そうか。オープン型や単なる屋根付き処分場のデータから推測すると、規模が大きくなることで得られるスケールメリットも、さほど無いと考えてよさそうだね。
B主任 : ほな工事単価は5万m3と同額の28000円くらいとしてやな。掛け算して41億7200万円や・・・
D職員 : でも、我々が提案したのは鋼板遮水でも高級な「ダブルハル」型でしたから、この検討だけでは不十分なんじゃないですか。
C主任 : ・・・そうだ。危うく忘れるところだった。それじゃあもう少し試算を詳しく見て考えないと
D職員 : このグラフの「鋼板遮水構造工事」分を割り増せばいいんでしょうね。
鋼板遮水クローズド型処分場の試算結果内訳。出展:鋼板遮水システム研究会
(C) 前田建設 All rights reserved
A部長 : 容量5万m3の時に鋼板遮水構造工事が約3億円か。我々の処分場は容量14.9万m3と約3倍になっているから9億円。つまり41億7200万円のうち、9億円が鋼板遮水構造工事費になるわけだ。
C主任 : これは普通の場合ですからダブルハル割増をしなくてはいけない、と。ダブルハルの場合、そのまんま倍でよい、とのことでしたから・・・。
A部長 : するとグランバレーの鋼板遮水構造工事費は18億円か。差し引き9億円をさっきの41億7200万円に足して、
D職員 : 50億5200万円、ですね。
C主任 : 工期については従前の施工例、埋立容量が13000m3かつ鋼板がシングル(一重)のもののデータがありまして、トータル1年3ヶ月程度です。
B主任 : 規模が約10倍、鋼板も倍になるわけやろ・・・けど掘削は約2ヶ月で終了してるのか。じゃあ我々の工事全体はプラス20ヶ月というところかいな。22ヶ月
D職員 : あれ、それだと掘削工事の工期だけですよね。鋼板遮水構造工事が抜けてません?
B主任 : 掘削工事が全て終わってから、鋼板に取り掛かるようなやり方をすれば、そういうことになるわな。けど、実際はラップして始めるからのう。つまりや、掘削が終わったところから、鋼板工事を始めればいいわけや。
D職員 : なるほど。
C主任 : 鋼板部分の割増も考えれば、26ヶ月くらいでしょうね。
A部長 : よしっ、オプション部分もまとめよう。


トンネル群 単位 数量 金額 工期
第1トンネル m 200 538,400,000  
第2トンネル m 200 538,400,000  
第3トンネル(シェッド区間) m 200 326,400,000  
第3トンネル(トンネル区間) m 130 453,440,000  
面壁 基 6 42,000,000  
    小計 1,898,640,000 24ヶ月
 
排水性舗装 単位 数量 金額 工期
排水性舗装 m2 98,880 1,171,344,300 2ヶ月
    小計 1,171,344,300  
 
橋梁 単位 数量 金額 工期
新設観覧席付き橋梁 m 180 2,000,000,000 37ヶ月
    小計 2,000,000,000  
 
新設グランド
スタンド
単位 数量 金額 工期
新設構造物
(基礎工事費含まず)
m2 18,000 4,748,000,000 10ヶ月
スタンド席 m2 13,500 4,330,000,000 24ヶ月
その他コース内スタンド席 m2 36,500 11,707,000,000 40ヶ月
    小計 20,785,000,000  
 
揚水式発電所 単位 数量 金額 工期
機器一式(5000kw相当) 式 1 3,750,000,000  
掘削工事 m3 4,500 675,000,000  
防水工事(人造湖) m3 190,000 800,000,000  
    小計 5,225,000,000 36ヶ月
 
鋼板遮水
クローズド処分場
単位 数量 金額 工期
埋め立て容量 m3 14,900 5,052,000,000  
    小計 5,052,000,000 26ヶ月

グランバレー・スピードウェイ(前田建設提案分含む)概略工事
合計 36,131,774,300
(土工事及び付随工事含まず)


B主任 : オプションと呼ぶには・・・相当値が張りますなぁ。
A部長 : 初期投資としての値段で考えるとね。これは本来、ライフサイクルコスト(LCC)という、その施設が建設されてから閉鎖されるまでの費用全体を算出し、検討すべきなんだ。
D職員 : 確か、鋼板遮水クローズド型処分場は、廃棄物受け入れで利益を産む計画でしたよね。
C主任 : うん。そういうのも含めてね、ビジネスプランとか複数年のキャッシュフロー表とか、そういう検討が必要だね。
B主任 : しっかし、こんだけ金額が大きな投資になるんですなぁ。いやサーキットやテストコースをお持ちの自動車会社さんも大変や。
A部長 : この場合の工期は、新設の半円形スタンド部の下だけでも処分場を造った後に、他の屋根の無いスタンド部分を着工するのが最短、つまりクリティカルになるかな。
B主任 : いや、違いますやろ。もし本当に揚水式発電所の出入口を、第2トンネルの中にするっちゅう話やったら、トンネルが12ヶ月、その後揚水式発電所36ヶ月で4年ですわ。
D職員 : これもつまり、条件により大きく異なる、ということですね。
 
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