 |
各社の熱心なご活動のおかげで国際民間ロボット救助隊の姿もずいぶんと具体的になってきた。数多くのロボット、それを迅速に運ぶ複数の専用機、空港から現場に急ぐ健脚な救助機械・・・。しかし、それらをオペレートする肝心の隊員達についての議論が足りないことにF営業部員たちは気づいていた。例えば彼ら自身は参加するのか、その他の会社の皆さんはどうなるのか。日頃の救助隊基地の風景はどのようなものになるのだろう。今回は、その辺の議論および各社さん取組中の様子をレポートする。 |
 |
 |
B主任: |
世の中、暇になったほうがいい職業は、警察と消防やな。 |
 |
 |
D職員: |
なんですか急に。熱かな?このところ急に寒くなりましたから。 |
 |
 |
C主任: |
「消防の皆さんは暇そうにしてても、怒られんからエエなぁ」とか?ボーっとしてるわけないでしょう。訓練、訓練。 |
 |
 |
D職員: |
そういえば訓練を兼ねて、日頃はロボットを空港で仕事させようというアイデアが出てましたね。 |
 |
 |
B主任: |
この救助隊の隊員になるべきか、また、なったとしたらどのような毎日になるのか、考えとったんや。例えばIRSの皆さんや大学の研究員の皆さんは、基地に施設ごと移られても業務には差し支えん。 |
 |
 |
D職員: |
基地は関空ですから、ANAさんもまあ、問題ないですねぇ。 |
 |
 |
B主任: |
そやろ。問題はうちや。我々4人は飯田橋。隊員になったはよいが、関空行きの国内線の時間が合わな、隊の皆さんにご迷惑や。 |
 |
 |
C主任: |
ANAさんに出向させてもらえば良いのではないですか。 |
 |
 |
B主任: |
お手伝いできること、あるかのぉ。 |
 |
 |
C主任: |
基地そのものやコマツさんの機械などのメンテナンスがあるだろう。 |
 |
 |
D職員: |
何ならロボットのオペレーターに立候補したら?僕は志願してもいいですよ。 |
 |
 |
C主任: |
そういえばANAさんには「隊員候補になりそうな方が集まっている」ところがあると、仰っていたなあ。 |
 |
 |
ANAさんには、以前ご紹介した「ANAバーチャルハリウッド」という活動があるが、その中から発案・実現された活動のひとつに「すずらんクラブ」という、社会貢献ボランティア活動組織がある。この活動を推進している客室本部 品質サポート推進室 品質企画部の鈴木克洋氏にお話を伺ってみよう。 |
 |
 |
 |
「笑顔であいさつ」とあるポスターにはANA社員さん笑顔があふれています |
©ANA |
|
 |
 |
 |
鈴木氏: |
「すずらんクラブ」は2006年の4月に立ち上がった、現在300人くらいのメンバー登録数をもつ、社会貢献ボランティア活動をするための社内の受け皿です。「仲間と楽しみながら、でもまじめに!」をキャッチフレーズとして、休暇や勤務外の時間を使って活動するものです。 |
 |
 |
B主任: |
休暇や勤務時間外の活動・・・このホームページを立ち上げた人間が聞いたら、強い共感を覚えるフレーズやね。 |
 |
 |
鈴木氏: |
現在までのところ、全国各地での植林活動をはじめ、沖縄ではサンゴの植え付け、そのほかには学生さんや子供たちへ、現実社会のひとつとしての弊社をテーマとした勉強会やインターンシップの実施なども実行、計画しています。先日も表参道ヒルズで、ANAグループで協力している赤い羽根の募金活動を行いました。制服を着た客室乗務員や整備士、飛行機を誘導するマーシャラーなどグループを挙げて参加してきました。通行人からはかなり珍しく思われました。 |
 |
 |
 |
©ANA |
 |
 |
手に持たれている飛行機のぬいぐるみが何だったのか、 気になるところであります。 |
©ANA |
|
 |
 |
 |
鈴木氏: |
また、闘病されているお子様への訪問や盲学校への点字版「翼の王国」の寄付などの活動も行っています。 |
 |
 |
C主任: |
そういう方々なら、いい救助隊員になってくれそうですね。御社は、グループ会社を含めて、運航部門、空港部門、客室部門、整備部門、営業部門などなど多くの部署の方がいて初めて飛行機を飛ばせるわけですが、300人もいたらその点は問題ないでしょうか。 |
 |
 |
鈴木氏: |
グループも含めて多種多用な職種の社員が揃っているので、恐らく大丈夫だと思います。 |
 |
 |
D職員: |
でも、今のままだと、救助隊の発進は休暇が勤務時間外に限られちゃいますね。 |
 |
 |
B主任: |
そこは我々の謎のスポンサーがモノを言うわけや。チャーター便やで。 |
 |
 |
C主任: |
実際のところ、こういう救助隊の話を聞いてどう思われましたか? |
 |
 |
鈴木氏: |
スマトラ沖の地震と津波で被災された地域で実際にあった話ですが、世界各地から集まる救援物資の航空機からの搭降載作業を航空会社の社員のボランティアで行うなどの活動があったようです。 被災された方々への支援のみならず、ロジスティックの分野でのボランティア分野などもありますので、今後環境が整えば可能ではないかと思っています。
|
 |
 |
B主任: |
ありがたいこっちゃ、こりゃほんまに優秀な隊員さんが揃った上で実現できるで。隊員は基地のすぐ横で働いたり、研究したりするのやから、万一の事態にも、すぐ発進できるちゅうわけやしな。
|
 |
 |
C主任: |
そして僕らは基地のメンテ係と・・・。 |
 |
 |
D職員: |
IRSさんの神戸ラボはこちらに移っていただくことになるんですかね。 |
 |
 |
B主任: |
(全く聞いておらず)あ、大事なCA隊員さん達、忘れてたわ。彼女ら、ちゃんと発進までに来れるやろか。 |
 |
 |
しかし、この基地についても、以前お話を伺ったオペレーション統括本部の梶木氏、白澤氏、ANA総研の堀口氏の御三方とF営業部員で話をしているうちに、ある構想が芽生えてきた。基地自体も、日頃は近未来のあるべき旅客ターミナルとして機能し、万一の際は基地として機能するというアイデアである。 キーワードは「大屋根」。落雷警報(TS1〜3に分かれ、TS3では屋外業務が全面停止になり、飛行機の運航ができなくなる。TS=Thunder Storm)に影響されず、また降雪駐機時の翼に対する着氷、着雪を防止できるメリットがある。 「大きな屋根の下にいる旅客機」という風景だけでも、新鮮な空の旅を演出するのではという想いもあって、議論が続いたが、その一部を再現してみよう。
|
 |
 |
D職員: |
確かに冬の北の空港というと、一生懸命、機体に付いた雪、落としてますよね、それこそ例の航空機防除雪氷作業車、エレファントミューで。 |
 |
 |
堀口氏: |
翼の断面形状、変わっちゃいますからね。 |
 |
 |
B主任: |
でも、滑走路の脇で「さあ、飛びまっせ」言うまでに、また積もりますやろ。 |
 |
 |
堀口氏: |
なもので防氷剤を塗布するんです。プロピレングリコールに添加剤を加えた特殊な液体で、ある程度流れ落ちないけど、滑走を始めると途端に流れるという。 |
 |
 |
C主任: |
なるほど。機体洗浄、防除雪氷と簡略化できれば環境にもやさしいと、こういうわけですね。 |
 |
 |
梶木氏: |
せめて翼の部分だけでも、屋根があると違うんですけどね。 |
 |
 |
白澤氏: |
国際救助隊ですからC.I.Q設備もお忘れなく。 |
 |
 |
D職員: |
CIQ? |
 |
 |
白澤氏: |
Customs、Immigration、Quarantineの略ですね。税関、出入国審査、検疫のことです。 |
 |
 |
堀口氏: |
圧倒的にお客様に便利なターミナルが良いなあ。飛行機の真横にリムジンバスが着くとか。お預かりした荷物もお待たせせずにお渡しできるとか。 |
 |
 |
B主任: |
そ、それは厳しそうでんなぁ。 |
 |
 |
白澤氏: |
機内での急病人に対する配慮も、お願いしたいですね。 |
 |
 |
C主任: |
うちの建築チームがどんな答えを出すか、楽しみだな。 |
 |
 |
D職員: |
ところで、我々の飛行機なんですが、結局何に決まりましたか? |
 |
 |
堀口氏: |
前回コマツさんご提案の救助車両、あの大きさを搬送できるのは747だけですね。従ってまずB747のフレイターが1機。それだけだと隊員を運べないので、同じ747Fのコンビ仕様機が1機、計2機を考えています。 |
 |
 |
C主任: |
同じ747にしたのは、運用面での効率を考えて、ですね。 |
 |
 |
堀口氏: |
そうです。 |
 |
 |
B主任: |
747なら、中村機長に操縦桿、握ってもらえるしのぉ。 |
 |
 |
 |