2012年11月05日工事濁水の高度化処理技術「AQUA-FILTER SYSTEM」の開発

前田建設工業株式会社(社長:小原好一)は、凝集材メーカーの新日本工業株式会社(社長:前田敦 本社:旭川市)との共同開発により、土木・建築工事を行う際に発生する工事濁水を水道水並みに処理する高度な濁水処理システムを開発した。

 

今回2社が開発した濁水処理システムは、安全性が高く,処理効果の高い『高性能無機凝集材』と、『整流フィルター式沈澱槽』、『回転金網式ろ過設備』で構成された高度濁水処理システムである。少ない添加量で沈降速度の速いフロックを形成する高性能な無機凝集材と、コンパクトで設置・撤去も容易な濁水処理設備を利用することにより、低コストで処理水のSS(浮遊物質)を2から3mg/L程度にすることを実現した。

 

近年、トンネル・ダム・造成などの土木・建築工事を行う際に発生する濁水は、環境保全・生態系保全の観点から、放流先の河川等の水質に適した高度な工事濁水処理が求められている。従来は、無機系や有機系の凝集材を使用して濁水中の土粒子を凝集・沈殿させることで水中の濁りを除去していたが、処理水の品質を向上させるためには、設備の大型化、砂ろ過処理の併用、メンテナンス頻度の増大など、処理費用のコストアップが大きな課題となっていた。

 

今回2社が開発したシステムは、こうした課題に対応し、処理品質を高めるだけでなく、「小型」「低コスト」「省メンテナンス」を実現した高度な濁水処理システムであり、砂ろ過設備を利用する場合に比較すると、25%程度のコスト縮減が可能となる。

 

現在、当社では本技術を実際の現場にて導入中であり、この現場での施工実績を基に、適用現場を拡大していく予定である。

 

<凝集材の特性>
1)

少量で、沈降性が高く大きなフロックを形成

添加量は40から80mg/L程度。フロック沈降速度が速いため、沈殿装置を小さくすることが可能。

2)

毒性が小さく、自然に優しい

従来のポリ塩化アルミニウムに比べ、毒性は1/5以下。

3)

粉状の凝集材1種類のみで、広いpH範囲で効果を発揮

1種類の凝集材のみを使用、高分子凝集材の溶解など、現場での加工が不要なため、薬材管理も容易。

また、濁水の濃度変動に伴う添加量調整が不要であり、濁水の濃度変動に対して安定した処理が可能。

 

pHが12程度のコンクリート切削排水も、添加量を増やすこと無く、沈降性の高いフロックを形成できる。

 

<濁水処理設備の特性>

当該処理設備は、攪拌槽・沈澱槽・分離槽の3つの槽から構成されている。

 

攪拌槽では、無機系粉体凝集材と濁水の反応を確実にするため、1)急速攪拌(凝集材の溶解と、2)緩速攪拌(凝集反応の促進とフロック径の成長)の2段階攪拌方式を採用している。

 

沈澱槽では、複数枚設置した『整流フィルター』により、沈殿槽内の水流が層流になるように制御することで、99.9%以上の凝集物を重力により沈殿し、水と土粒子を分離する。

 

沈澱槽で除去しきれなかった凝集物は、分離槽にて2種類のドラムフィルター(回転式金属金網)による2段階ろ過を行う。

 

詳細はこちらをご覧下さい。 工事濁水の高度化処理「AQUA-FILTER SYSTEM」の開発

 

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