2016年06月15日地中拡幅工事に向けたシールドトンネルによる円形外殻工法「CS-SC工法」を開発~地山を露出しないセグメント切削シールド工法~

<概要>

 前田建設工業株式会社(本社:東京都千代田区、社長:前田操治)は、地中拡幅工事を可能とするCS-SC工法(Circular Shell structure system with Shield tunnels by Cuttablesegments)~切削セグメントシールドによる円形外殻工法~を開発し、先ごろ特許を受けました。(「CS-SC」は、前田建設工業株式会社の登録商標です。)

 

 本工法は、縦断方向のシールドトンネル(外殻シールド)を連結して外殻部を構築する工法であり、東京外かく環状道路等の地下40m以上の大深度でトンネル分岐合流等の地中拡幅部を非開削で構築するものです。透水性が高く自立性の低い地盤において外殻シールド相互を連結する際の確実性と安全性を確保するためには、地山を露出させないことが重要です。従来工法ではシールドトンネル同士を重複することはできず、シールド相互を連結する際には地山の露出を避けられませんでしたが、弊社が開発したCS-SC工法は、「切削セグメント」を用いてシールド相互を重複することにより、地山を露出させずに大断面の円形外殻シールドを構築することが可能となります(図-1)。

 弊社は2005年から「切削セグメント」の開発に着手し、2012年に「セグメント切削シールド工法」の特許を取得しており、このセグメント切削シールド工法をベースとして、透水性が高く自立性の低い地盤においても確実性と安全性を高めるため更に下記4つの要素技術を組合せた新たな工法が「CS-SC工法」です。今夏、実施工を模擬した大規模実験を行います。

 

〔要素技術〕

(1) 地山が露出しないセグメント切削シールド工法※1(詳細は次頁)
(2) 止水補助工法として最も信頼性が高い地盤凍結工法(セグメントフリーズ式)※2(詳細は次頁)
(3) 本線シールドを施工・供用しながら施工が可能な円周シールド工法
(4) 長期止水性を確保する多重止水バリア構造

 

図-1 CS-SC工法による地山の露出がない外殻シールド 概要

図-1 CS-SC工法による地山の露出がない外殻シールド 概要

 

※1  セグメント切削シールド工法

 セグメントの素材をシールド機のカッタービットで直接切削できる材料とした特殊なコンクリートセグメント「切削セグメント」を用いてトンネルを重複連結します。鉄筋の代わりに炭素繊維やガラス繊維、骨材には軽量骨材を使用します。本技術の施工の確実性を検証するために、φ1800mmの切削セグメントを用いたセグメント切削試験を実施しました(図-2)。

 

図-2 セグメント切削シールド工法の切削実証試験状況(2006年)

図-2 セグメント切削シールド工法の切削実証試験状況(2006年)

 

※2  地盤凍結工法(セグメントフリーズ式)

 地盤凍結工法は、止水補助工法の中で最も信頼性が高く、大深度・高水圧条件等の難易度の高い条件で確実な止水を必要とする場合に多く用いられる技術です。特に本技術では、凍結管ボーリングの施工誤差による未凍結、ボーリング削孔時の出水等の不良要因を排除するために、セグメント内に凍結管を配置しセグメント全体を凍結させて、凍結ボーリング工を省略できる「セグメントフリーズ式」としました。凍土造成に関する施工確実性(解析精度、施工手順、モニタリング技術)を確認するため、実物大セグメント(φ4m×3連)を用いた実証試験を実施済みです。なお、凍土造成状況モニタリング技術をブラシュアップさせるために、技術開発を継続中です。

 

図-3 地盤凍結工法(セグメントフリーズ式)の概要

図-3 地盤凍結工法(セグメントフリーズ式)の概要

 

<今後の展開>

本工法の、実施工への適用を積極的に行っていく予定です。

 

<問い合わせ先>

〒102-8151 東京都千代田区富士見二丁目10番2号

前田建設工業株式会社 総合企画部 広報グループ

電話:03-5276-5132

 

地中拡幅工事に向けたシールドトンネルによる円形外殻工法「CS-SC工法」を開発

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