2017年11月20日汎用的なコンクリートポンプ車を用いた遠隔操作インフラ点検ロボットを開発~近接困難箇所の点検に適用することによりコストを3割削減可能~

<概要>

 前田建設工業株式会社(社長:前田操治)は、コンクリート圧送工事業者の株式会社ヤマコン(社長:佐藤隆彦)およびグループ会社の株式会社前田製作所(社長:塩入正章)の協力により、全国のコンクリートポンプ車の9割以上に適用できる汎用的な遠隔操作インフラ点検ロボットを開発しました。

 今回当社が開発したインフラ点検ロボットは、コンクリートポンプ車のブームを多関節アームとして用い、点検者が簡単に近づくことができない箇所にもカメラや各種点検機器を近接させ、遠隔操作で点検や検査を行うことを可能としたものです。ブーム先端には2方向に回転が可能な装置を搭載しており、4段ブームの車両であれば合計7つの回転軸により、インフラ構造物の点検箇所に精度良く近接し、点検機器をセットできます。

 橋梁の点検では、足場や大型の橋梁点検車が必要となることにより、多くの時間やコストがかかる場合がありますが、本点検ロボットは、汎用のコンクリートポンプ車に簡易なアタッチメントを取り付けるだけで、橋梁上部から床版下面を観察することが可能となり、コストを3割程度削減することができます。

さらに、地震などの災害時や緊急時には、全国にあるコンクリートポンプ車に安全かつ容易に取り外しすることができるため、機動的にインフラの被害状況を確認することも期待できます。

 当社は、自ら参画する道路コンセッション事業における業務効率化を図るとともに、広く、コンクリートポンプ車を所有する企業に活用していただき、全国の社会基盤の維持管理コスト低減に貢献したいと考えています。コンクリートポンプ車のオペレーションを担当した株式会社ヤマコンとブーム先端に取り付ける装置の製作を担当した株式会社前田製作所は、インフラ構造物の新規建設事業からインフラ維持管理関連事業への領域拡大に活用することを視野に入れています。

 既に当社は、パイロット試験を実施済みであり、山間部に架かる実際の道路橋の損傷状況やコンクリート吹付けされた切土のり面のひび割れ状況を把握できることを確認しています。今後は、別途開発を行っているCIM技術との連携によって自動で機器の位置合わせを可能にするなど、さらなる点検の効率化を図るとともに、点検・検査以外の用途にも適用範囲を広げていく予定です。

 なお、本技術は、11月21日、22日に東京ビッグサイト東7・8ホールで開催される「ハイウェイテクノフェア2017」で紹介します。

 

<開発技術の特長>

比較的重量の大きい点検機器(数十キログラムまで)を搭載することが可能
ブームの先端に取り付ける装置は各種のコンクリートポンプ車にワンタッチで取り外しできるため、全国各所に存在するコンクリートポンプ車に広く適用することが可能
高圧洗浄機や送風機などを取り付けることにより、アクセス困難箇所の洗浄、清掃作業にも応用可能

 

<問い合わせ先>

前田建設工業株式会社 総合企画部 広報グループ

電話:03-5276-5132

 

【参考資料】

山間部橋梁の上部から床版下面を観察

 

映像確認と撮影は手元のスマートフォンで操作

 

ブーム先端に取り付けたカメラで撮影した写真

 

橋梁だけでなく切土のり面も点検

 

ブーム先端に装置を搭載した状況

(ブームの動きに加えて首振り・旋回機能を付加)

 

汎用的なコンクリートポンプ車を用いた遠隔操作インフラ点検ロボットを開発

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