2017年12月06日新築&改修のダブルZEB実現へ~77%削減する国内トップレベルの省エネ性能~

<概要>

 前田建設工業株式会社(本社:東京都千代田区、社長:前田操治)は、新築のみならず近年増加する改修工事もあわせたダブルZEBの実現に取り組んでいます。改修では、大型複合施設の「ZEB Ready(ゼブ・レディー)化総合改修事業」のコンサルティング・設計を行い、現在工事が進んでいます。新築では、自社の新技術研究所オフィス棟の設計において、BELS認証制度(建築物省エネルギー性能表示制度)の「☆☆☆☆☆」、かつ『 ZEB 』という最高ランクの第三者認証を取得し、来秋の竣工に向けて施工中です。この新技術研究所オフィス棟は、国内トップレベルの省エネルギー性能として、一般的なオフィスビルに比べて一次エネルギー消費量を77%削減。太陽光発電による創エネルギーによりZEBを実現します。

本オフィス棟で経済産業省が定める「ZEBリーディング・オーナー」に認定され、また「ZEBプランナー」としても登録を認められるなど、前田建設工業は、設計・施工・事業者それぞれの分野においての「ZEBリーディング企業」を目指します。

 

<詳細>

【改修】

 大型複合施設の「ZEB Ready化総合改修事業」において、光が丘「J.CITYビル」(東京都練馬区)の大規模改修をコンサルティング・設計しました。本事業は、平成28年度第1回「サステナブル建築物等先導 事業(省CO2先導型)」(国土交通省所管)に採択され、「建築と設備の多岐にわたる省CO2・BCP改修への取り組みとして、高くかつ先導的と評価できる。」と認められています。現在、平成31年春の完成に向けて施工中です。※施工は(株)エフビーエス・ミヤマ(当社のグループ企業)が担当。

 高層事務所、ホテル、スポーツ施設からなるこの大型複合施設は、築24年を経過し、中央式熱源を含む様々な設備機器の大規模改修期を迎えていました。当社は本改修に対して現状調査・データ解析、計画、設計にわたり参画し、当初予定されていた設備機器の「更新改修」に対して、機能・性能(施設価値)、省エネルギー、改修費、光熱費のいずれのニーズも満足する総合的な「価値回復改修」のグランドデザインを策定しました。

 計画策定にあたっては、運用エネルギーを一般比50%以下とする「ZEB Ready」化をコンセプトに掲げ、高層事務所棟のほぼ全フロアにおいて窓ガラス高断熱化と照明をLED化することによる空調負荷削減と、中央式熱源を再設計する経済的な熱源高効率化を、複合的に行うなどの高度な省エネルギー改修技術を導入しています。本総合改修による効果には、室内の温熱環境、照明環境の改善による快適性や働きやすさの向上、一部不要となった既存蓄熱槽を大災害時用水槽として活用するBCP力強化など、省エネルギー以外の多様なコベネフィットも期待されます。

 

【新築】

 平成30年9月完成に向けて施工が進む自社新技術研究所(茨城県取手市)では、オフィス棟を、「ZEBと知的生産性向上を実現する次世代型のオフィス」(以下「ZEBオフィス棟」)として設計・施工しています。本事業は、平成28年度「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル実証事業」(経済産業省所管)の補助金対象事業に採択されました。本計画に先立つ平成27年夏には、当社の現技術研究所(東京都練馬区)のオフィスをスケルトン改修した「ZEBプロトタイプ」を構築し、実運用下において様々な建築・設備技術の実証実験・開発を行いました。初年のエネルギー消費量は、現時点のZEB志向建築物同等以上の一般比▲76%減(建築物省エネ法の事務室の基準値比、コンセントを含む)を達成しており、ここで得た技術・知見を「ZEBオフィス棟」に活用、展開しています。

 「ZEBオフィス棟」では、井水を利用した井水熱源ヒートポンプと天井放射空調システムを主体としたタスク&アンビエント空調、様々な方位からの風を捕まえる自然換気システム、電動式制御による外付けブラインド、屋上および南壁面への太陽光発電パネルなど、建設地の自然環境と高効率設備機器を最大限に活用する多様な環境技術を実装する事により、一次エネルギー消費を約414MJ/m2年に抑え、太陽光発電による創エネルギーを約480MJ/m2と見込んでいます。試算では、一般的なオフィスビルの一時エネルギー消費量から77%の削減となっており、この計画に対し、BELS認証制度(建築物省エネルギー性能表示制度)では「☆☆☆☆☆」、かつ『 ZEB 』という最高ランクの第三者認証(平成29年3月)を取得しました。さらに本夏、経済産業省が定めた、ZEBの普及・推進を担う「ZEBリーディング・オーナーおよびZEBの 設計・設計施工およびコンサルティングを行う「ZEBプランナー」の両登録事業者にも認められました(順に平成29年7月、同年8月登録)。

 

<まとめ>

前田建設工業は、これらの新築ZEB、改修ZEBの設計・施工およびコンサルティング活動を通して得られた技術をもとに、地球を含むステークホルダーのニーズに応える「ZEBリーディング企業」を目指した取り組みを進めてまいります。

 

<問い合わせ先>

前田建設工業株式会社 総合企画部 広報グループ

電話:03-5276-5132

 

<参考>

BELS評価

BELS(ベルス、Building-Housing Energy-Efficiency Labeling System:建築物省エネルギー性能表示制度)は新築・既築建築物において、第三者となる評価機関が省エネルギー性能を評価し、認証する制度。BEI(Building Energy Index=設計一次エネルギー消費量/基準一次エネルギー消費量)を指標とした性能に応じ、5段階の★の数(★が多いほど性能が高い)で評価され、また一次エネルギー消費量水準に応じて、「『ZEB』」、「Nearly ZEB」、「ZEB Ready」のラベル表示をすることができる。

 

ZEBリーディング・オーナー登録制度

経済産業省が取りまとめた「ZEBロードマップ」の意義に基づき、自らのZEB普及目標や導入計画、導入実績を一般に公表する先導的建築物のオーナーを認定する制度。「ZEBリーディング・オーナー」に登録されるには、ZEBに係る実績または具体計画を有していること。2030年までの中長期的なZEB導入計画と目標を有していること等の要件を満たしている必要がある。

 

ZEBプランナー登録制度

経済産業省が取りまとめた「ZEBロードマップ」の意義に基づき、「ZEB設計ガイドライン」や「自社のZEBなどを設計するための技術や知見」を活用し、設計、施工およびコンサルティング等を行い、その活動を公表するものの登録を認定する制度。「ZEBプランナー」の登録には、ZEB、省エネ建築のプランニング実績を有していること。ZEBの相談窓口を有していること等の要件を満たしている必要がある。「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業」(補助金)への申請には、「ZEBプランナー」の関与が必須となる。

 

※次頁に各施設の建築概要と主な導入技術を添付しています。

 

『光が丘「J.CITYビル」ZEB Ready(ゼブ・レディー)化総合改修事業』

■建物概要

用途 事務所・ホテル・スポーツ施設
構造 SRC・S・RC造
階数 地上24階、地下3階
建築面積 6,421m2
延床面積 62,995m2
竣工 1993年12月


■主な導入技術

建物熱負荷削減と空調熱源再設計

照明LED化
窓ガラス断熱強化
照明・ブラインド冷房デマンド制御
BEMS高度化 他

既存蓄熱槽を活用したBCP力強化

既存太陽光発電の自立運転・蓄電化

省CO2+αのコベネフィット型改修

変圧器負荷側系統統合
駐車場換気ファン縮小

※前田建設工業はコンサルティング・設計を担当、施工は(株)エフビーエス・ミヤマ(当社のグループ企業)

 

 

 

『新技術研究所 オフィス棟』

■建物概要

構造 RC+S造(柱-鉄筋コンクリート 梁-鉄骨)
階数 地上3階建て
建築面積 783.94m2
延床面積 2,122.20m2


■主な導入技術

豊富な井水を利用した、井水熱源ヒートポンプと天井放射空調システム
様々な方位からの風を捕まえる自然換気
免震階をクールピットとして利用した空調室外機の高効率運転
電動式制御による外付けブラインド
画像センサーによる人員検知連動の空調・照明

屋上および南壁面の太陽光発電パネル

 

新技術研究所 オフィス棟 イメージパース

 

 

新築&改修のダブルZEB実現へ

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