2018年04月25日BIMデータ連携で木造新生産システムを実現する大規模木造用ロボット加工機を開発~構造材の自動加工を高精度、高自由度で実現~

<概要>

 前田建設工業株式会社(本社:東京都千代田区、社長:前田操治)は、国立大学法人千葉大学(千葉県千葉市、学長:徳久剛史)と共同で、BIM(Building Information Modeling:建築3次元モデル)のデータから大規模木造建築に使用する構造材を高精度に一気通貫で自動加工する多関節ロボット加工機を開発しました。

 

<詳細>

 前田建設工業は、第57回BCS賞を受賞した住田町役場(岩手県)や、都市型耐火木造建築である桐朋学園仙川新キャンパス(東京都)などで培った木造技術を集結させ、大規模木造建築のリーディングカンパニーとしての技術を確立すべく、千葉大学大学院工学研究院平沢研究室とBIMデータを生産の現場へ連携できる革新的な木造新生産システムの共同研究開発を行っています。

 従来、大規模木造で使用する構造材の加工は大掛かりな専用機が必要とされ、使用する3次元データも専用規格で用意する必要がありました。今回開発したロボット加工機は産業用多関節ロボット(ファナック製)2基と専用の搬送台で構成されており、小面積で設置が可能であり、かつ全方位から切削・加工等を同時に行うという自由度の高い加工を行うことも可能となります。また、使用する3次元データは、ARCHICADなどの建築設計で用いる一般的なBIMのデータを、そのまま利用することができます。従って、建築設計段階のデータを木軸加工段階まで連携させ、大規模木造建築に使用する構造材を一気通貫で自動加工できるという生産革新が実現でき、納期・工期の短縮と省力化を実現します。

 実際の木軸工場においては、ロボット加工機を2台以上の複数台導入することにより、大幅な生産性向上が図れます。さらに、既存の機種と比較し従来の加工誤差1.5mmを0.5mmまで減少させたことで精度が向上するほか、多関節ロボットの加工は自由度も高く、効率化のみならず従来にない自由なデザインの木造建築が可能となります。

 現在、当該ロボット加工機は千葉大学の実験室に設置されていますが、前田建設工業が茨城県取手市に施工中の新技術研究所内のネスト棟(木造1階約800m2)で実際に使用する梁・柱部材の加工を行い、高い加工精度と従来機に勝る加工スピードとを確認しました。H30年9月の新技研竣工後に研究所内総合実験棟に移設され、最大幅3mのCLT材※1を加工可能な仕様に拡張します。また、H31年には実際のプレカット工場への設置を予定しています。

 前田建設工業はCSV-SS※2の理念に基づき、木造技術を進化させることで国内の林業再生と環境負荷低減に向けた取り組みを進めてまいります。

 

※1 

CLT(Cross Laminated Timber)

 ひき板(ラミナ)を並べた後、繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料。厚みのある大きな板が製作でき、建築の構造材として使用される。海外ではCLTを使った高層建築が建てられ、CLTの利用は国内外で急速な伸びを見せている。

 

※2 

CSV-SS(Creating Satisfactory Value Shared by Stakeholders)

前田版CSV(Creating Shared Value)。一般的なCSVの概念に加え、建設業の事業基盤に関わる「担い手不足」「労働力減少や高齢化」といった社会課題も含めて、事業のプロセスを改善しながら解決するのが特徴。

 

2台のロボットによる構造材の自動加工状況

 

以上

 

<問い合わせ先>

前田建設工業株式会社 総合企画部 広報グループ

電話:03-5276-5132

 

BIMデータ連携で木造新生産システムを実現する大規模木造用ロボット加工機を開発

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