2022年05月24日自然言語処理AIを活用した「危険予知システム」をSOLIZEと共同開発

<概 要>
 インフロニア・ホールディングス株式会社(本社:東京都千代田区、社長:岐部一誠)グループの前田建設工業株式会社(本社:東京都千代田区、社長:前田 操治、以下「前田建設工業」)と、SOLIZE株式会社(本社:東京都千代田区、社長:宮藤 康聡、以下「SOLIZE」)は、SOLIZEの自然言語処理AI(アスペクトエンジン)を活用し、安全管理業務における危険予知の高度化および業務改善を目的とした「危険予知システム(SpectA KY-Tool)」を新たに共同開発しました。
 

<詳 細>
 前田建設工業では作業所の安全管理業務において、日々のKY(危険予知)活動やヒヤリハット活動などにより労働災害防止に努めています。しかし、熟練技能者の経験やノウハウは暗黙知となっており、職長個人の経験をもとに危険予知の内容検討や安全指示を行っているため、その内容にはばらつきがあります。
 また、昨今の少子高齢化や担い手不足などを背景に生産性向上が急務となっており、作業の手戻りの回避や工事関係者の円滑な意思疎通も課題になっています。そこで、当社施工現場において運用・検証を行い、「危険予知の高度化」および「業務改善」を目的とした新たなシステムをSOLIZEと共同開発しました。

 

 今回開発したシステムは、過去の災害データに基づく適切な危険有害要因と対策の選定を行うことが可能です。現場の作業内容を入力するだけで、AIが約7,000単語ある概念辞書から類似単語に自動でタグ付けを行い、関連する「災害事例」(約2,000件)を選定します。さらに、選定された災害事例に関連する適切な「予想される危険・安全指示」(約8,000件)を選択・提示します。
 活用する災害データは、起こりうる災害のイラストを提示するなど、現場の危険有害要因をわかりやすく可視化し、工事関係者間で情報共有することにより作業者の安全意識を向上させ、実際の行動に移すことを促します。さらに、ベテラン作業員も経験したことのない過去の災害データを活用することで、危険予知の予測精度を向上させ、類似労働災害の再発防止に貢献します。

 

 本システムの活用例としては、作業を始める前のKY活動時に災害を未然防止するため「どのような危険が潜んでいるのか」をタブレットに図示しながら対面で話し合うことにより、作業者は起こりうる危険を具体的にイメージしたうえで作業に着手できます。
 さらに、当日の気象情報や作業員の体調情報などを入力することで、日々変化する作業環境に合わせた作業指示の伝達や作業者の体調管理が可能になり、熱中症予防などに役立てることもできます。

 

 現在、「危険予知の高度化」だけでなく、「業務改善」に寄与する活用を進めています。前田建設工業は独自の工事安全打合せシステム(以下「TPMm」)を全社的に導入済みであり、スマートフォンやタブレット端末から打合せで使用する安全日誌をいつでもどこでも作成できます。
 「TPMm」と本システムを連携することで、入力した作業内容をもとに過去の災害事例を介して予想される危険と安全指示事項を即座に絞り込み、適切なものを選択式で表示することができます。安全日誌の作成は現場作業と並行して行う必要があり、煩雑になりやすいですが、本システムによりその作成時間が短縮されます。
 さらに、自身の経験のみではなく、日常的に蓄積される災害事例から抽出される他者の経験を安全日誌に組込むことで、指示事項のマンネリ化防止につなげることを目指しています。

 


システム画面一例


KY活動時の活用状況

 

<問い合わせ先> 
前田建設工業株式会社
経営革新本部 広報部
E-Mail:maeda-release@jcity.maeda.co.jp

 

自然言語処理AIを活用した「危険予知システム」をSOLIZEと共同開発

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