2024年10月16日3Dプリンティングを用いた建設部材構築技術「WAV3D」の開発・国内初適用

 前田建設工業株式会社(本社:東京都千代田区、社長:前田操治、以下「当社」)は、3Dプリンティング技術を用いて、現場での運搬・組み立てが容易な積層ブロック(写真-1)を作製し、その組み合わせにより自由な形状かつ任意の寸法で建設部材を構築する技術「WAV3D(ウェーブスリーディー)」(写真-2、以下「本技術」)を開発しました。

 


写真-1 積層ブロック


写真-2 壁状に組み上げた「WAV3D」

 

 3Dプリンティング技術と呼ばれる付加製造技術は、多くの分野で広く活用されています。当社は、建設分野における省人化や自動化ならびに新たな構造形式を生み出す革新的な技術として、2015年から3Dプリンティング技術の活用にいち早く着手※1してまいりました。3Dプリンティングの活用には、オンサイトプリント(現場での直接造形)による作業工数の削減等のメリットがある一方で、建設部材の大型化により、その組み立てのための大型重機や3Dプリンター本体・周辺設備を設置するためのスペースが必要といった課題があります。
 本技術は、複雑な自由形状が造形可能といった3Dプリンティングの特長を活かした積層ブロックを用いることで、様々な建設部材を構築し、現場で活用しやすい構造とデザイン性の両立、手軽な運搬・組み立てを実現しました。また、ブロック形式を採用することで、組みばらしによるリユースも容易であり、サステナブルな建設部材です。

 

「WAV3D(ウェーブスリーディー)」の特長

●構造
・積層ブロックを組み合わせて連環部で接続することで、配置の自由度が高く、形状やサイズのフレキシブル性を高めています(写真-3)。
・積層ブロックは、波形状およびシアーキを有することで、設置時の安定性と外力に対する抵抗性を高めています。
●意匠
・波や地層を模したデザインは自然との調和を生み、壁として用いた場合、視線を遮りながらも、採光や換気も実現可能としています(写真-4)。
・積層ブロックが作り出す空間に照明や植栽の設置が可能であり、使用シーンに合わせて利用できます。
●環境
・積層ブロックは、型枠が不要で材料ロスも抑えられ、容易に組みばらし・リユースが可能なため循環型社会の実現に貢献します。

 


写真-3 曲面に配置した様子


写真-4 積層ブロックからの採光

 

 今回、当社の研究拠点であるICI総合センター内の施設に適用しました(写真-2)。積層ブロックは、当社のイメージカラーである空と木々、自然豊かな環境※2に溶け込む配色として青と緑のグラデーションを有する色調としました。3Dプリンティングによる建設部材への着色事例は少なく、思い描く色を実現するための色調評価にも取り組んでいます。今後は、屋外での供用を通じて、耐久性や色調の変化等の実証データを蓄積し活用領域の拡大を目指します。

 当社は、本技術をはじめとする建設分野における3Dプリンティング技術の開発と活用を推進し、建築物や土木構造物などのデザイン・構造の自由度を高めるとともに、インフラを取り巻く担い手不足への対応や作業者の安全性確保などの課題解決に取り組んでまいります。

 

※1 関連リリース
高精度で自由形状に自動打設コンクリート3Dプリンターを開発~更なる技術革新へ向け協創パートナーを募集~|2019年|ニュース|前田建設工業株式会社 (maeda.co.jp)

※2 「ICI総合センター」は(公財)日本生態系協会の「JHEP」認証で最高ランクのAAA認証を取得中
 

<問い合わせ先>
前田建設工業株式会社
経営革新本部 広報部
E-Mail:maeda-release@jcity.maeda.co.jp

 

3Dプリンティングを用いた建設部材構築技術「WAV3D」の開発・国内初適用

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