前田建設工業株式会社 (本社：東京都千代田区、代表取締役社長：前田操治、以下「当社」) は、一般社団法人オフグリッド・デザインコンソーシアム（以下：OGD）、およびその主催者であるトライポッド・デザイン株式会社（本社：東京都千代田区、代表取締役：中川聰、以下「トライポッド・デザイン」）と協働し、トライポッド・デザインの持つ『超小集電（Micro Power Collection）技術（以下、「超小集電技術」）』を活用し、風力発電所の廃棄ブレード（風車の羽）を再利用して電力を生み出す再生循環型の発電プロジェクトを開始しました。実証実験の結果、歩道や庭園などの夜間照明として十分に活用できるレベルであることを確認いたしました。
風力発電事業の維持管理においてブレード部分の交換は10～15年が推奨されます。廃棄されるブレードは、ガラス繊維や炭素繊維を熱硬化性樹脂などで接着した複合構造のため、素材ごとの分離が難しく、再利用が困難であり埋立や焼却といった処理が主流となっています。国内の風力発電事業が成熟する中、今後廃棄がさらに増えるため、CO2排出や処理コストの観点から大きな課題となっています。
超小集電技術とは、土壌や水中、植物、生体、コンポスト（堆肥）、産業廃棄物などあらゆる対象を媒体として、コンダクターと呼ばれる集電材を介し、微小な電気を収集する技術です。今回、風力発電所で使用されていた廃棄ブレードをコンダクターとする超小集電技術を用いた超小集電セル（電池）により、当社の技術研究部門であるICI総合センターの敷地にて実証実験を実施しました。設置した照明は、歩道や植栽周りの夜間照明としても活用できる３ルクス程度の明るさを超小集電により実装しています。また、実験に使用した超小集電セルは、破砕した廃棄ブレードを追加することで、土壌を活用したセルよりも集電性能が向上することが確認されており、廃棄ブレードが有効な集電材料として活用できる可能性が示されました。
本取り組みは、風力発電における産業廃棄物の減量化に加え、処理コストの低減、廃材に新たな価値を付与するものとして、新たな可能性を示すものです。本プロジェクトは、今後当社のICI総合センターにおいて技術検証を継続し、風力発電所内及びその周辺地域での社会実装を目指し、社会課題解決に役立つ取り組みとして価値創造を推進して参ります。
ICI総合センターでの実証
風力発電所での利活用イメージ
この度、超小集電技術が拓く新たな社会活用の可能性に触れていただくことを目的に、「超小集電技術」を活用したセンサーによる自動点灯装置を配した「アートベンチ」を制作いたしました。本作品は12月17日より大手町3×3Lab Futureにおいて展示を開始いたします。
自立発電型アートベンチ
＜問い合わせ先＞
インフロニア・ホールディングス株式会社
（前田建設 広報担当）
E-Mail：maeda-release@jcity.maeda.co.jp