自然由来ヒ素汚染土壌の
分離浄化工法

技術の概要

土壌環境基準の数倍程度の自然由来ヒ素を含む地層が、都市部周辺の平野部や臨海部に広く分布しているため、地下掘削を伴う建設工事で自然由来ヒ素汚染土の処分が課題となる事例が増加しています。

都市周辺では泥水式シールド工法が採用される事例が多いことから、自然由来ヒ素汚染地盤を当該工法で掘削する際に発生する廃棄泥水を対象とした浄化工法を開発しました。

技術の特徴

開発した工法の概要図を図-1に、特殊鉄粉と従来技術で使用している鉄粉(従来品)を写真-1に示します。

開発工法の特徴は以下の通りです。

  • ヒ素の吸着能力に優れかつ粒径の大きな特殊鉄粉を利用
  • 大粒径の特殊鉄粉使用により遠心分離機+磁性分離機の組合せ設備で鉄粉を回収
  • 回収した鉄粉は繰り返し利用が可能
  • 粘土塊解砕工程の導入により土壌汚染対策法規制対象となる粘土塊も浄化処理可能
  • 泥水式シールドの地上処理設備に組込みが可能
  • シールドの掘進速度に合わせた浄化処理が可能
図-1 開発工法概要図

メリット

特殊鉄粉の利用により遠心分離+磁性分離の2段階でヒ素を吸着した鉄粉を回収することで、以下に示す効果が期待できる。

  • 磁性分離だけで鉄粉を回収する従来工法に比較し設備設置スペースを1/5に縮減
  • 遠心分離(サイクロン)の導入、鉄粉の繰り返し利用によりランニングコストを大幅に縮減
  • 全ての汚染土壌を浄化処理するため、産業廃棄物処分費を大幅に縮減
写真-1 特殊鉄粉の形状

特記事項

実績
勝島水門作業所実証実験 東京都下水道事業団 平成27年5月
適用工種
泥水式シールド工法、土壌洗浄工法
関連資料
https://www.maeda.co.jp/news/2015/02/27/4734.html
備考
  • シルト・粘土主体の掘削土壌の場合、泥水化する前処理の採用により適用可
  • NATMトンネル掘削ズリのように岩主体の掘削土の場合、適用不可
  • 特許出願中