技術の概要
台形CSGダムとは、堤体材料にCSG(Cemented Sand and Gravel:現地発生材に、セメント、水を添加し、簡易な練り混ぜにより製造されるセメント系固化材)を用いたダムであり、かつ堤体の断面を台形形状とすることで、設計・材料・施工の3つの合理化を実現できる新しい形式のダムです。
大保脇ダムにおいて本設の構造物として国内で初めて施工されました。本施工ではプレキャスト型枠・法面締固め機等の新技術の採用により工期短縮・品質確保を図りました。
技術の特徴
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1.保護・遮水コンクリート型枠としてプレキャスト型枠を採用
- 型枠設置作業等において、コンクリートの養生待ちの必要がなく連続した施工が可能となります。
- 型枠重量が1.5t(幅3m×高さ1.1m)と軽く、また、型枠自体に勾配・レベル調整機能を有しているため施工性に優れています。
- 型枠の設置に型枠用の足場を必要としないため安全面に優れています。
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2.CSG法面締固め機を採用
- 締固めの困難な法肩部で、平坦部と同等の締固め密度が確保できます。
- CSG端部において法面部と平坦部の同時締固めができます。
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3.M-Yミキサを搭載したCSG製造プラントを採用
- 重力を利用した混合装置(M-Yミキサ)を使用しているため混合に電気エネルギー等の動力を必要としません。
- CSG母材・セメント・水を連続計量し、自動制御することによって品質の安定したCSGが連続的に製造可能です。

メリット
- 1.従来の型枠工法と比べて、全体工程を20%程度短縮できます。
- 2.CSG全体でムラなく、均一な締固め密度が確保できます。
- 3.CSGの円滑な製造管理および品質管理が可能です。

- 実績
- 大保脇ダム沢処理工 V=28,300m3(H15.7~H16.4) 沖縄総合事務局北部ダム事務所
- 適用工種
- ダム、築堤、地盤改良等
- 関連資料
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ダム技術
2004.9 No.216 pp.147~153
2004.11 No.219 pp.17~29
- 備考
- CSG製造設備はDK−IVミキサーとして日本ダム協会に登録しています。