制振の機能・目的 〜揺れを減らす〜
制振構造は揺れを減らすことを目的としますが、揺れには地震や風によるものや交通振動、機械振動など様々なものがあります。
制振構造では建物に入力される揺れのエネルギーを制振装置が吸収することによって揺れを抑制します。
制振装置の種類 〜適材適所〜
制振装置には様々な種類や特性があります。
建物の屋上部に重りを設置するタイプ(質量系)の制振装置であるTMD(チューンド・マス・ダンパー)は、主として風による建物の揺れを抑えるのに効果があります。同じく質量系の制振装置でコンピューター制御で重りを動かすAMD(アクティブ・マス・ダンパー)では風や中小地震までの揺れに有効です。
一方、大地震に対して揺れを効果的に抑えるには履歴系や粘性系のエネルギー吸収機能をもつ制振装置が適しています。さらにこれらの制振装置を組み合わせたハイブリッドタイプもあります。
このように、制振装置はその目的、設置条件、コスト等をトータルに判断して最適な選択を行う必要があります。
制振装置の分類
目的 | 種類 | 制振装置 |
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地震動抑制 |
履歴系 |
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粘性系 |
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摩擦系 |
摩擦ダンパー |
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風揺れ小地震抑制 |
質量系 |
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粘性系 |
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制振装置の分類
履歴系 | 粘性系 | 質量系 |
---|---|---|
![]() (極軟鋼) |
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![]() (普通鋼) |
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ハイブリッド制振の例
20cmのプレキャストコンクリート壁の中に履歴型鋼材ダンパーと粘弾性ダンパーを組み込んでいます。
ホテルの客室壁に適用されています。

