技術の概要
免震構造に用いる積層ゴムアイソレータは、引張力に対して弱い性質を有しているため、高層免震建物などでは、大地震時に引張力を受けない工夫が必要となります。本装置(ゴムリング)により、地震時に積層ゴムアイソレータに作用する引張力を緩和することが可能となり、設計の自由度が大きくなります。
技術の特徴
- 1.取付けアンカーボルトの頭(ワッシャー)とフランジプレート間に挟む柔性体として使用します。
- 2.積層ゴムアイソレータに引張力が加わり浮上り変形が作用しようとした時、ゴムリングが縮み、フランジプレートとベースプレートの間に隙間が生じることで、積層ゴムアイソレータそのものに生じる引張り変形(引張力)を緩和します。
- 3.ゴムリングの内部に、これより高さの低い内部鋼リングを挿入することで、ゴムリングを過大な変形から保護します。
- 4.嵌合機構と組み合わせることで、取付けアンカーボルトにはせん断力が作用しないようにします。

メリット
- 1.積層ゴムアイソレータに生じる引張力を緩和できます。
- 2.引き抜き許容型の設計を行うことで、上部躯体に地震時に作用する応力を緩和できます。
- 3.積層ゴムアイソレータ端部に作用する引張力を緩和できます。
- 4.積層ゴムアイソレータを設置するフーチングの引き抜きに対する設計が緩和できます。
- 5.従来の引き抜き対応治具よりもコンパクトで、フランジプレート、フーチングなどを経済的に設計できます。
特記事項
1100Φの実大積層ゴムを用いた載荷実験を行い、想定通りの挙動を確認しました。
- 適用工種
- 免震構造
- 関連資料
- 日本建築学会:ゴムリングを用いたΦ1100積層ゴムの性能確認試験、2010
- 備考
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- 東京工業大学、錢高組と共同開発しました。(特許第4330171号)
- 昭和電線ケーブルシステム(株)において販売しています。