放射性廃棄物等の
バリア材製造システム
「ミストブレンダー」

技術の概要

放射性廃棄物および放射性汚染廃棄物等の処分におけるバリア材に適用されるベントナイト混合土や、一般廃棄物最終処分場の遮水層を、大量かつ高品質に製造可能なシステムです。システムの核の1つとなる「粉体混合部」には、当社独自のユニークな連続練混ぜ装置「M-Yミキサ」を採用。もう一つの核となる「加水部」には、混合土を自由落下させながら多点的にミストを噴霧する加水装置を新たに開発しました。吸水すると強い粘り気を発揮し、強く練るほど均質な混合が困難になるベントナイトの特性を考慮し、機械的な強制攪拌を用いず、通過させるだけで混合・加水を行うシンプルな機構を採用することで、高品質なベントナイト混合土を連続的に製造可能としました。

技術の特徴

材料の機械的攪拌・混合による従来方式の製造では、ミキサーの羽根や回転軸などにベントナイト混合土が容易に付着するため、攪拌性能が低下して均質な品質のベントナイト混合土の製造が困難になること、またこの付着物を除去するため、多大な手間を要する、などの問題がありました。さらに、ベントナイトの粘性化する性質は、攪拌を強く行いすぎるとダンゴ状の塊を生じる原因となり、均質なベントナイト混合土の製造が困難でした。

「ミストブレンダー」では、以上の問題を、機械的な攪拌・混合を行わないことで解決しています。

テストプラント全景
  1. 1.母材とベントナイトを混合する「粉体混合部」と、目標含水比まで均質に加水調整する「加水部」の二段階構成となっており、ともに機械的な攪拌を伴わない、重力を活用した「縦落とし方式」を採用しています。
  2. 2.母材とベントナイトを均質に混合する「粉体混合部」では、コンクリートやCSG材料の製造等で多数の実績がある連続練混ぜ装置「M-Yミキサ」を用います。M-Yミキサは、、重力による落下エネルギーと材料を分割して90度回転させる独特の形状を利用し、
    (1)投入材料に対して与える、「重ね」と「延ばし」効果(2Nの多層分散効果)
    (2)M-Yミキサ壁面と材料の衝突による分散効果
    以上、2つの効果によって、材料を通過させるだけで練混ぜを連続的に行うことができます。
  3. 3.「粉体混合部」で混合したベントナイト混合土を、所要含水比に調整する「加水部」では、混合土を自由落下させながら、四方八方からミストを噴霧することで加水する新開発した装置を用います。混合土を上部より定量供給しながら円筒状に薄く拡げて分散・落下させ、混合土を挟み込むように多段・多点配置されたノズルより、ミスト状の加水を行なう機構となっています。ノズルの種類、水圧、段数と混合土の含水比増分量の関係を事前に把握しておくことにより、目標とする含水比に自在に調整することが可能です。
ミストブレンダー概要図

メリット

  1. 1.混合と加水の過程を分離。母材とベントナイトを先に空練りするため、両者を均質に混合できます。
  2. 2.加水過程でもベントナイト混合土に機械的な強制力を加えず"こねない"ため、ダマを発生させることなく均質に加水が可能です。
  3. 3.機械式ミキサーのような撹拌羽根・軸を有しないため、付着等の問題が生じません。
  4. 4.バッチ式でなく連続式であるため、大量・連続施工に対応できます。
  5. 5.重力を利用したシンプルな機構・装置であるため、機械式ミキサーに比べて初期コスト、メンテナンスコストとも低減できます。
  6. 6.製造されるベントナイト混合土は、ベントナイト添加率が30~40%といった高配合であってもバラツキが極めて小さく、ダマもほとんどない良質なものとなります。そのため、これまで設計量より多めに加えていたベントナイトの余剰添加を低減し、原材料コスト削減に貢献します。

※既存方法に対し、設備費、材料費ともに10%以上を低減(既存技術に対する、社内での検討結果)

特記事項

<今後の展望>

  • 放射性廃棄物の埋設事業や地層処分への適用
  • 放射性汚染廃棄物等の処分事業への適用
  • 一般廃棄物最終処分場工事への適用