技術の概要
パッシブ制震技術は、ブレースと梁の間や腰壁と垂れ壁の間に普通鋼を使用したせん断抵抗材を取付け、そこに地震時の建物の変形を集中させることにより地震時のエネルギーを消費し、建物全体の揺れを低減するものです。
技術の特徴
- 1.鋼材ダンパーには、特別な材料(極低降伏点鋼など)が用いられる場合が多いが、本装置は普通鋼材を使用しており、安価で容易に入手することができます。
- 2.パネルの面外座屈を抑える補剛部材(面外補剛パネル)を適用しているため、繰り返しの揺れに対しても、安定した性能を示します。
- 3.鋼材パネルの変形を利用していることから、比較的大きな容量(耐力)のダンパーを容易に製作することができます。
- 4.架構形式として、K型ブレースの頂部に取付けたブレース型、腰壁と垂れ壁の間に取付けた間柱型があります。
- 5.変形をダンパーに集中させる機構となっているので、地震後に交換が必要な場合でも容易に交換が可能です。

メリット
- 1.建物躯体に作用する地震力が低減されるため、本体フレーム断面の低減が可能です。
- 2.せん断変形に伴う鋼材の塑性化を利用していることから、1基当たりの耐力が大きく設定でき、設置個所を少なくすることができます。
- 3.極低降伏点鋼を用いるよりも、小型化できます。

特記事項
既存の建物に取付けることにより、合理的に耐震性能の向上を図ることもできます。
(レトロフィット制震)
- 実績
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- 1)ブレース型・・・前田建設本店耐震改修
- 2)間柱型・・・東雲地区集合住宅 RC造14階
- 適用工種
- 一般建築物
- 備考
- 広島大学近藤研究室、近畿大学花井研究室との共同開発です。