開削トンネル免震化工法
「SCUT(スカット)工法」

技術の概要

SCUT(Shear Cut Box Tunnel)工法は、開削トンネルを免震化する工法です。本工法には、開削シート型と非開削免震材型の2タイプがあり、開削シート型は開削トンネルの上床版上に低摩擦材(LF材:フッ素樹脂シートを塩ビ板で挟みこんだもの)を敷設し、非開削免震材型は上床版上に非開削で免震層(アスファルト系免震材)を造成します。両タイプとも地震時の主要荷重である上床版の周面せん断力を低減させることにより開削トンネルの耐震性を向上させます。

開削シート型は、新設及び上載上を開削できる既設の開削トンネルに適用できます。非開削免震材型は、非開削で上床版上に免震材料を注入し薄い免震層を造成するため、既設の開削トンネルにおいてLF材の敷設が難しい場合でも適用できる工法です。

SCUT工法を用いない場合、SCUT工法を用いた場合

技術の特徴

1.開削シート型SCUT工法

[安定した品質]

LF材は工場で加工した二次製品のため特別な品質管理は不要です。

[簡便な施工]

上床版の上面にLF材を敷き並べるだけの簡便なものなので、特殊な技術や施工機械を必要としません。

2.非開削免震材型SCUT工法

[非開削施工]

開削トンネル直上に地下埋設物等の障害物がある場合でも適用可能です。

[施工性]

施工は高圧噴射攪拌工法の汎用機等を用い、大規模なプラント設備を必要としません。

注入SCUT工法施工概念図

メリット

  • 1.開削シート型SCUT工法:新設の地下鉄駅部(幅17m、高さ7m、土被り10m)のレベル2耐震設計の試算では、従来工法に比べて主筋・せん断補強筋が約15%減、過密配筋の緩和により鉄筋組立の工期が8%短縮します。
  • 2.非開削免震材型SCUT工法:既設の地中ボックスカルバート(幅4m、高さ2.5m、土被り10m)のレベル2 耐震補強の試算では、カルバート周辺地盤を地盤改良により補強する工法に比べ40%のコストダウンとなります。
外部評価
(財)国土技術研究センター技術審査証明[SCUT工法](H19.2)
NETIS登録No.
KT-040087-V
適用工種
開削トンネル、開削工法による地下構造物(水道施設池状構造物、地下駐車場等)
関連資料
  • 「せん断土圧低減材を用いた地中ボックスカルバートに関する実験的研究」
    第2回免震・制震コロキウム講演論文集 2000.11
  • 「注入工法による地中ボックスカルバートの耐震性向上に関する研究」
    土木学会第59 回年次学術講演会 2004.9
  • 「SCUT工法(開削トンネルの免震工法)」建設技術審査証明報告書
    財団法人 国土技術研究センター 2007.2
備考
両タイプとも東京電力(株)との共同開発です。